結果発表
2019/04/24 10:00

TOHOKU + N YOUTH DESIGN AWARD 2018《学生限定》

受賞作品数:6点(建築部門:3点/部門:3点)(佳作を除く)
主催:シエルホームデザイン(株式会社ホリエ)
建築部門

最優秀賞

灰彩集落
横川遥哉(新潟大学大学院)
灰彩集落
作品コメント
世界各地に存在する集落。都市化する現代において、集落には豊かな文化や住まい方が残っている。そんな集落が今減少してきている。集落の減少は単に集落が減少するだけでなく、現在につながる文化や住まい方も消滅してしまう。集落の豊かな文化や住まい方を残せないだろうか? 集落のこれからを考えてみる。
敷地は新潟県村上市山熊田。山熊田では「灰」を使った生業である「灰の文化」が現在にまで受け継がれている。山熊田だけでなく日本各地にはかつて「灰」を使用した生業が存在していたが現在では減少してきている。そのような「灰」による生業の空間を今回は提案する。「灰」による生業の空間は山熊田の「灰」の生業の作業空間となり、また「灰」の生業を伝える継承空間になる。
審査コメント
灰に着目した点に大きな可能性が期待される。伝統的な灰活用についても現代的な灰の展開についてもそれぞれがどのように空間化されるかを見ていくことも今後の課題としてある。(西村伸也)

地方の衰退が叫ばれて久しい中、地域や集落がどのような未来に向かうのか? その解の一つとして、「灰集落」をとりあげ、住み続けることの価値やその新しい仕組みを提案している。こうした問題解決に立ち向かう姿勢こそ、建築デザインの本質であり高く評価される。(地濃茂雄)

灰というものの行き着く先であるような物質について、その循環や価値そのものを問いかける提案が鮮やかだった。山裾にひっそりと佇む配置計画も良い選択だと感じた。プログラムに研究開発や実験的なアクティビティを組み込み、この建築によって静かながらも動的に地域の物質の循環を促していくようなビジョンが示されれば、よりよい提案になったはずである。(橋本健史)

優秀賞

漂う囲み
甲賀達郎(新潟大学大学院)
漂う囲み
作品コメント
D/Hに着目したマチに漂う有機な囲み感の成り立ちを考える。
審査コメント
D/Hを集合住宅の配置計画に改めて使うことで空間を変化させる仕組みを提案している点が高く評価された。もっと外部空間の個性がD/Hで示すことができるとも期待している。(西村)

日々変化し続けているマチのあり姿を「建築高さ(H)」と「外部空間の奥行き(D)」との比から分析し、その手法を生かして漂う有機的な囲み感覚を表現している。未来に向けて、新たなチャレンジモデルが生まれるような優れた作品である。(地濃)

D/Hという古典的な指標でありながらも、それを小さな分棟住戸の配置計画に取り入れたことで、現代的で繊細な距離感をつくりだそうとしている点が新鮮であった。その繊細なコントロールが各住戸のプランニングや庭のデザインにもっと決定的な影響を与えていれば、より活き活きした生活造が示せたように思われる。(橋本)
KUMIKO
佐々木 椿(秋田県立大学大学院)
KUMIKO
作品コメント
古くから日本の木造建築は多くの和の細部を持ち合わせている。中でも組子細工は長い年月を経て、建具から始まり、姿やスケールを変え工芸品へと発展をとげてきた。そのデザインは、木のみを用いた合理性のある形や、形遊びによって展開したものなど、形はどんどん遊びながら姿を変えてきた。そこで本作品は、組子細工の町である由利本荘市を舞台に、組子細工をスケールアップさせ自然と融合させることで、光を通し、影を落とす組子細工の新たな「遊び」を持つ建築を提案する。
審査コメント
組子を建築のモチーフに外部空間を提案している点が高く評価された。植栽、織物、自然、人を表象する様々な伝統的組子の形は、より建築に近づく可能性がありそうだとも期待される。(西村)

手仕事による繊細なモノづくりこそが日本文化の原点である。それが近代化の名の下に失われつつある現状を鑑み、忘れがちな伝統文化を組子細工の観点から掘り起こし、建築と自然との融合において、スケールアップしたデザインに成功した好感のもてる作品である。(地濃)

組子からインスピレーションを得て考えられた、土木工作物のような家具のような不思議なオブジェクトの提案で、独特のバランス感覚があった。惜しむらくは組子の意味の側面だけでなく、構造的な応用や、プランニングとの連動が見出されれば、繊細さと力強さが同居した大変ユニークなものになったのではないか。(橋本)
インテリア部門

最優秀賞

インテリアから考える家づくり
室岡郁哉(盛岡情報ビジネス専門学校)
インテリアから考える家づくり
作品コメント
それぞれの空間ごとに暮らしている印象が違い、使用する人によっても感じ方は変わってくるもの。それはよく目に入るインテリアに大きく影響を受けているのではないかと考えた。視覚的に楽しめる家づくりを行った。
審査コメント
きれいに構成された住宅の空間と共に、そのインテリアの住宅らしさが高く評価された。入口とリビングの空間、水まわりの提案がより整理されていくと、優れた住宅になる予感を与えてくれる。(西村)

住むことに新しい価値を見いだそうと果敢に挑戦した作品である。コンセプト、デザイン、プレゼンともに完成度が高く卓越した表現力は評価に値する。(地濃)

住宅をインテリアから考えるというコンセプトには可能性があると感じた。「古めかしい」や「ゆったりとした」といった空間に対するアプローチについて、もう少し自己批判的な検討がなされていれば、インテリアから考えたからこその提案に到達できたのではないかと思う。(橋本)

優秀賞

落ち着きのある家
小山田有沙(盛岡情報ビジネス専門学校)
爽~自然豊かな街での暮らし~
佐々木結衣(盛岡情報ビジネス専門学校)
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