総評と大賞受賞コメント
すべての賞が決まり、審査会は司会の橋本氏により総括へと移りました。去年同様、大賞受賞者が来場しており会場はさらに盛り上がりました。受賞者である中村竜治氏は喜びを語るというより懸念の声があった防犯に触れ、「レンズを入れなければ機能しないということを考慮に入れた」と自身の意図を述べると、多くの来場者がうなずいていました。
その後、近藤氏の総評に移り、大きな拍手で今年の公開審査が無事終了しました。最後は審査員も疲労の色を隠せません。審査自体がかなりハードなパフォーマンスとなるからです。日ごろはデザイナーとして多忙をきわめる審査員たち。関係者も含めて10人以上が「デザインの視点」を披露し「これからのデザインに求められる要素」を探るというこの場は、プロであれ学生であれ、デザインに関心をもつ全ての来場者にとって貴重な機会となりました。
近藤氏の総評
今回はスムースに審査が進んだ。皆さんの協力に感謝したい。山本氏からの質問にも関連するが、ここ数年の審査ではさまざまなジャンルの方に携わっていただいており、「デザイン・アワード」も商業一辺倒から15,6年かけながらここまで変わってきたという歴史がある。「デザインの根本はなにか」の答えのひとつには、どんなジャンルであろうとそれを使う側との「コミュニケーション」が入ってくる。逆に、「コミュニケーション」をはじめ「ユニバーサル」や「インテグレート」など言葉ばかりが出てくると、デザインに新しいことがないのかなという疑問を持つ。やさしい時代になってきているのかも知れない。審査の方法についても問題点が出てくるだろう。そういう意味では、作品の平均レベルがものすごく高くなってきていると感じる。つまり、空間のデザインには「これだ」という核心がなくなってきている。その中で上位になった作品は、コンセプトやデザインの質でそこをうまく解決しているといえる。自分自身もそれを参考にしながら、これからのデザインの糧としたい。
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橋本氏の右隣に立つ大賞受賞者の中村氏。
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総括する近藤審査委員長。審査員は大きな仕事を終えてかなり消耗している。審査するパフォーマンスすべてが来場者にとっては貴重なイベントであり、充実した時間が過ぎた。
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