TOHOKU + N YOUTH DESIGN AWARD 2017《学生限定》
受賞作品数:6点(建築部門:3点/インテリア部門:3点)(佳作を除く)
主催:シエルホームデザイン(株式会社ホリエ)
建築部門
最優秀賞
蒼いの学校 縮小地域のたたみ方の提案
福田晴也(日本大学)
- 作品コメント
- 近代以降、河川は自動車の発達や、生活行為一部から切り離されています。また中山間地域では、少子化の影響から廃校が現れています。公共サービスを十分に受けるには都市部へでなければ受けることができません。そこで廃校寸前の学校をツーリストのための宿泊施設や研修施設へ改修し、新たに少人数の小中学校サテライトを設計します。そこには学校だけでなく、宿泊や市民のためのホールなど複合的な機能が川に隣接し、親水性をもった教育施設は近代によって失った公共性を新たに生み出す建築として、地域に根付く建築をめざします。
- 審査コメント
- 過疎化とツーリズムという人の流動、河川という自然環境の流動、学校と地域施設というプログラムの流動を捉え、地域におけるクリティカルなポイントに新たな建築を提案したことが評価された。構造計画や開口部のデザインが、これらを紡ぎ合わせるのに不可欠なものとなっていれば、より確かな強度を持った建築になり得ただろう。(橋本健史)
縮み続ける地域に対して、どのように空間を創造していくかの提案であり、それを「たたむ」という言葉で表現している点が優れている。(西村伸也)
世の中の移り変わりの中、少子化の課題を直面し「縮小地域のたたみ方」の発想表現を具現化した提案が面白い。その発想に裏打ちされた優れた作品であった。(地濃茂雄)
優秀賞
- 作品コメント
- 新潟のある水田の真ん中を敷地とする。
水田は1年をかけて、ゆっくりと高さや色を変え続けている。
それらを最大限に受けとる住宅を設計した。
春は庭に空が映り、秋はカーテンが金色になる。
流動する、水田の環境を生活の中に落としこんでいく。
- 審査コメント
- 水田の移りゆく風景と共にある生活像を、ミニマルで静的に表現していた。農業という循環する生業に対して、より積極的に参加するようなプログラムになっていれば、変わるものと変わらないものの機微に触れるような空間になったかもしれない。(橋本)
環境の変化を受け入れるという覚悟の表明であり、住人と環境の浸透性の裏に流れるゆるやかな時間を感じさせる。(西村)
自然の移ろいを取り込んだ癒し空間(時空)がうまく住宅として成立している。これにもう一つプラスする時空がさらなる作品の発展が期待される。(地濃)
つづら折る坂に住む生活のカタチ
中津川銀司(新潟大学)
- 作品コメント
- 3年次設計課題「30戸の集合住宅の設計」
この内野を歩くと坂によって上り下りという普段の動きにバリエーションが加わっていく。
上った先に表れる海や家々の景色。景色の多様な変化が内野にはあった。私はそれがこの場所を特別なものにし彩りや街の様子を作り出していると思った。道のカタチを建築へと読み換えることでそこに住む人々と周辺の人々、街の関係性を作り出していく。街から家々へと伸び、つづら折る坂は生活のカタチを生み出す。
- 審査コメント
- 集合住宅という合理性を前提としたビルディングタイプに対して、大らかで楽しげな回路を持たせ、活き活きとした生活像を描いていた。土木的なスケールが広域の環境に対して、災害対策やエネルギー問題といったような観点からも有効であれば、都市のなかの切実な生活基盤となりえたはずである。(橋本)
重なる環境をつづれ折りの坂として、表現する空間を投げかけている。そのプログラムと提案の特徴が高く評価された。(西村)
ダイナミックで野心的な提案に魅せられ、坂を切り口とした発想が、「つづら折り」の形で表現された優れた作品であった。(地濃)
インテリア部門
最優秀賞
ぬくもりの家
吉田真菜(盛岡情報ビジネス専門学校)
- 作品コメント
- コンセプトテーマは「ぬくもり」。1階はどこにいても家族のぬくもりを、2階は個々の部屋で太陽のぬくもりを感じることができるようデザイン。床やキッチン、階段などに木材を使用することで、自然なあたたかみを演出した。また、永く使ってもらえるように、シンプルなデザインと、使いやすい動線を考慮し間取りを設定した。
- 審査コメント
- 風除室という地域特有のしくみを肥大化させ、環境的な性能のためだけではない空間をつくっていた。これによって住宅を内部の問題に留めず、周辺との積極的な接点となるような可能性を感じさせた。(橋本)
広い風除室をもつ魅力的な提案である。細かい所まで設計の目が届いていて、高い質の空間になっている。(西村)
限られた住宅空間の中に温もりある家を設計表現した好感のもてる作品である。(地濃)
優秀賞
家族の団らん~コミュニケーションがとれる家~
須崎優花(盛岡情報ビジネス専門学校)