第15回 文化庁メディア芸術祭

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アート部門/大賞

Que voz feio(醜い声)

作品名 : Que voz feio(醜い声)
作者名 : 山本 良浩

時間、話者、字幕など様々なレベルでの「差」を体験する映像作品。別々の場所にいる双子の女性が柔らかな物腰で幼少期に起きた、とある事件を語り出す。鑑賞者は2画面の映像、音声、字幕を同時に受け取ることによって、彼女たちが同じ事件のことを語りながらも内容に微妙な差異があることに次第に気付いていく。片方の映像から得られる情報に注視すると他方からの情報が疎かになり、双子の語る記憶と同様に、細部が混ざり合い、曖昧になっていく。(8分3秒)

アート部門/優秀賞

particles

作品名 : particles
作者名 : 真鍋 大度 / 石橋 素

点滅する光源が空中を浮遊し、幻影的な残像を作り出すライトインスタレーション。八の字型螺旋構造をもつレールの上を、LEDを内蔵した多数のボールが次々に通過していく。ボールが様々なタイミングと色彩で発光することにより、光の粒子が浮遊し、空中に多様な形態を描き出す。レールの構造特性と通信制御技術を融合し、光の明滅を三次元空間としてデザインされており、観客の位置によってイルミネーションの見え方が変化する。(協力:Digi International / P板.com)

The Saddest Day of My Youth

作品名 : The Saddest Day of My Youth
作者名 : Brian ALFRED

作者が少年期にテレビを通してリアルタイムで目撃したスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故をモチーフに描かれたアニメーション作品。すべてのフレームをドローイングで制作し、抽象的な形と色彩のみで淡々と展開するアニメーションに、事故当時のリアルなナレーションを効果的に用いている。実際の事件をモチーフとすることで、人類の発展と同時にもたらされる悲劇を象徴的に突き付ける。(2分10秒)

つながる天気

作品名 : つながる天気
作者名 : 片山 義幸

2010年8月から2011年7月までの1年分の天気模様をつなげてひとつに編集した映像と、写真を連続で並べてアーカイブ化したWebサイト。東日本を襲った2011年3月11日の大震災もまたいで撮影されているが、それでも当然のように続いていくごく平凡な日常の風景を切り取り、つなぎ合わせることによって、私たちの世界の輪郭を穏やかに描き出している。

BLA BLA

作品名 : BLA BLA
作者名 : Vincent MORISSET

人間のコミュニケーションの基本原理を探求した、ヴァンサン・モリセー監督と国立カナダ映画制作庁の制作による「コンピュータ用映像作品」。ユーザーが何もしなければ、画面上のキャラクターはのんびりと次のインタラクションが起きるのを待っている。画面をクリックすると、シンプルで整頓されたシーンからたちまち新たな体験が生み出される。6つの章からなるストーリーは、言語学習や会話、感情の表現など、それぞれコミュニケーションにおいて生じる様々な場面を描き出している。
http://blabla.nfb.ca/

アート部門/新人賞

Monkey Business

作品名 : Monkey Business
作者名 : Ralph KISTLER / Jan SIEBER

かわいいサルの人形が、人間の体のしぐさを真似るインタラクティブ・インスタレーション。サルの内部に埋め込まれた、指示通りに動くよう構成されたセンサーやマイクロコントローラーで稼働する10個の制御装置によってサルが、人間の動きを滑らかにトレースする。人間そっくりのロボットよりもぬいぐるみの方に人間らしさや愛着を覚えてしまうというアイロニカルなアプローチを、サルの姿を借りて提示した作品。

SENSELESS DRAWING BOT

作品名 : SENSELESS DRAWING BOT
作者名 : 菅野 創 / 山口 崇洋

二重振り子のカオス性をもった動きを利用し、スプレーを用いて抽象的なラインを描画するドローイングマシン。電動スケートボードが左右に運動することによって、振り子の振れ幅を増幅させ、運動量がある閾値を超えると、瞬く間に壁面へ描画を行う。「グラフィティ」のタギング行為における人間の身体や主張を排除し、描画プロセスのダイナミズムや即興性、記号性といった要素のみを提示することで、その行為の本質を探る。

