結果発表
2022/12/05 10:00

第38回 FUKUIサムホール美術展 in 金津創作の森

応募作品数:359点
受賞作品数:15点(奨励賞・佳作・入選を除く)
主催:公益財団法人金津創作の森財団、FBC
※ここでは、上位7点をご紹介します

大賞

庭の長椅子
井伊智美
庭の長椅子
審査コメント
どこにでもある路地裏のような庭に、ベンチが置かれている。物干しや庭木、散水ホース、コンクリートブロック、燐家の裏側、曲がりくねった塀、向こうの家の上にかすかな青空。なにげない風景にはたしかな生活の気配がある。なのに人影はまったく見当たらない。コロナ渦により人の姿が激減した寂しい街を経験した私たちにとって、新しい日常の風景とも感じられた。人の不在は逆に、ここにあるべき人の存在を強く想起させる。寂しくも温かい不思議な感覚をおぼえるのは、明るい光が差す画面のおかげであり、木製パネルに描いた技法のおかげかもしれない。審査員一同は、さりげないこの作品を一次審査から何度も見るうちに、徐々に魅力を発見していった。名もない生活の断片たちに向けられた、作者のさりげないまなざしの温度が伝わったに違いない。

準大賞

道程
松原隆志
道程
審査コメント
男の表情は鮮明ではない。無数に描かれた濃淡の厚みは、傷のようにも見え、深く刻まれた皺のようにも見える。それらは顔に直接描かれるのではなく、画面の手前に透明なスクリーンとして描かれている。まるで一人の男の人生における長年の喜怒哀楽に対峙しているかのような錯覚をおぼえた。モノクロームに見える画面にはわずかな着彩があり、それもまた人生の彩りをそっと伝えている。計算された繊細でたしかな描写力に、サムホールサイズならではの語り口の可能性を、存分に楽しませてもらえる秀作である。

優秀賞

記憶 2021-11(1)
中村啓子
記憶 2021-11(1)
祖母の家
緒方智奈美
祖母の家
宙の中で(こんにちはI)
磨野郁子
宙の中で(こんにちはI)
少年の顔
真下俊威
少年の顔
虚実II
脇 さち子
虚実II
関連記事