「ネットとリアルのつながり金融
~IT と人的サポートを融合した21世紀型金融ビジネス~」
成城大チーム
【審査員評】
成城大学チームの提言は、新しいクラウドファンディングの仕組みとして、リアルのイベントにおけるプレゼンテーションを導入することにより、IT 技術と人の繋がりを融合させた新しい金融サービスを切り拓いていくという内容でした。
本提言では、従来のクラウドファンディングにおいて資金調達に失敗したり、資金調達後のプロジェクト運営に失敗したりするような案件についても、資金面や専門家の助言を通じて「再挑戦」を後押ししようとしています。わが国では、ともすると難しいとされてきた再挑戦が可能となることで、失敗を恐れずにリスクを取る動きを促進することが期待されます。また、ネット上の情報だけでは、資金調達者や運営事業者の信用を得にくいことを踏まえ、イベントの開催などリアルとの組み合わせやクレジットカード業界団体の提供する信用情報の活用により信用を補完しようと試みている点にも、工夫の跡が窺われました。
一方、既に成功している既存のクラウドファンディングとの差別化が十分に図られているのか、はっきりしない面があるように思いました。また、説明の中でも触れられていましたが、提言された新しいスキームの収益性についても、課題があると思います。特に、イベント開催などリアルとの組み合わせにより本スキームの信用を補完するのはよい発想ですが、他方で、それに伴うコスト面の検討がやや甘いのではないでしょうか。地域金融機関など現にリアルのビジネスを手掛けている事業者(いわば「目利き」)と連携していくことなどが考えられるのではないかと思いました。