HIMATSUBUSHI

作品名 : HIMATSUBUSHI
作者名 : 植木 秀治

列車に乗車している際に誰もが想像してしまうような情景をコミカルに映像化した作品。車窓から見える光景に合わせて、ブルーバックで合成された白い人影のキャラクターが家屋や電柱の上を飛び跳ねていく。実際に撮影した東京から静岡までの新幹線で1時間ほどの道のりと、映像内を飛び回る人影とを巧みに組み合わせて制作された。(62分35秒)

エンターテインメント部門/大賞

SPACE BALLOON PROJECT

作品名 : SPACE BALLOON PROJECT
作者名 : 大八木 翼 / 馬場 鑑平 / 野添 剛士 / John POWELL

「この星の想いをつなぐ」をテーマに、スマートフォンGALAXY SⅡを特殊なバルーンに載せ、アメリカ・ネバダ州から上空30,000mの成層圏へとフライトさせたプロジェクト。約90分のフライトの模様は衛星通信経由のUSTREAMを通じて配信。また、Twitterなどで募集した「宇宙へ届けたいメッセージ」が飛行中のGALAXY SⅡに表示され、宇宙からの景色と共にリアルタイムで世界中に届けられた。過酷な通信環境の中、プロジェクトを成功させるべく尽力した日米のスタッフを応援するツイートも数多く寄せられ、総視聴者数は38万人を突破した。
http://space-balloon.net/

エンターテインメント部門/優秀賞

べろべろ

作品名 : べろべろ
作者名 : 田中 秀幸

阿部サダヲ、宮藤官九郎らが率いるロックバンド・グループ魂のミュージックビデオ。夜の新宿・歌舞伎町を正体不明の毛むくじゃらの生きものが楽曲に合わせて歌いながら練り歩く映像は、薄暗い路上を行き交う人々と、ぎらつくネオンが対照的に映しだされ不思議な哀愁を感じさせる。シンプルな手法で撮影された映像に、さらなる奥行きを与えた作品。(6分10秒)

相転移的装置

作品名 : 相転移的装置
作者名 : 勝本 雄一朗

氷・水・水蒸気の「相転移」のように、情報的にも物質的にも変幻自在なデジタルメディアを生み出そう、という意図のもとに制作された電子遊具シリーズ。形状と柔軟性が多様に変化するインターフェース「ニンジャトラック」、合体と変形によって遊び方が変わるミニカー「キャタピー」の2つがラインアップされている。

The Museum of Me

作品名 : The Museum of Me
作者名 : 田中 耕一郎 / 谷川 英司 / 齋藤 精一 / 坂本 政則 / 村山 健

Facebook上の「ソーシャルライフ」をテーマとしたプロモーションサイト。Facebookを連携させると、これまでのFacebook上で行ったアクティビティやフレンドの写真、その他の情報や動画がまるで自分だけの美術館の作品として様々な形で展示されていく。自己と他者の変わりゆくつながりとコミュニケーションそのものをビジュアライズすることで、一期一会の映像体験が生み出される。
http://www.intel.com/museumofme/r/

アナグラのうた~消えた博士と残された装置~

作品名 : アナグラのうた~消えた博士と残された装置~
作者名 : 犬飼 博士 / 柴崎 亮介 / 飯田 和敏 / 有山 一郎 / 笠島 健司 / 禿 真哉

日本科学未来館の展示スペースにおいて、空間そのものを舞台とした作品。「空間情報科学で世界を良くしようとした5人の博士が生活をしていた場所」という設定のもと、多数のセンサーやプロジェクター、PCなどが設置され、プレイヤーの行動が情報を生み出し、それが周囲に影響し、また自身の行動をも変化させるような仕掛けが盛り込まれている。コンピュータという情報科学機器そのものの中に人間が入り、人間の情報と身体と世界の関係を浮き彫りにした意欲作。
http://www.miraikan.jp/anagura/

エンターテインメント部門/新人賞

デジタル戦士サンジゲン

作品名 : デジタル戦士サンジゲン
作者名 : 仲村 海斗

戦隊物のテレビ番組をモチーフに、番組のシナリオに沿って戦闘が進んでいく3Dアクションゲーム。レッド、ブルー、グリーンがそれぞれの役割を与えられ、敵との戦闘シーンと敵のエネルギーを奪い返すシーンとを交互に場面転換させながら、頭脳戦での戦いを演出する。ゲーム画面は日曜早朝の戦隊物テレビ番組を意識したものになっており、表示されている時間とナビゲーターの番組欄が連動している。行うべき内容をプレイヤーが予め把握し、番組欄のシナリオ通りに戦闘をクリアしていかないと先に進めないというシステムなど、シナリオに遊び心を含んだ作品。

