受賞者インタビュー
2018/10/15 10:00

第20回CSデザイン賞 受賞者に聞く《一般部門》——アイデアをかんたんに実現するカッティングシートが、新しい可能性をつくる [PR]

第20回CSデザイン賞 受賞者に聞く《一般部門》——アイデアをかんたんに実現するカッティングシートが、新しい可能性をつくる
“定番コンテスト”としてたびたび紹介している「CSデザイン賞」。中川ケミカルが2年に1度主催する、装飾用シート「カッティングシート®(以下、カッティングシート)」に特化したデザインアワードだ。

単色やメタリック、蛍光、透明など、カッティングシートのバリエーションは約300色。豊かな質感と色彩、そして自由に切って貼って容易にはがせることから、ディスプレイや展示会、サイン装飾など、多くのクリエイターの創作現場で使われてきた。「CSデザイン賞」は、そんな装飾用シートを用いた適切で創造性に優れたデザインを発信・共有する目的で行われている。第20回の応募作品点数は、一般部門161点、学生部門309点の、計470作品。7月に受賞作が決定し、10月9日に贈賞式が行われた。(贈賞式レポートはこちら

今回の特集では、一般部門でグランプリを受賞したラング&バウマンへのインタビューを中心に、カッティングシートとCSデザイン賞の魅力を探る。

グランプリはスイスのアーティストユニット、ラング&バウマン作「Beautiful Bridge #2」

一般部門の対象となるのは、カッティングシートおよびそれに準ずる装飾用シートを使用し、指定期間内に実際に建築ファサードやエクステリア、インテリア、ウィンドウ、イベントのディスプレイ、サインなどに施工された作品。(2016年4月1日から2018年3月30日までの期間に制作されたもの)。

第20回CSデザイン賞 一般部門グランプリ「Beautiful Bridge #2」/ラング&バウマン作

Photo:L/B

グランプリを受賞したのは、スイスのアーティストユニット、ラング&バウマンによるアート作品「Beautiful Bridge #2」。2016年7月に東京・二子玉川を舞台に開催されたアートプロジェクト「TOKYO ART FLOW 00」の出展作品で、設置が一時的であることを前提に、国道246号線の橋脚を利用したパブリックインスタレーションとして制作された。

色とデザインで構成された圧倒的な表現はその場を訪れた観客を魅了。デザイン情報サイトJDNでは、作者のラング&バウマンに、作品に込めた思いや受賞の感想、カッティングシートという素材の魅力について伺った。

装飾用シートを使うことで、塗料より満足のいく表現ができた

——受賞の感想と、今回の作品のコンセプトを教えてください。

ラング&バウマン(以下、L/B):私たちのプロジェクトがグランプリに選ばれ、とても光栄に思います。今回の作品は、力強く、そして色鮮やかなイメージで橋脚を覆うことで、橋の下という不思議な空間の垂直性を強調するというコンセプトがありました。独特のジグザク形状で表現されるパターンが、自立した新しい要素として空間の中に存在するよう制作しました。

ポートレート/一般部門でグランプリを受賞した、ラング&バウマンの二人

ラング&バウマン
サビナ・ラングとダニエル・バウマンという二人のスイス人アーティストによるユニット。構造物、建築と作品がどのように作用しあうのかに着目し、展示空間そのものを変換、鑑賞者を作品の一部に取り込む制作を得意としている。

第20回CSデザイン賞 一般部門グランプリ作品。昼間と夜でちがった印象を見せていた(Photo:L/B)

昼間と夜でちがった印象を見せていた(Photo:L/B)

——アート作品を制作するときは、どのようなプロセスを経てつくっているのでしょうか?

L/B:まずは現場を訪れるようにし、その上で最適な素材や介入の仕方を考えます。はじめに調査を行い、その場の状況をできる限り把握します。私たちは2人のユニットなので、スケッチを描く前にとことん話し合うようにしているんです。時にはモックアップを作成することもありますね。プロジェクトの方向性が決まったあとは、綿密な計画を立てるよう心がけています。

——カッティングシートという素材のおもしろさや魅力は何だと思いますか?

L/B:通常は塗料を使い壁に直接作品を描いていますが、今回使用した装飾用シートは非常に魅力的な素材でした。このシートを使うことで、下地のコンクリートの凹凸をそのまま表現できますし、とても色鮮やかで表面の質感もよく、塗料を使うよりも満足のいく表現方法ができたと思っています。そして何より、展示終了後にきれいにはがせるところが素晴らしいですね。

第20回CSデザイン賞 グランプリ作品 施工の様子

施工の様子

作品を象徴的に自立させる、カッティングシート

これまでに世界中でビルや道路など公共の場を変容させ、新たな空間を生み出すような作品を制作してきたラング&バウマンにとっても、カッティングシートの魅力は大きかったようだ。

また、準グランプリは「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」のサイン計画、ファッションブランドspoken words projectと中川ケミカルによる企画展「はる つくる」、大分県の事業『みんなの芸術文化体験事業』において制作された「はぎのの森」の3つが受賞した。

第20回CSデザイン賞 一般部門 準グランプリ

上:「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」サイン計画
下左:企画展「はる つくる」
下右:「はぎのの森」作品の一部

受賞作品はただカッティングシートを貼るだけでなく、シートと別素材を組み合わせて新しい可能性を探った表現や、シートの上から絵を描いて作った表現、シートを折り込んで立体的にしたもので飾ったウィンドウディスプレイなど、表現の仕方や幅がさらなる広がりを見せているのが特徴的。

貼るのもはがすのも簡単で、誰でも自由に表現ができる素材は、これからもクリエイターだけでなくさまざまな人にとって自由な素材となっていくはずだ。

第20回 CSデザイン賞 一般部門 結果発表
https://compe.japandesign.ne.jp/result/cs-designaward-ippan-2017/

CSデザイン賞 公式ホームページ
https://www.cs-designaward.jp/

初出:デザイン情報サイト「JDN」
※「登竜門」掲載のため一部再編集
https://www.japandesign.ne.jp/interview/cs-designaward-20th-general/

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