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2017/12/01 10:00

賞金総額300万円! 街づくりアイデアコンペ「SRF賞」が熱い2 / 2

賞金総額300万円! 街づくりアイデアコンペ「SRF賞」が熱い
ユニークな耐震補強法「SRF工法」。その名を冠して2012年から毎年開催されているコンテスト「SRF賞」を主催する構造品質保証研究所の五十嵐俊一社長に、この賞に対する想いや期待を語っていただいた。

五十嵐社長インタビュー「素直な気持ちが世の中を変える」

―― まず「SRF賞」を始められた経緯や目的をお聞かせください

五十嵐俊一:1955年生まれ。東京大学工学部土木工学科を卒業後、大手建設会社、マサチューセッツ工科大学建設工学課構造専攻修了、東京大学論文博士、イスタンブール工科大学客員教授を経て、1999年に構造品質保証研究所を設立。

五十嵐俊一:1955年生まれ。東京大学工学部土木工学科を卒業後、大手建設会社、マサチューセッツ工科大学建設工学課構造専攻修了、東京大学論文博士、イスタンブール工科大学客員教授を経て、1999年に構造品質保証研究所を設立。

五十嵐:この賞を始めたのは、SRF工法に至る経緯にあります。今でこそ多くの建物で使われているSRF工法ですが、実は夢で見たんです。

私は1997年まで建設会社に勤めた後、トルコの大学での技術援助プロジェクトの一環で耐震研究をしていました。1999年にトルコ北西部で大地震が起きると日本の調査団として現地入り、現地の方を指導して建物の被災度を調査し、当面使用できるかどうかを判断しました。ところが同年11月に別の地震が起きて、私たちが使用できると判定した建物も倒壊してしまいました。

1回目の地震後、この建物は大丈夫だから野宿をやめてくださいとの私たちの呼びかけを信じて建物に入ってくれた人々が、2回目の地震でその建物につぶされてしまった。

私はとても大きなショックを受けました。ほとんど不眠不休で一週間経った頃、夢を見たんです。地震が起き、目の前に白い布を巻いたコンクリートの柱が現れて、建物をみごとに支えていた。これでいいんだと、突然、目が覚め、誕生したのがSRF工法です。

―― 想像を絶するご経験のなかでひらめいたんですね

五十嵐:はい。私が感じているのは、世の中を変えるようなアイデアは、それまでの研究の延長線上からは生まれにくいということ。技術は、連続していくのではなく、ポン、ポン、ポンと飛んでいって進化するものではないかということです。だから、SRF工法のような、飛躍した着想を捨てずに育ててほしいという願いから「SRF賞」を始めました。

みんなに関心を持ってもらい、いろいろなアイデアを応募してほしい

―― 応募作品にはどのようなことを期待されていますか?

五十嵐:ポイントのひとつはテーマのとおり、みんなで街づくりを考えること。街の安全性や快適さは、不動産販売会社・建設会社など“売る側”の論理ではなく、街に住む人みんなが考えるものだと思います。

もう一つのポイントは、飛躍です。SRF工法は補強されるもの(コンクリート)より弱いもの(ポリエステルのベルト)で補強するという、従来とは真逆の工法です。世の中を変えることができるのは、今までとは逆の、飛躍した着想でしょう。普通はなかなか受け入れられず、本人もすぐ忘れてしまいますが、今回はぜひ提案にまとめていただきたいです。

包帯のようなポリエステル製ベルトで柱をまくSRFの考え方は、飛躍した発想から生まれている

包帯のようなポリエステル製ベルトで柱をまくSRFの考え方は、従来の硬いもので補強することから、飛躍した工法と言える

―― 2つの部門について教えてください。SRF部門はどのような方に応募していただきたいですか?

五十嵐:審査では、プレゼンテーションの質や必要に応じた検証も求めているので、研究的な仕事や勉強をされる方に向いているでしょうね。ただ、従来の延長線上ではないものを追求して欲しい。都市開発・建設とは異なる分野の方にもどんどん応募していただけたらと思います。アイデアは応募者の方々の手でぜひ実現してほしいと思っており、大賞100万円はその一助にしていただきたい。

―― 一般部門はどなたでも応募できそうですね

五十嵐:一般部門には、“みんな”、つまり、いろいろな方々に街づくりへの関心を持っていただきたいとの思いがあります。いろんなアイデアを応募してくれると嬉しいです。夢のような、思いつきで結構です。結果的に安全で快適な街づくり繋がればよいので、直接関係しなくてもいい。自由な発想で……川柳だっていい(笑)。

いずれの部門も、“飛ぶ”というのが重要です。2017年は酉年なので、その締めくくりとして飛躍できたら嬉しいですね。

大切なのは、素直で強い気持ちを持ち続けられるかどうか

―― 「SRF賞」は今回で6回目ですが、五十嵐社長は審査でどのような点に注目していますか?

五十嵐:アイデアを生んだ背景に、応募者の素直で強い気持ちがあるかどうか。危ない! とか、かわいそう! 残念、くやしいとか、そんな根源的な気持ちから生まれたアイデアには、真実があると思います。自分は何がしたいんだっていうことや、どんな街に住みたいのかということを、素直に表現してくれればよいと思います。

たとえば昨年の一般部門で小学生の方が応募した「これからのペットショップ」が印象に残っています。ペットがケージで衰えていくのがかわいそう! という切実な気持ちから生まれたすばらしいアイデアでした。

私はトルコの大地震で、私を信じてくれた人が建物の下敷きになったことを知り、茫然としました。自然の猛威に対して人の無力を痛感し、本当に身も心もボロボロの状態が続いたときにあの夢を見たのです。そんな強い想いや心動く経験が、結果として飛躍を生むのでしょう。

第6回「SRF賞」(主催 構造品質保証研究所株式会社 [五十嵐俊一社長])

―― 五十嵐社長の「SRF賞」に対する想いと、挑戦者へのメッセージを聞かせてください。

五十嵐:私の会社は“研究所”です。研究をしたくて設立した会社ですが、資金を稼ぐことと研究の両立は難しいものでした。たまたまSRFにめぐり合わなかったら、会社は続いていなかったと思います。「SRF賞」には、めぐり合いに対する感謝の気持ちもあります。これからも続けていくつもりです。

「SRF賞」を10回開催し続けることができれば、賞金額を1桁上げてもいいと思っています。みなさん、自分の気持ちを形にしてください。応募を待っています!

第6回SRF賞

締切:2018年2月13日 (月)
募集内容:テーマにそったオリジナルのアイデア
テーマ:「みんなで考える安全で快適な街づくり」
賞(SRF部門):大賞(1件)100万円ほか
賞(一般部門):優秀賞(10件)10万円ほか

募集要項:
https://compe.japandesign.ne.jp/srf-2018/

コンテスト公式ホームページ:
http://www.srfcon.com/

取材・編集:猪瀬香織(JDN)

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