Hietsuki Bushi

作品名 : Hietsuki Bushi
作者名 : Omodaka

寺田創一による宮崎県の民謡『ひえつき節』をモチーフとした楽曲と、ひらのりょうによる色彩豊かな手描きのアニメーションが融合したOmodakaのミュージックビデオ。民謡歌手・金沢明子の唄う独特の節とビートが刻まれた楽曲に合わせて、「農業と宇宙」をテーマとしたビジュアルで時代や空間を超えた幻想的な心象イメージを表現。ノスタルジーと斬新さが同居した不可思議な世界が生まれている。

リズムシ

作品名 : リズムシ
作者名 : 成瀬 つばさ

ボタンを押すと、音と共に手描きのキャラクター「リズムシ」が踊り出す楽器とアニメーションの要素を兼ね備えたiPhoneアプリ。同じキャラクターを用いて、スケッチを画面に描いて音を鳴らせる『オトスケッチ』やラップDJが楽しめる『ラップムシ』など様々なシリーズを発表し、総計200万ダウンロードを超える人気アプリとなった。アプリをきっかけに女性誌の連載やTシャツなどのプロダクト販売など、多岐にわたる展開を見せている。

アニメーション部門/大賞

魔法少女まどか☆マギカ

作品名 : 魔法少女まどか☆マギカ
作者名 : 新房 昭之(監督)

平凡な中学生の鹿目(かなめ)まどかは、ある日不思議な夢を見る。翌朝登校すると、夢で見た少女・ほむらが転校してくる。戸惑うまどかにほむらは意味深な言葉をかける。その放課後、まどかは「魔女の結界」に迷い込んでしまい、絶体絶命のピンチを魔法少女マミに助けられるのだった。やがて知る「魔法少女」という存在の真実。時間と人間模様が複雑に交錯する舞台で、真実に触れたまどかが取る選択とは?(24分、全12話)

アニメーション部門/優秀賞

鬼神伝

作品名 : 鬼神伝
作者名 : 川﨑 博嗣(監督)

ある日、目立った才能のない平凡な男の子・純は、平安時代にタイムスリップしてしまう。そこは大陸の文明によって平安京を取り仕切る貴族=「人」と、自然の神々に生かされている民=「鬼」が、互いに相容れぬ理想を抱き、争う世界だった。突然突きつけられた過酷な状況に戸惑い逃げ出そうとする純が、真摯に生きる古の人々に触れ、自ら考え行動することの大切さを知り成長する姿を描く。美しい京都を舞台に、日本古来の伝承を現代に蘇らせた歴史大河アニメーション作品。(97分)

ももへの手紙

作品名 : ももへの手紙
作者名 : 沖浦 啓之(監督)

「ももへ」とだけ書かれた手紙を遺し、お父さんは天国に旅立ってしまった。「ほんとうはなんて書きたかったの?」心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、その想いを抱えたまま、母・いく子と瀬戸内の島に移り住む。そこで出会ったのは、不思議な妖怪「見守り組」。食いしん坊でわがまま、でも愛嬌たっぷりの彼らには、実は大切な使命があった……。瀬戸内の小さな島を舞台に、主人公・ももに訪れる不思議な日々を描いた家族の愛の物語。(120分)

マイブリッジの糸

作品名 : マイブリッジの糸
作者名 : 山村 浩二

1878年に馬の連続動作を撮影することに成功し、映画の誕生に多大な影響を及ぼした写真家エドワード・マイブリッジの人生と、現代の母と娘の情景を描き、時空を超えた2つの世界の対比によって「時間」に思いをめぐらせるアニメーション。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を往き交いながら、マイブリッジの波乱に満ちた人生を幻想的に描く一方、慈愛にあふれた母娘の光景が印象的に登場する。「時間は止められるのか?」という問いをモチーフとした、日本とカナダの国際共同制作作品。(12分39秒)

