結果発表
2026/07/16 10:00

第25回 YKK ファスニングアワード《高校生、学生限定》

主催:YKK株式会社、YKKスナップファスナー株式会社

応募作品数:7763点
受賞作品数:8点(アパレル部門:4点/ファッショングッズ部門:4点)(入選を除く)
アパレル部門

グランプリ、Circular Design特別賞

Re Tree
今野 奏(文化服装学院)
Re Tree
作品コメント
木のように長く生き、変化を受け入れながら育つ服。自然と共に歩む仕組みを纏い、消費に頼らないくらしへ導く。ファスナーでパーツごとに取り外し可能にし、服を部分的に修復、交換しながら長くつかえる。ニットとファスナーをかけ合わせ、木の生命を感じさせるうねを表現。
受賞コメント(一部抜粋)
気持ちを込めて作った作品だったので、ダブル受賞できたことが本当にうれしいです。ここまで支えてくれた先生や友達には、感謝してもしきれません。テキスタイル作りを一から始めて、試行錯誤を重ねながら完成させたこの一着を審査員の皆様に認めていただけたことが、とてもありがたく励みになりました。今回はサーキュラーを意識し、「長く着られる服」というテーマから、「長く大切な存在」である木に着目しました。コンピューターニットで生地を作り、膨らみを持たせながら木の立体感を表現したり、ひび割れのようなフォルムを作ったりできたところに自信があります。コンピューターニットの先生が一緒に考えてくださって、自分も負けじとアイデアを重ねながら、細部まで詰めた時間が本当に楽しかったです。ニットを選んだのは、布帛と違って裁断による端材が出ないから。


取材協力 繊研新聞社

優秀賞

YKK CIRCUIT
内藤琢斗(名古屋モード学園)
YKK CIRCUIT
作品コメント
サーキット場を想起させる立体的なシルエットを、スライダーによるファスナーの連結で作り出したり、POWERHOOK®やスライダーを用いてチェッカーフラッグやフォーミュラーカー、サーキットのビジュアル要素を取り入れた衣服の提案。
受賞コメント(一部抜粋)
賞は狙っていました。最初はまったく別のデザインを考えていたのですが、トワルを組んでいくうちに突然「サーキットみたいだ」とひらめきが降りてきて、そこから一気に作品像が固まっていきました。デザインコンセプトから形まで、全部が一本の線でつながった瞬間があって、そのときに手応えを感じました。シルエットも、車が動く仕組みも、思いつく限りのすべてをその方向に振り切りました。気づいたら夢中で突き進んでいた感じです。サーキット場のカーブをどう服で表現するかが、いちばんこだわったところです。パーツごとにファスナーをつなぎ合わせて立体的なラインを作るのは、想像以上に難しくて、何度も工夫を重ねました。トワルチェックは10回以上、1カ月ほどほぼそれだけにかかりきりでした。大変でしたが、そのぶん車(スライダー)の動きとシルエットが連動した瞬間が気持ちよかったです。


取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞

POLYGON
石原実紅(ドレスメーカー学院)
POLYGON
作品コメント
同じパーツをスナップ&ボタンでつなぎ合わせて構築した造形物。「POLYGON」というテーマのもと、組み合わせによっていくつもの形に“何角形”にも変化する服を目指して製作。ランプシェードの構造をヒントに、パーツの連結でスカートや袖の形を自由に変形可能。分解できる構造はメンテナンスや再利用を容易にし、長く楽しめる一着となっている。
受賞コメント(一部抜粋)
賞を取れると思っていなかったので本当にうれしいです。コンテストで受賞するのも今回が初めてで、名前を呼ばれた瞬間は頭が真っ白になりました。作品のテーマは「POLYGON」。多角形を意味する言葉なのですが、「パーツの組み合わせしだいで、いくつもの形に変化する服を作りたい」と思ったところから出発しました。同じパーツをスナップボタンでつなぎ合わせて構築していくのが基本の構造で、組み方によってスカートや袖の形を変えることができ、“何角形にもなる服”を目指しました。分解できる構造なので、修理や再利用もしやすく、長く楽しめる一着になればと思ってデザインしました。こだわったのは、パーツごとに付けるスナップボタンの位置です。1パーツにつき16個付けていて、どの角度で留めてもきれいなラインが出るように、位置決めにはすごく悩みました。


取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞

Shelter-wear
YOON MYAT SU LIN(エスモード東京校)
Shelter-wear
作品コメント
「シェルターウェア」というコンセプトに基づいてデザインした、緊急時やアウトドア環境など様々な状況に適応できる機能的な衣服。パファーコートをミリタリーギアとして再解釈し、単なる衣服から着用可能なシェルターへと変容。取り外し可能なバッグ型スリーブを備えたモジュール構造、テントへと組み立て可能な隠しパネル、取り外し可能なパッドを採用。これにより衣服は着用者のニーズに応じて変形する。都市生活から自然環境まで、幅広い状況に対応する次世代アウターウェアとして設計した。
受賞コメント(一部抜粋)
2年連続で受賞できてうれしいです。去年よりももっと気持ちを入れて取り組んだので、結果につながったことで報われました。今回の作品は、出身であるミャンマーで大きな地震があったことがインスピレーションの源で、「いつ何が起きても安心できるような住める服を作りたい」と思って作りました。テントの代わりになる服というイメージが最初にあって、そこから「シェルターウェア」という発想につながりました。テントはウエストのポケットに収納できるようにしていて、袖は取り外すとそれぞれバックパックになる構造です。緊急時やアウトドア、困難な状況でも、この服を身に着けていれば大丈夫 ── そんな実用性と心強さを備えた一着を目指しました。制作は正直とても難しかったです。テントと服をどう組み合わせて、一つのフォルムとして成立させるか。


