審査の過程では競り合ったものがたくさんありました。また、昨日までは作動していたものが、審査時に技術的な問題で作動しないものもあり、その結果残念な思いをされた方もいるかと思います。非常に多様な作品が出展しており、審査員も今年から陣容が変わり、審査基準の中でどの項目に比重を置けばよいか、市民の参加型という点をどの程度評価するかなど様々な視点で、議論がなされ、最終的には全体的にバランスが突出していたものが各賞に選出されたと思います。今回、最優秀賞を受賞された方は来年度招待作家として、さらに良い作品を作って頂きたいと思います。また今年は屋内で展示されていた方でも、来年は屋外展示にチャレンジして頂ければと思います。
最後になりましたが、本アワードにご参加頂いた皆様、ご来場頂いた皆様へ御礼申し上げます。今後も、光のアートと環境技術の融合した演出を"横浜"から世界に広めていきたいと考えておりますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。
灯台は船員にとって信号であり、記号であり、言葉である。 同時に、夜景を彩る元来インスタレーションでもあるように思う。光が持つ言語的な意味のありなしに関わらず、心惹きつけられるものとして存在してきた。光り方を真似した灯台のようなものは、灯台として機能するのだろうか。
歴史ある港町としての横浜に注目した。灯台として機能する光と、見る人が意味を捉えない光が夜景として渾然一体となっている横浜そのものの象徴として表せないかと捉えた。作品が位置する場所は、陸の岬で周りの芝生は海のように見立てられる。大きさは、作者の等身大の大きさである。ミニチュアでもなく、実物でもない大きさが、周囲の環境を身体的に捉えることのできるきっかけになるのではないかと考えた。
レーザーというと鋭い光というイメージが強いですが、光の使い方によっては柔らかな印象を与えることもできます。本作品ではオブジェクトにレーザーが当たり、床に映る光が波のように見えることがわかります。そこから物事は一面ではなく見え方が変わる、ということを感じられると嬉しいです。
通常は床の低いところをレーザーが照らしています。そこにオブジェクトを置くと、位置を認識した光り方になります。オブジェクトにレーザーが当たることにより、強いイメージのレーザーが拡散し、寄せては返す波のように柔らかい光がさします。
都市や街は見知らぬ人々と出会える可能性の場所。照明や環境はこの可能性を手助けしてきた。スマートな照明にはさらに何ができるだろうか?たとえば、光は出会いの媒体になれるだろうか?人々の意識と光を繋げて、光を通じて他者と出会う照明を提案する。
照明の変化を舞台に2人の観客が自分の意思を表現し合うセッションの場を作ります。普段は表情の奥に隠れている意思が光に変化して外に現れます。具体的には集中度を頭につける生体デバイスで計測し、集中すればするほど照明が明るく点灯します。照明には一人一人の観客に対応した合計2つの明るさの中心があり、その周辺で2人を表す照明の明るさが交わります。
この作品は「呼吸する光」によって人のような要素を持つ光を表現したインタラクティブ・イルミネーションです。あたかも生きているかのように呼吸のような動きをしている作品で、人が近づき光との距離を縮めることで作品は人の気配を感じ動きと色を変化させます。人はそのときの気持ち・状態に合うように光の加減を調節し、光は自らの光を照らすことで人に温もりや希望を感じさせます。それら、互いに同じ表情を生む関係を精神的なつながり・関係と捉え、人のような要素を持った光のイルミネーション作品を提案しました。
作品の個数は2つ。どちらも音を放ちながら常に膨張と収縮の運動(呼吸の運動)を繰り返している。作品が膨張するとともに光の明度が上がり収縮するとともに明度が落ち、音もそれに合わせて変化する。この一連の流れを繰り返し行っている。作品に人が距離を縮めると呼吸の運動が止まったり静かに呼吸したり、人の気配を感じるような動きをみせる。その運動は二つの作品によって若干異なる。
暗闇の宙に浮いてゆらゆらと揺らめく無数の光。その正体は光る「やじろべえ」。片方には過去の「反省」を。もう片方には未来への「希望」の思いが入ったカプセルを、両方の合い反する感情を抱えなんとかバランスを保ちながら一本の線の上でゆらゆらと揺れる。自分たちの欲求のためにエネルギー資源をどう使ってきただろうか。これから未来の環境のためにエネルギー資源をどう使っていけばよいだろうか。こういったコンセプトをワークショップ形式で制作。参加者は片方には過去の過ちに対する「反省」を、片方位は明るい未来への「希望」を書き込み、それぞれの「想い」とともにカプセルに入れ込んでやじろべえの両端に取り付けていく。本作品は、それを空間に張り巡らせたワイヤーの上にバランスを保たせながら載せていくことで完成する。
現代人の購買欲求をそそるものの一つ100円ショップのガーデンライトのパーツを使用して、子供たちの物欲をそそるガチャ玉のカプセルの中に組み込んだシンプルなもの。既存電力をまったく使用せずソーラー発電とLEDライトで昼の間に受けた太陽の光をエネルギーとして蓄え、暗くなるとセンサーにより光りだす。素朴でシンプルな「やじろべえ」の原理でバランスを保ち自然の風を受けると不規則に揺らめく。作品として使用するものにも考え方を反映させて全体をデザインした。
横浜は、新しい文化に恵まれ、多様性と繁栄を享受する日本初の港町です。このオープン性の特徴から、私たちは織り成された "Pla-Ta-Pien"、タイの繁栄と調和の象徴である伝統的なこの折り紙の魚を、横浜の港へ贈ろうと決めました。時間を経て変化を創り出す努力をする人々の助けと団結なしには、裕福は永遠に続くことはできません。横浜港に訪れた私たちの "Pla-Ta-Pien"(プラ・タ・ピエン)は、はまっ子からのおもてなしを楽しみにしています。この魚は、喜びと繁栄、調和をもたらします。一緒に壮大な体験をしましょう!
PLA-CHUMは、RFIDを介して色の変化を連続して引き起こす、相互に作用しあうLED光源のPla-Ta-Pien(魚)です。背景は3面からなる、180 x 180 cmの楕円形のビニールで出来ています。Pla-Ta-Pien (魚のオブジェ)は半透明のアセテートシートでつくられ、内部にLED光源が織り込まれています。サイズは約100×150cmです。全てのオブジェは、床に立てられています。作品をご覧になる方へは、小さな魚をモチーフとしたRFIDタグを渡し、それはオブジェとやりとりをするために使われます。中央にあるこの魚のオブジェは、あらかじめ指定された順序のカラーライトで発光します。部屋の中に入り、与えられた小さな魚を使って大きな魚にシグナルを送ると、彩られたイルミネーションが連続して他のパターンに変わり、色の照明に反映して、印刷されたグラフィックアートは、その都度異なるものを見せてくれます。これらのインタラクティブな機能でもって、この作品は参加者に独自の照明パフォーマンスの体験を創作することを可能にします。