第4回 リリー・オンコロジー・オン・キャンバス がんと生きる私の物語
応募作品数:112点(絵画部門:52点/写真部門:60点)
主催者:日本イーライリリー株式会社
絵画部門
最優秀賞
- エッセイ(一部抜粋)
- 私が乳ガンと診断されたのは、今から五年前の五月、その年の一月に、大切な友人を肺ガンで亡くし、深い傷も癒えずにいた時でした。恐怖と不安の最中での手術、胸の痛みに耐えながらのホルモン療法も終わり、ホッとしている矢先の再発に愕然。泣いている間もなく手術と放射線療法の辛い日々。そんな最中での骨転移。毎月の痛い注射と毎日服用する抗ガン剤の治療。容赦なく牙を向けるガンという病気は、私の体力と気力を奪い取っていきます。
入院中でも画材を持ち込んで好きな絵を描いていました。きっと描く事で気持を保ち続けていたのだと思います。長い入院生活で得る事も多いと実感しています。人との交流を通して自分らしくいられる事に喜びを感じていました。マイナスの部分を見ることよりプラスの事に目を向ける事も大事な心の支えになりました。心で感じようとすれば新しい発見が必ず見つかりました。
絵を描く事のなかにも不思議を発見したり驚きがあったり。
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写真部門
最優秀賞
- エッセイ(一部抜粋)
- 2012年11月9日 12時に携帯がなった。それは母からの電話だった。仕事の関係で遠くの地で働いているところ、突然の電話で不思議に思った。「お父さんが大腸ガンや、それも即入院で13日に手術。すぐに手術せんと余命半年と言われた。」人間ってホントに衝撃的なことがあると、涙も声も出ないもんだ。仕事の都合をつけて、10日に飛行機で実家へ帰る。フライト時間は2時間ぐらいやのに、その一日が鉛のように重く、長い時間に感じた。頭の中では、父がなくなる瞬間が幾度となく流れる。そして、大切な人が亡くなる恐怖。10日の夕方病院に到着、『絶対に泣かないぞ、泣かないぞ』っと心に誓った。それなのに、この2日で痩せ、意気消沈の父を見た瞬間にこれまで出なかった涙が堰を切ったように流れ落ちた。そして何も言えなかった。それから手術まで、一秒が一時間、一時間が一日、一日が一年のような長く重い時間を過ごした。
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絵画部門
優秀賞
- エッセイ(一部抜粋)
- 癌と宣告された父に、この絵を見て一瞬でも楽しいとか少しでも幸せを感じてもらいたい気持ちで描きました。
太陽とは生命の源であり、朝日には思わず手を合わせたくなる感謝の象徴でもあると思います。生きるという事。人生って…。今までの思い出。これからの貴重な時間。色々と考えさせられました。そんな思いを太陽の中に人生を描き表現しました。
上部の乗物が多く描いてある所は仕事を表現しました。
満員電車やバスに毎日ゆられ通勤される方や、肉体労働でお疲れの方、出張ばかりの方や単身の方もみえるでしょう。人生の大半を仕事にかける方が多くみえると思いますが、私の父も体調が悪くても家族の為に一生懸命働いてくれました。
その下には思い出を表現しました。愛する人と結婚して家族が出来た人もいるでしょうし、愛おしいペットがいる方もみえるでしょう。
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- エッセイ(一部抜粋)
- 二十六年前、四十三才の爽やかな秋晴れの日、私は再検査でT大学病院に行き、医師から左乳房全摘と宣告されました。気が付いたら帰りはいつもタクシーで駅まで行くのに、その時は無意識に歩いていました。街の騒音は聞こえず、行き交う人達は無表情で声も色彩も無く、暗いセピア色の影絵状の風景の中を夢遊病者の様に、それでも新幹線に乗りそして自分で車を運転して病院を出てから約三時間後、やっと帰宅しました。動揺しながらも頭の隅っこが少しだけ冷静だったのを覚えて居ります。
それから手術等経て五十日後退院しました。私は山里の自然豊か過ぎる処に住んで居りますがその時は、雑草生い茂った我が家に帰れたのがうれしく又、伸び放題の雑草達に会えたのもうれしく、その時初冬の寒さにも負げづに咲いていた残り花達の逞ましさ、真の美しさを見た様な気がしました。そして全感覚喪失状態からやっと抜け出せたと喜びました。
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写真部門
優秀賞
- エッセイ(一部抜粋)
- パパと完成させる夏休みの工作課題も今年で6回目。
実は、今年はちょっぴりフライングで完成させたんだ。
なぜなら、ボクが夏休みに入ると同時に、パパの次の入院が決まっていたから。
パパの右太ももにあった、ちょっと大きめのコブ。
日頃から見慣れていた、パパのある種のトレードマーク。
そのコブを筋肉と一緒に取ったのは、夏休みに入る二カ月前のこと。
約一カ月に及ぶ入院生活。
あんな長い期間、パパと離れて過ごすなんて初めて。
ボクはママと妹を守らなくちゃ、とボクなりに頑張ってたんだよ。
ようやく退院したパパの足には大きな、大きな手術痕。
立つことも、歩くこともままならないパパの姿は別人みたいで正直、怖かった。
「今年も一緒に作るぞ」と言ってくれてたけど、半ば諦めてた。
でも、ちゃんと約束を守ってくれたパパ。
それに今回は特別に、大工にとって一番大事な道具「のみ」を使わせてくれたんだよ。
凄いでしょ!
作業場でのパパは厳しくて、真剣勝負。
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- エッセイ
- 星の美しい里山で生きる。古希の節目にとはじめて健康診断に向かう。晩秋の日にポストにイエローカードが届く。これは何? 病院へ。再検査で癌でした。入院手術無事退院。
癌と共に始まりです。先を繋ぐ治療全てに耐え乗り越える気力。私は趣味でカメラを持ち美しい四季を撮っていました。里山の自然風景は喜びのエネルギーです。術後の治療の中で今どう向き合うか?を考え、出来る事から、好きな事楽しい事そしてこの里山で役に立つ事を私の目標にと。
夏になり窓から、星がきらきら輝いている星空に引き寄せられ、あの丘に星を見に行こう。カメラとお茶と灯りを持って車を丘に走らせます。丘はパノラマ星の煌きミルキーウェイは満天に、流れ星が!!!!
その瞬間にありがとう!! 生きる願いを星に託すのです。至福の時、癒され免疫力が高まり元気に癌と共に負けない私です。趣味もエネルギーにして。上を向いて生きています。