結果発表
2026/08/03 10:00

第24回 CSデザイン賞 学生部門《学生限定》

主催:株式会社中川ケミカル

受賞作品数:11点

金賞

キリトリノコサレ
後藤謙太(関西大学 環境都市工学部)
キリトリノコサレ
作品コンセプト
東日本橋は昔より物流や交通の拠点であり、人の営みが盛んに行われました。それに伴い、何かが作られ捨てられることを繰り返し、発展していきました。したがって、そんな目まぐるしく変化する時代の中で、作り手や人々の営みを残すことを目指しました。そこで、モノを作るために切り残された切れ端には、作り手の“跡”が残ると考えその“跡”が街の人々に思いや夢を伝え、街を彩ることを表現しています。

銀賞

刻まれる風景
郭 宇添(國立雲林科技大學 視覺傳達設計系)
刻まれる風景
作品コンセプト
本作品は、江戸の職人文化に着想を得て、職人による反復的な修整と時間の蓄積を、立面における線の構成として表現したものである。線の太さや密度の変化により、手作業による彫刻のようなリズムと痕跡を生み出している。人が建築の前を移動することで、視点の変化に応じて線の見え方が変わり、流れるような視覚効果が生まれる。それにより、時間が持続的に流れていることを感じさせるとともに、人と建築との相互的な関係を生み出す。色彩計画においては、濃淡の異なるグレーを用い、この場所の過去・現在・未来を表現するとともに、周辺の都市環境と自然に調和する構成としている。
柴野杏菜(大阪モード学園 インテリア学科)
花
作品コンセプト
小さな幸せを数えるように、このお花は「気づきたい幸せ」を象徴する存在として位置づけています。どんな時代にも色褪せない華やかさをもつお花をモチーフに生命力が息づくこの街を表現しました。

銅賞

重なる手
谷口 慶(大阪モード学園 インテリア学科)
重なる手
作品コンセプト
実際に働く手の動きを撮影し、その輪郭を抽出しました。複数の輪郭を重ねることで、「ものをつくる手」と「人と人がつながる空気」を表現しています。重なりは、日々の行為の蓄積です。変化を受け入れながら暮らしが続いてきた時間を、線として描いています。積み重なった輪郭は、これまでを受け継ぎながら、次へとつながっていきます。
解像度のあいだ
長内一紗(桑沢デザイン研究所)
解像度のあいだ
作品コンセプト
人と空間、過去と未来、さまざまな概念が交差する街に存在する「MATERIO base」
この提案では、遠くからは街並みに溶け込むひとつのモザイク面として、近づくと確かな断片の集積としてビルが現れる。街に重なる記憶や手仕事の気配を、粒度が異なるドットとして重ね自然に溶け込んでいるビルの姿とその場に漂う空気感を表した。モルタルの曖昧な質感とカッティングシートを重ねることで、固定されないゆらぎや認識の変化を可視化した。
ビルをひとつの物体として固定するのではなく、街との対話の中で知覚が変化し続ける存として表現している。
記憶の層
潘 乃禎(國立雲林科技大學 分野横断型総合デザイン学士課程)
記憶の層
作品コンセプト
和服の文様に着想を得て、幾何学的な形態へと展開した。錯視と構造の重なりによって、時間が滲むような都市の風景を立ち上げている。重なりの中に、過去から現在へと連なる記憶の層が宿っている。

入選

図-地-素
半田健人(近畿大学 産業理工学部 建築・デザイン学科)
図-地-素
作品コンセプト
本計画は、カッティングシートという「地」を構築することで、既存のモルタル壁を「図」として浮かび上がらせる試みである。シートの配置と回転角に微妙に変化を与えることで、静的な壁面にリズムと奥行きを付与する。カッティングシートを単なる装飾ではなく、視覚的な境界を操作するツールとして捉え、都市の壁面に新たな関係性を提示した。
時間
西村 乾(東京都立大学 インダストリアルアート学域)
時間
作品コンセプト
江戸から続く東日本橋の営みは、雪が降り積もるように、静かな記憶を重ねてきました。中川ケミカルがともに歩んだ50年もまた、この街の風景の一部です。降りしきる一面の雪に託したのは、この街が紡いできた過去、現在、そして未来への軌跡。変わりゆく街の記憶に寄り添い、新たな物語をここに描きます。
薄いモルタルに馴染む白いシートは、一見目立ちませんが、確かな違和感となって通り過ぎる人の足を止めます。そして、雪が描き出す抽象的な造形は、見る人をこの街の長い記憶に誘い、思いを馳せさせます。
折りの境界
鄧 秀貞(國立雲林科技大學 視覺傳達設計系)
折りの境界
作品コンセプト
本作品は、壁面を街路と建築のあいだに位置するインターフェースとして捉え、それを折り畳み、反転し、再び展開される巨大な平面として再構成するものである。幾何学的な線の折れと透視的操作によって、ファサードには空間が反転するかのような視覚的張力が生み出され、壁面上に奥行きの幻像が立ち現れる。
これらの線は、建築構造の延長としての痕跡であると同時に、いまなお生成されつつある立体形態でもある。折り畳みの操作によって、未だ明確に定義されていない空間の可能性が顕在化し、確定と未確定のあいだにある状態が現れる。
観者が街路を歩行するなかで、視点の変化に応じて線は絶えず再編成され、空間の層が浮かび上がる。こうして壁面は、単なる都市の背景から、身体の移動によって触発される動的なインターフェースへと変容する。
重なりのなかの焦点
鄧 秀貞(國立雲林科技大學 視覺傳達設計系)
重なりのなかの焦点
作品コンセプト(一部抜粋)
東日本橋の街路は、書き継がれながら更新され続ける記憶のようなものである。かつてこの地は江戸期における呉服取引の中心地であり、旅人や職人、商人が行き交う場であった。時代の変化とともに、往時の呉服問屋はMATERIO baseへと姿を変えたが、織りにまつわる記憶は、いまも街路の肌理のなかに静かに残っている。
本作品は、そうした目に見えない歴史の流れを立ち上げる試みである。人が街路を歩くと、その移動に応じて壁面上の幾何学的な線が重なり合い、モアレ現象が生じる。それは単なる視覚効果ではなく、歴史・建築・人が時間と空間のなかで響き合う現象として現れる。
東日本橋の街路に日常的に見られる重なりや交わりのように、過去と現在はずれながら重なり、なお生成し続けている。図形の構成においては、呉服の紋様に見られる円・方・三角の三つの基本形を取り出し、それらを線の流れへと展開した。
小林歌乃(東京都市大学 建築学科)
柳
作品コンセプト
─ しなやかに成長する「柳」を、東日本橋の風景に重ねて ─
隅田川や神田川が流れる東日本橋は、穏やかさが息づき、時間がゆったりと積み重なる街である。その風景は、季節や天候の変化を受け入れながら、水辺でしなやかに枝を伸ばす「柳」の姿と重なる。この外壁デザインでは、柳のしなやかな生命力を、町が歩んできた歴史のレイヤーとして表現している。
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