サイトウマコト氏
「JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA」
商業的にまとまっており、完成度が高い。ユーザの立場に立つと「こういうお店があったら入ってしまうだろう」と思える。
面出薫氏
「JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA」
面白いし空間的なアイデアがあるとは思うが、「気持ちいいか」というところで疑問を持った。照明の面白みに欠けていると感じたし、盗難に遭いそうな死角ができるな、と。ショッピングという楽しさがここにあるだろうか。「もっとここにいたい」と思わせて欲しい。
平野敬子氏
「JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA」
完成度の高さに感動し、その気持ちは今も続いている。かつては普遍性というか時間の流れに耐えうる空間を目指すものだとされていただろうし、それが自分の大切にしている価値観やベクトルだったが、今回は「瞬間的に飽きられてもいい」という前提での短命な作品が多く驚いたし審査に悩んだ。それを象徴するような作品であるが、収納を考慮した作品の完成度があまりにもすばらしいと感じた。
山本雅也氏
今年は公表しているように「コミュニケーションデザイン」を重視する審査と認識している。商業空間を審査するに当たってJCD賞らしさとして「完成度」をとるのか、その年のテーマに合わせた「サプライズ」をとるのか、非常に難しいところがあると思う。審査後になるが、今回のいちばんの基準を改めて審査委員長の意見を聞きたいと思った。
文田昭仁氏
「JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA」
平面図で改めてみると、いろいろな実験がなされているのだろう、と思った。次に向けて、賞が刺激になればいいと思ったので票を入れた。
「ILLOIHA OMOTESANDO」
クライミングという機能からいうと、石とか岩じゃなくモノを使う方法もあるとは思う。その次が問題で、空間そのものが何かを示唆するか、というところで疑問を持った。
片山正通氏
「JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA」
同業で同じ仕事をしていることもあり、自分がそれぞれの立場に立ったらどういう答えを出すかな、と考えながら見た。のびのびできる状況、そうでない状況もあっただろうが、「モール」という観点からこの作品に票を入れた。「モール」という空間の中でふと入ってみたくなるような、強いコミュニケーション力を持った作品がこれだった。確かに違和感はあるのだけれど、最近見かけないパワーのある作品だと思う。置かれた状況といちばん戦った作品として選んだ。
それぞれの意見が出されたところで、再度審査員の全員一致を確認し、大賞が《JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA》であると発表されました。続いて、金賞を除いたBest100から選ばれた審査員特別賞についても発表されました。
大賞
『JIN'S GLOBAL STANDARD NAGAREYAMA』
(中村竜治氏、株式会社中村竜治建築設計事務所所属)
審査員特別賞
間宮吉彦賞
『kisala』
(有限会社nendo)
ポピュラーな素材を使っているが、その素材感をうまく表現していると思う。潔いデザインであり、単純なデザインだからこそ考えて作ったのだな、とうかがわせるところを評価した。
片山正通賞
『UNIQLO 関西エアポート店』
(グエナエル・ニコラ氏、有限会社キュリオシティ所属)
勇気がある作品だと思った。商品だけが浮かび上がり、デザインを感じさせない。「店舗にデザインが必要か」と考えさせる空間。カオスのなかで集中させる装置としては一番だと思い、この作品を選んだ。
サイトウマコト賞
『Belberry』
(上垣内泰輔氏、丹青社および丹青インテグレイテッドデザインスタジオ所属)
趣味がいいとは言えないかもしれないが、しっかりした作品。作品としての「しつこさ」が気に入った。このシンプルな空間に挑戦している応募者に可能性を感じた。
文田昭仁・面出薫賞
『クローバーハウス』
(宮本佳明氏、株式会社宮本佳明建築設計事務所所属)
「実験し勉強しているところを評価したい。スクエアなものに有機的な形が侵食していくプロセスや空間そのものについてよく考えられている。」(文田氏)
「コミュニケーションとはなにかをよく考えた作品。父親と子ども二人の三人家族で暮らすということで、クライアントをよく見ている。良いアイデアであり、人が集まってコミュニケーションできるすばらしい作品だといえる。」(面出氏)
山本雅也賞
『b6(ビーロク)』
(松下計氏/藤田克美氏、松下計デザイン室/F.PLUS所属)
シンプルなサインが機能するかどうか、現地で確認したいところ。賞を選ぶということで、デザインの未来の一歩を予感させるものに決めた。番地イズムというわかりやすい言葉でチャレンジしたというところを評価したい。
平野敬子賞
『ABC kitchen studio』
(有限会社nendo)
(後日選定の結果)
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