【公募情報】デザインの力で社会を変える!「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」が作品を募集中
2019年で5回目となる「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」が、9月10日まで学生を対象にデザイン案を募集している。
「痴漢抑止バッジ」とは、電車やバスなど公共交通機関内で痴漢犯罪を抑止するためのツールだ。2015年にクラウドファウンディングで商品化され、以来毎年デザインコンテストを実施し、延べ4,520名が参加してきた。参加者のうち4割は男性だ。これまでの受賞作品は商品化され、関西・関東の私鉄売店や「コクミンドラッグ」店舗などで販売されている。
募集されているデザインは、「私たちは泣き寝入りしません」「痴漢は犯罪です」というメッセージと主催のロゴを必須要素としており、57mmのバッチ実寸の中に制作。公式ホームページにはテンプレートファイルが用意されている。
今回も、受賞5作品は商品化が予定されている。
みんなで一緒に課題を解決していける社会に
5回目を迎える今回は、アドバイザーとして、書籍「男が痴漢になる理由」の著者で、依存症治療を専門とする精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんが就任。審査委員長には生理用品セレクトショップ「illuminate」などを手がけるデザイナーのハヤカワ五味さんを迎えた。それぞれの専門領域からコンテストを支えていく。8月1日に行われた記者説明会には二人も登壇した。
斉藤さんは「痴漢加害者は、はなから痴漢を拒否するメッセージを発している人は選ばない」とし、そういった面で痴漢抑止バッジは有効な予防ツールになると解説。また、加害者は生まれつき痴漢なのではなく、日本社会に根強く残る女性蔑視の価値観の中で痴漢になっていくとも説明した。痴漢抑止バッジが社会全体の価値観を変えていくツールのひとつになればと、期待を寄せる。
ハヤカワさんは求める作品について、抑止力を持ちつつ、必要とする人が着けられるデザインにすることがポイントだと語る。痴漢被害に遭ったとき声を上げるのが苦手な人が「自意識過剰と思われたら嫌だ」「絡まれたら怖い」と着けるのをためらってしまうようだと、デザインとして成立しないと指摘した。
また、応募を考えている方に向け、「自分を含め、同じ女性でも痴漢に遭いにくい人もいて、どう取り組めばいいか分からない人もいると思う。でも、実際データで現れるくらいの被害があることに目を向け、自分事として考えてみてくれる人が増えてほしい。コンテストをきっかけに、自分と状況が違う人に想像力をはたらかせて、みんなで課題を解決していける社会になればと思う」と、コメントした。
主催は、痴漢抑止バッジにより被害も冤罪も無くしたいとしている。デザインの力で、被害に遭おうとしている人も、加害の衝動にかられた人も、双方を救えるかもしれない。学生の方はこの夏、ぜひ自分事として制作に取り組んでみてはいかがだろうか。
募集要項(登竜門)
https://compe.japandesign.ne.jp/scb-chikan-yokushi-badge-2019/
公式ホームページ
http://scb.jpn.org/contest/2019/
取材・文:猪瀬香織(JDN)