リズムのある絵画を生み出したい Idemitsu Art Award 2023グランプリ 髙橋侑子2 / 2 [PR]
制作を続けたい人のためにコンペはある
――では、遡ってこれまでの活動をうかがいます。いつごろから絵を描き始めましたか?
美術大学に入るために、美術予備校に通った高校3年生からです。親には高校卒業後は働くように言われていたのですが、大学に行きたかったんですね。美大であれば勉強より技術を身につければ入れるんじゃないかと思いました。デザイン学部など選択肢がある中で、油絵が一番美大っぽいと思って始めたら、油絵具が扱いづらくて最初は大変でした。でもすぐやめたと思われたくないので、必死にやっているうちに慣れていった感じです。
――東北芸術工科大学を選んだのはどんな理由ですか?
学費が良心的だったことが大きな理由ですが、結果的に東北芸術工科大学で良かったです。学生数も少ないので、先生は学生全員に目を配ってくださっていると感じます。制作スペースも1人1人広く与えられていると思いますし、せっかく美術大学に来たのだから大きい作品をつくる経験を積んでいこうという方針で指導する先生が多いです。
――失敗を恐れずにチャレンジしろということでしょうか。
はい。最後まで伸び伸びとやらせてもらえる環境があると思います。
――学外で作品の発表はしていますか?
先生から声をかけられた画廊でのグループ展には参加しているんですけど、自分から動いて学外で発表はしていないです。今は積極的に発表するより、作品を描きためた方がいいかなと思っています。
――「Idemitsu Art Award 2023」の展覧会が12月13日から始まります。来場者に特に見てほしい鑑賞ポイントはありますか?
自由に見ていただければと思います。絵画は一人で制作しなければならないので孤独ですが、そうして生まれた作品をきっかけに、たくさんの人に引き合わせてくれる機会をいただけてうれしく思っています。
――今後はどのように活動していきたいですか?
個展をしたことがないので、いい場所でできればと思います。また、日本から出たことがないので海外研修の機会があれば応募したいです。フランスかイギリスに行ってみたいですね。
――これから「Idemitsu Art Award」に応募する方へのメッセージをお願いします。
直接見ないとわからない良さがあるのが平面作品であり、「Idemitsu Art Award」の魅力は実物を審査するところにあると思います。私自身も賞をいただけるとは思っていなかったのですが、出してみないとわからないので、まずは出してみて、もし評価をいただければ制作の励みにもなると思います。
――髙橋さんの場合は賞を意識していなかったのが却ってよかったのかもしれないですね。髙橋さんにとってコンペとはどういう意味を持つものですか?
制作を続けていきたい人が出すものかなと思います。いい作品を作っていても誰にも見てもらえなかったら続けられないので、人に見てもらう大きなきっかけや自分の道を開く意味で出すものだと思うんです。今は大学院にいるから場所も確保されているし、見てもらえていますが、修了後は自分で頑張らないといけない。そういう学生にとっても大きな意味があると思います。
――「制作を続けるために」というのは実直な言葉ですね。こういう作家でありたいとか、賞金があるからこんなことも挑戦してみたいといったことはありますか?
無理せずに続けていきたいので、賞金は修了後にも制作を続けるための資金としたいです。
――情報が東京中心になりやすいですが、「Idemitsu Art Award」は地域に根を張って制作を続ける作家にも光が当たるチャンスだと思います。髙橋さんの今後の活躍を楽しみにしています。
文:白坂由里 写真:石垣星児 編集:萩原あとり(JDN)
「Idemitsu Art Award展 2023」概要
- 展示内容
Idemitsu Art Award 2023 受賞・入選作品(計54点)
Idemitsu Art Award アーティスト・セレクション2023(過去受賞・入選者の新作・近作を展示) - 会期
2023年12月13日(水)~12月25日(月)10:00~18:00(入場は17:30まで)
※12月19日(火)休館
※12月15日(金)・22日(金)は20:00まで(入場は19:30まで)
※12月25日(月)は16:00まで(入場は15:30まで) - 会場
国立新美術館 1階展示室1B(東京都港区六本木7-22-2) - 入場料
一般400円
※学生、70歳以上の方、障がい者手帳をお持ちの方および付添者1名まで無料
※会場にて、Idemitsu Art Award公式ホームページトップページのスマホ画像または印刷物の提示で入場料が100円割引