結果発表
2026/10/29 10:00

2026年度 日本造園学会 全国大会 学生公開デザインコンペ《高校生、学生限定》

主催:公益社団法人日本造園学会

受賞作品数:12点
※ここでは、最優秀賞・優秀賞・高校生奨励賞をご紹介します

最優秀賞

水のかよひに宿る堤 ~井路の精神を受け継ぐ営み~
小川千智、有馬 叶、奥山葉月、小野陽菜
水のかよひに宿る堤 ~井路の精神を受け継ぐ営み~
作品コメント
安威川下流域はかつて水と共に生きた農村地域である。排水をめぐる争いから井路(いじ)と呼ばれる水路が次々と整備された。井路は水を分け合い、人や流域を繋ぐものとして機能していた。しかし現在、工業化と治水インフラの整備により水は制御され、人と水の関係は断絶している。本提案は、並走するものの全く交わることのない三つの水系を一つの流域として捉え直す。地中にトレンチを埋設することで再び人が水と向き合う環境をつくり出す。その一つのかたちとして、伝統農業である一津屋独活の栽培を導入する。水に応じた人の営みを再構築することで繋ぐという井路の精神を現代に引き継ぎ、張り巡らされた井路を介して流域全体へと広げていく。

優秀賞(総合力)

炭まち、澄みまち
張 思語、黄 心言、戸梶 工、佐々木達有、小室虎太朗
炭まち、澄みまち
作品コメント
西除川流域では光滝炭の生産、まちにはため池というレガシーが残る。かつての里山との共生は燃料利用で保たれていたが、その循環は社会構造の変化により断絶された。本提案では、炭に浄化機能としての価値を見出し、地域に根付いた風景を構成するための現代的なインフラとして再導入する。木材需要が保たれ、里山との共生、流域全体の繋がりが取り戻される。これを展開させるために、一つのため池を中心とし、住民主体の下水コモンズとしての地域単位「ため池街区」を再区分する。手元から水路、水路からため池へと浄化のプロセスが街に現れ、視線の先には白い煙がたちのぼる。炭から澄みまちが生まれていく。

優秀賞(提案力)

泥と共生する地 どろち
實平栞那、大西慶和、高橋佑佳
泥と共生する地 どろち
作品コメント
本堤案は、かつての湿地帯を100年かけ再生する計画である。対象地である大東市の河川合流部では「排水不良」と「巨大な堤防による空間の分断」が地域課題となっている。そこで、堤防を無くし、浸水リスクの高い排水不良地から住民を移転させ、コンパクト化実現までの提案を行う。本提案は二つの特徴をもつ。一つ目が、コンパクト化に当たり、現存する三つの法律と新規に構築した三つの条例を組み合わせることだ。二つ目が、3段階の工程を設け、1週間かけて水を浄化させる仕組みだ。浄化した水は農業などに活用する。また、水鳥を模した遊歩道を設けることで、流域の人々が1年中、自然の浄化の力、水の力を感じられる場所となる。

優秀賞(表現力)

流転洄游劇場
松本創平、小野 真
流転洄游劇場
作品コメント
近代化は、我々に用途に合う水を直接届けさせるようになった一方で、流域を循環する水の繋がりを見失いやすくするものにもなった。各地に水との関わりの中で生まれた資源を有しながらも、それら産業の衰退、流域の面としての価値に偏りが生じつつある樫井川流域を対象とし、水を媒介とした繋がりを再興するための、社会空間としての劇場をデザインする。姿形を変えながらも絶えず流域をめぐる水の本質を「流転の物語」とし、主人公としての水のセリフ、舞台機構としての交通機関の運行、観客席として物語を感じ取る眺望を各地に設け、流域を一つの劇場という社会空間に施す。人が水を律する世界から、水が人を紡ぎ編む、そんな世界へのご案内。

高校生奨励賞

結んで 流れて 点を打って 結んで ─ 人、物、交通の流れを手繰る ─
西尾壮右
結んで 流れて 点を打って 結んで ─ 人、物、交通の流れを手繰る ─
作品コメント
淀川沿いには災害時緊急用船着場が10カ所整備されており、これらは大型車両が接岸できるようアクセスルートが確保されているが、平常時はほとんど活用されていない。また現在の大阪市内では、特に夕方の時間帯に深刻な渋滞が発生している。さらに配送需要は増えているのにドライバーは不足している。これらの問題を結び付け、舟運が流れることの有効性が高いのはラストマイル何km地点であるかを算出し、淀川と物流を再び結び直す。また船着場にランナーやトラック運転手の動線を結ぶ、高床式のランニングステーションを併設し、ポイント休憩で英気を養い再び流れ出て行く充電場所とする。淀川流域の人と物と交通の流れを手繰る提案である。
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