Folksongs & Ballads

作品名 : Folksongs & Ballads
作者名 : Mathieu VERNERIE / Pauline DEFACHELLES / Rémy PAUL

孤立した港町で暮らすある年老いた漁師の日常を、卓越した画力で細部まで丁寧に描き出した全編CG作品。朝日が昇る瞬間の空の景色、夕焼けに頰を照らされスープをすする老婆、夜のパブに集う男たちなど、様々な情景を通して、アイルランドのフォークソングが印象的に響き渡る。フランスのアニメーション専門学校・Supinfocom Valenciennes在学当時の作者たちによる卒業制作作品。(7分53秒)

アニメーション部門/新人賞

やさしいマーチ

作品名 : やさしいマーチ
作者名 : 植草 航

のどかな田園やビルが入り組む不思議な街を歩き続ける少女の後ろを、怪獣たちが追いかけるユーモラスなアニメーション作品。空想に耽る少女の思考や感情をモニターの画面や怪獣の姿になぞらえて視覚化し、少女の閉ざされた内面世界をテンポの良い楽曲にのせて鋭く描き出した。淡い色彩とデザイン性の高い繊細なタッチの線が、独特の世界観と透明感を生み出している。(4分48秒)

Rabenjunge

作品名 : Rabenjunge
作者名 : Andrea DEPPERT

木彫りの人形たちが、巧みな3DCG合成によって動き回る幻想的なアニメーション作品。村の少年たちから蔑まれていたRabenjunge(カラスの少年)が、ある日やってきた美しい少女と出会うところから物語が展開していく。木片や草などの素材を用いた手作りの舞台を背景に、実写で撮影された人形の表情や動きをCG合成し、アナログとデジタルの境界を超えた不思議な世界を生み出している。(9分40秒)

rain town

作品名 : rain town
作者名 : 石田 祐康

いつからか雨が止まなくなり、住民が郊外や高台へと移り住んでいった街・rain town。打ち捨てられ、誰もいない廃墟と化した「雨の街」の奥深くへと迷い込む少女。そこで出会う、かつての街の記憶を持つ一人ぼっちのロボット。どこか寂しさとノスタルジアを感じるほの暗くも美しい世界の情景を、静謐な音楽と降りしきる雨の音のみで優しく描いた作品。(9分55秒)

マンガ部門/大賞

土星マンション

作品名 : 土星マンション
作者名 : 岩岡 ヒサエ

地球全体が自然保護区域となり、地上に降りることが許されなくなった時代、人間は遙か35,000メートル上空の建造物で暮らしていた。上層・中層・下層に分かれた巨大なリングシステムで主人公・ミツは生まれ育った。ミツは中学卒業と同時に、亡き父と同じ職業「リングシステムの窓を拭く仕事」に就くこととなる。職場の師匠や近所の人々、仕事の依頼主たちとの出会いを通して、仕事への誇りや自信を獲得していくミツの成長を丁寧に描いた物語。

マンガ部門/優秀賞

あの日からのマンガ

作品名 : あの日からのマンガ
作者名 : しりあがり 寿

タイトルにある「あの日」とは「3.11」を意味し、文字通り震災直後から驚異的なスピードで制作・発表された作品をまとめた短編集。朝日新聞の夕刊に毎日掲載された4コマ漫画には、自ら被災地へボランティアとして足を運んだ経験を踏まえながら、当時の人々のリアルな心理や行動を描写。また、原子力問題を取り上げ、著者独特の不条理とナンセンスを交えたファンタジー作品に仕立てている。

皺

作品名 : 皺
作者名 : パコ・ロカ(著) / 小野 耕世、高木 菜々 (訳)

息子夫婦に連れられて老人ホームに入ることになった元銀行員のエミリオ。多くの入居者がそれぞれの「老い」を生きる中で、「アルツハイマー」という残酷な現実と向き合い、次第に記憶を失っていく。2007年にフランスで刊行後、スペイン、イタリアでも出版され大きな話題を呼んだ。人生の長さとともに刻まれる「しわ」のように、さりげない描写を静かに積み重ね、マンガならではの手法で「老い」という現代的なテーマを見事に描き出した。

