TOKYO MIDTOWN AWARD 2024 アートコンペ
協力:合同会社生活と表現
-2月に副賞のハワイ大学でのアートプログラムを経験されて来たばかりだとか。
後藤:はい。とても楽しかったです。実は「リゾートの印象が強いから遊びに行ったと思われそう」なんて思っていたんですが、海外が初めての僕のような人間だと、入門編という感覚ですごくよかったです。日本語が通じる所も多いですが、適度に英語も使える環境ですし。それから気候のよさがすばらしく、とても元気になれたので制作もはかどりました。
-ハワイでアートを学んでみて、どんなことを感じられましたか。
後藤:ハワイ大学はとにかく広大で自然が多く、みんなが陽気で活発な印象でした。またアーティストや教授の感性に、自然に対する意識が非常に強くあることを感じましたね。僕のポートフォリオに学部時代に制作した蝶の蛹を使った作品があるんですが、鉄や糸、革の作品が並ぶ中でそこに反応する人がすごく多くて。作品制作や生きることが自然と密接に繋がっているんじゃないかと思いました。
-2週間のスケジュールの流れを教えてください。
後藤:平日はおもに制作と交流ですね。9時頃に学校に行き、自分用に借りたスタジオで18時、遅ければ22時半頃まで制作をしていました。作品は日本でつくったパーツを持っていって、現地で糸を張って仕上げ、最終日にカンファレンスルームに展示しました。もう一点現地で素材を買って制作を始めた作品は残念ながら完成できなかったんですが。制作といっても、他のアトリエにいるアーティストが来てくれたり、僕も見学させてもらいに行ったり、たくさん交流したいほうだったので毎日楽しかったです。学生の前で作品の解説をしたり、他のクラスの見学にも行きました。土日は美術館巡りなどをしました。
-アーティストや学生と話をして、何かの気づきはありましたか。
後藤:英語でコミュニケーションすること。それによって自分の理解も深まっているようで意義深かったですね。あとは、制作中に自分では普通だと思っていたタッカー作業の速さをとても褒められました(笑)。
-現地では英語でコミュニケーションされたのですか?
後藤:はい。簡単にですが。僕自身のキャリアアップを考えれば英語は重要なのに、忙しいからと先延ばしにしていたんです。それをこのアートプログラム参加をきっかけに始めました。2週間の滞在期間中になるべく実践するようにしました。英会話だと一対一だけど、現地では数人で話してみて気づくことも多かったんです。例えば、自分は質問されると答えられるけど、聞き取りはネイティブに追いつかないとか。ただそこでありがたかったのは、今回はゲストとして質問される立場なので、僕がアクションを起こさなくても何かが起きてくれるプログラムだったことです。話しやすい環境で徐々に鍛えてもらった感じがあります。
-現地で作品に使えそうなアイデアは見つかりましたか。
後藤:2つあります。1つは僕の作品を見た現地の学生が、作品と関連がありそうだと言って、マーシャル諸島周辺の古地図らしい「スティックチャート」を教えてくれたんです。ヤシの枝と貝殻で網目や図形をつくって島や海流の位置関係を示してあるんですが、それがおもしろくて。帰国してすぐ似たようなものを試してつくったくらいの収穫でしたね。もう一つはビショップミュージアムで見た木彫りの真っ黒なトーテムポール。作品からはそういう印象は感じないと思いますが、土着的でトライバルなものも大好きなのでインスピレーションにつながりました。
-最後にアワードに応募される方々へのメッセージをお願いします。
後藤:勝ちたいなと思って真剣に取り組めば、自分の想っている何倍も得られるものがあるコンペです。ぜひ、真剣に取り組んでがんばってください。
(取材・文:木村早苗)
応募期間:2017年4月27日(木)~5月18日(木)
テーマ:応募者が自由に設定
募集内容:東京ミッドタウンという場所を活かしたサイトスペシフィックな作品を募集します。テーマを設定し、都市のまん中から発信したいメッセージをアートで自由に表現してください。
http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/