取材協力 繊研新聞社
ファッショングッズ部門

グランプリ

ATTACHMENT
鳥居遼太郎(文化服装学院)
ATTACHMENT
作品コメント
時にビジュアル以上の価値があるものが持つ世界。たとえ自分の身体に合わなくとも身に着けたい、背景を纏う執着心(attachment)から着想し、より身体への適合にシビアな靴で表現した。
受賞コメント
名誉な賞を頂けて光栄です。構築的なデザインで、すごく作るのが大変でした。イメージしたのは、サイズが合わない古い靴を無理やり履く執着心。サイズが合わなくても、履きたいという気持ちです。コンセプトにした「ATTACHMENT」には、心理学において人やものに対する情緒的な愛着や結び付き、執着心という意味があります。ファスナーをサイズ調整ができるベルト代わりに使い、サイズが合わなくても履ける靴にしました。ポイントはファスナーに付けたタックボタンの使い方です。このパーツにどのような機能・役割を持たせるか、どんな使い方が実用的で面白いか、手を動かしながら考えました。私は固定するものとして使いましたが、他にもいろいろな使い方ができると思っています。使い古された様を表現したユーズド加工にもかなり時間をかけました。この経験を生かし、将来はデザイナーとして活躍できたらうれしいです。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞

Torn Bag
磯貝祐太(目白ファッション&アートカレッジ)
Torn Bag
作品コメント
バッグが破れてしまい中のものが落下している様子を表現。その落下しているミニバッグなどのアイテムをその日の気分やファッションに合わせ自由に付け替えられるところも魅力。一つのバッグでいろいろな表情を見せることができる。
受賞コメント(一部抜粋)
たくさんの素晴らしい作品がある中で、このように選出していただき、驚きとともにうれしい気持ちです。最もこだわったのは、バッグの破れているところ。荒々しさを出しつつ、そうなりすぎないようにバランスを意識して作りました。ボディーに使用したレザーもきれいすぎず、粗野な風合いが出すぎない、スムース加工をした牛革にしました。また、破れているけれど、きちんと中にものが入るようにしたかったので、どのようにしたら実現できるか、先生に相談しながら作りました。実は底板が付いています。実用性にも配慮したバッグになるよう心掛けました。破れたところに付けたミニバッグは、どんな形、大きさのものが合うか、たくさん調べました。装着部分はマグネット付きバックル(LB-MX)を使用しています。付け外しが簡単で、頑丈なところが気に入っています。将来はデザイナーになるのが夢。


取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞

voronoi
増田 凌(東京大学大学院)
voronoi
作品コメント
ファスナーのループを連結して作製されたバッグ。布やテープを排したシンプルなビジュアルによって、バッグの幾何学的な美しさと、それを構成するファスナー自身の美しさ、さらには数理的な設計手法の美しさを最大限表現した。
受賞コメント(一部抜粋)
受賞することができて、とてもうれしいです。普段はコンピューターでものを設計する勉強をしています。「3Dプリンターでファスナーを作ったら面白いのでは?」と考えたことがきっかけで、本アワードについて知りました。テクノロジーの力でどのようにすれば面白いものが作れるか、それを大事にした作品です。コンピューターで設計し、ファスナーを輪にして形にしました。一つのバッグにつき輪を100個くらい使ったのですが、それで分岐を作り、組み合わせるのがとても大変でした。重視したのは素材選びです。きれいな形を保つ堅さがありながら、ファスナー自身のきらきらとした金属の部分がより際立つ歯の形をよく観察して選びました。しかし、僕のこのファスナーは開閉することを想定していない。ファスナーとしての機能を十分に使えていると見てもらえるかが不安でした。でも、このバッグのハリはファスナーだからこそ。


取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞

backpacker
萩原奈音(上田安子服飾専門学校)
backpacker
作品コメント
バッグとして自転車に装着し、展開するとアウターとして着用可能。可変性と携帯性を備え、都市の移動と気候変化に対応する機能服。再生素材を用い環境にも配慮。
受賞コメント(一部抜粋)
まさか自分の名前を呼んでいただけるとは思っていませんでした。まずは支えてくれた人に感謝の気持ちでいっぱいです。これまで作ってきたものはどれも衣装寄りで、着用する人のことを考えた物作りができていませんでした。そこで、今回は実用性を意識して作った作品です。中学、高校の頃、自転車通学だったのですが、雨がとても嫌いでした。レインウェアは大きいものが多く、持ち歩くのが困難だったからです。最初から自転車に付けられてバッグとして機能するけれど、雨が降ればアウターにもなるのが私のベスト。それを形にしたいと思いました。こだわったのは、バッグの状態にしたときの大きさ、軽さ。そして、バッグの機能としての収納性です。折りたたんだアウターでバッグの中が埋め尽くされないように配慮しました。アウターのデザインは、ポケットを充実したり、裏地をメッシュにしたり、些細な部分を工夫しています。


取材協力 繊研新聞社
関連記事