秘密 トップ・シークレット

作品名 : 秘密 トップ・シークレット
作者名 : 清水 玲子

難事件に立ち向かう「科学警察研究所 法医第九研究室」の捜査員の活躍を描く近未来漫画。死亡してしまった事件の犯人や被害者の脳を「MRIスキャナー」にかけ、生前の記憶を映像化し、普通なら知りえない他人の脳内の「秘密」を元に事件の真実に迫る。繊細な線ながら、作り込まれた世界観と登場人物らの魅力が、「サスペンス」の枠だけにはとどまらない芯の太い物語を駆動させる。白泉社刊行の隔月誌「メロディ」で連載中。

ファン・ホーム - ある家族の悲喜劇 -

作品名 : ファン・ホーム - ある家族の悲喜劇 -
作者名 : アリソン・ベクダル(著) / 椎名 ゆかり(訳)

著者と同名の、片田舎の葬儀屋の長女として育てられたアリソンを通して綴る自伝的グラフィック・ノベル。共に同性愛者で、また文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。とうとう和解を得ないまま父を喪ってしまったアリソンが、互いをつなぐ微かな糸を手繰る様子を、膨大な文学作品を引用しながら繊細な筆致で描く。「ニューヨーク・タイムズ」紙など数々のメディアがその年のベストブックと絶賛し注目を集めた。

マンガ部門/新人賞

なかよし団の冒険

作品名 : なかよし団の冒険
作者名 : 西村 ツチカ

どこかいびつな男女の関係を独特の画風でポップかつ大胆に描き出している。いじめ、ロリコン、盗撮などといった現代的なテーマを、独創的な視点でメルヘンとも表現しうる世界に変換。切れ味の鋭いセリフ表現や独特の「間」の持たせ方、ブラックなドラマ展開などが若い世代の読者を中心に共感を得ている。豊かな感受性に彩られたデビュー間もない新進気鋭のマンガ家の才能が溢れる、著者初の単行本となった短編集。

御誂 人情幕ノ内 まげもん。

作品名 : 御誂 人情幕ノ内 まげもん。
作者名 : 昌原 光一

江戸のとある長屋を舞台に繰り広げられる、様々な人間模様を描いた短編集。親子、夫婦、友人など、各々の「絆」を通して、希望とやさしさに満ち満ちた江戸の日常を綿密な筆致で描き尽くしている。デフォルメされたキャラクターの活き活きとした表情の豊かさや、写実的で精微な町並みの描写、光と影の表現方法は、江戸という遥か遠い昔の風景と、そこに生きる人々の交流を読者の眼前に再現する。

マスタード・チョコレート

作品名 : マスタード・チョコレート
作者名 : 冬川 智子

高3の夏、突如として美大受験を目指し、美術予備校に通い始めた「つぐみ」は、周囲の環境に溶け込めず浮いてしまいがちな女の子。予備校でもただ黙々と絵を描くばかりで、同級生に愛想を振りまくことのない彼女の振る舞いは、担当講師である矢口の心配事の一つだった。社会になじめない風変わりな少女が、周囲の人々と関係しあい成長を遂げていく様子を通して、恋と友情という普遍的な青春のテーマを色鮮やかに表現した。

功労賞

木下 小夜子

木下 小夜子(アニメーション作家 / プロデューサー)

東京生まれ。女子美術短期大学造形科卒業。1970年代より、アニメーションやメディアを基軸とした制作、開発、教育、振興など、幅広い事業を国内外で展開し、その領域はアニメーションのみならず、ドキュメンタリーやフィクションなどを含む映像分野全般に及ぶ。故木下蓮三氏と共に制作した短編アニメーション『MADE IN JAPAN』(1972)、『日本人(ジャポネーゼ)』(1977)、『ピカドン』(1978)、『最後の空襲くまがや』(1993)、『琉球王国―Made in Okinawa』(2004)などが、各国の国際映画祭にてグランプリや優秀賞を多数受賞。1985年、広島国際アニメーションフェスティバルを企画・実現して以後、総指揮を歴任。国内外の美術館や映画祭のプログラムを多数制作するほか、芸術大学や映画祭などでの講義・講演・ワークショップ・審査員歴多数。2006~09年、国際アニメーションフィルム協会(ASIFA)会長を務め、現在副会長。同日本支部(ASIFA-JAPAN)会長。日本アニメーション学会顧問。大阪芸術大学客員教授。女子美術大学理事。同大学同窓会会長。