結果発表
2019/06/05 10:00

第6回 東京国際写真コンペティション

受賞作品数:8点
主催:TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY

グランプリ

Better Days
Seunggu Kim
Better DaysSwimming Pool in Hangang Park
作品コメント
韓国は過去40年以上に渡り急速に発展をしてきました。その結果、皮肉ともよべる社会現象が多数生まれています。例えば、長時間労働に対する、非常に短い休暇。韓国でも人々は休暇を楽しもうと最善を尽くしますが、旅行をする時間がないために、主に都市部で時間を過ごします。そのため、ソウルとその近郊のレジャー地では、そういった人々を楽しませるために趣向を凝らします。そこにあるのは、西洋と韓国文化が混ざりあった風景。「Better days(より良い日々)」は、短い休暇を楽しむための韓国人的視点・光景を表現しています。

受賞

Reconstruction of a Family
Lebohang Kganye
Reconstruction of a FamilyNever light a candle carelessly
作品コメント(一部抜粋)
灼熱の太陽が肌を突き刺す中、現地の住民が「ヴィレッジ」と呼ぶ東ケープ州カルーの小さな町ニーウ=ベセスタの砂利道を私は数週間に渡り歩き続けました。
ショーン・グラフは、ケープタウンとニーウ=ベセスタの間に住む若いアメリカ人女性で、ヘレン・マーティンズとクース・マルガスによって創られたオウル・ハウスと呼ばれる建物と、セメントでできた彫刻の修復と保護に取り組んでいました。
グラフは私たちに多くの村人たちを紹介してくれました。例えば、裏庭で蜜蝋から化粧品を作る養蜂家、馬のしっぽを使ってバイオリンの弦を作る職人などです。私たちは、農家が入札を行う、羊のオークションにも出かけました。そこで、アソル・フガードの演劇を英語からアフリカーンス語に翻訳をしている“タニー”(おばちゃん)に出会いました。
シルエットで模られたキャラクター。それらが演じるミニチュアの劇場セット。
Don’t Think of an Elephant
Diambra Mariani
Don’t Think of an Elephant
作品コメント(一部抜粋)
イタリアでは犯罪数が減少している。2017年8月1日から2018年7月31日までの1年間は、前年の同12カ月と比較して9.5%減少した。それにも関わらず、4人に1人のイタリア人が夜中に一人で出歩くことを恐れ、10人に1人は、家に一人でいることを怖がっているという。
このフォトグラフィック・リサーチは、人々はなぜそこまで恐れるのか、そしてその恐怖にどう反応しているかの調査を目的としたものだ。このトピックに取り組む機会は、イタリア議会の下院にて行われる刑法第52条の変更提案に即したものだ。新法では、米国刑法上の原則である「城の原則」から部分的にヒントを得た「正当防衛の推定」を導入するだろう。その目的は、「個人の私有地において起こった他者の殺傷については、自衛に基づく行動である」という反論を許さない推定に基づき、罪に問われないものにすることだ。
California City, California
ミナミ・ノリタカ
California City, CaliforniaTract No.3282(California City, California)
作品コメント(一部抜粋)
本作《California City, California》は、社会学者からのちに不動産デベロッパーへと転身したネーザン・メンデルゾーンが1958年に発表した、モハーベ砂漠をカリフォルニア・シティーという巨大都市へと転換する構想を追ったものです。カリフォルニア・シティーは、第二次世界大戦に急激に増加する人口と経済発展の受け皿となるべく、カリフォルニア州の新たな大都市を目指し計画されました。たとえ過酷な砂漠の真ん中であっても、豊かな近代的生活を送るために必要不可欠なものを構築しうる自由さとパワーを、人類は持しているのだという信念に基づいた計画でもありました。メンデルゾーンと共同経営者たちは、30万平方メートルにも及ぶ土地を丁寧にデザインし、占有面積でいえば州で3番目となる大都市を実現させるべく都市設計を実行しました。
You Don’t Look Native to Me
Maria Sturm
You Don’t Look Native to MePatricia, Mescal and Frankie
作品コメント(一部抜粋)
“You don‘t look Native to me”(ネイティブには見えない)は、人口の89%がネイティブアメリカンであるノースカロライナ州ペムブロークに住む、若い先住民たちの生活を切り取った作品のタイトルであり、引用文です。
この町は、ミシシッピ川の東側で州の認定を受けている最大のインディアン部族である、ノースカロライナ州ランビーインディアン部族の集まりです。彼らは連邦政府には認識されていないため、特別保留地も金銭的利益も享受していません。私は、歴史を通して変容した彼らの自己表現の仕方、彼らが日常的に直面しているアイデンティティの問題、そしてネイティブであることへの誇りをトレースしています。
作品は、風景や場所、インテリア、静物、状況写真、そして肖像画から構成されています。
IZITYHILELO ZIKA NDZIMANI(Revelations from the Children of God)
Rhulani Anthony
IZITYHILELO ZIKA NDZIMANI(Revelations from the Children of God)
作品コメント(一部抜粋)
「Iziythilelo」は、キリスト教の聖書における「黙示録」に関連するコーサ語です。
黙示録では、「終わりの時」または「最後の日」についてが語られ、その時に起こると予言された多くの行動を非難しています。
この写真シリーズは、若者が進化する複雑な世界の中で、彼らの「居場所とアイデンティティを切り開きたいという欲求」と「霊性の必要性」との間に、どのような矛盾を感じているかを探っています。
道徳や性に対して保持されてきた長きにわたる信念と、彼らが切り開こうとしているアイデンティティの間には、内的な対立があり、これらの価値観の多くは、生きた経験と対立しています。新たなアイデンティティの発見は、社会的、宗教的規範に基づいて認識される「自分たちは何者で、何をすべきか」という概念に、異議を申し立てています。
このシリーズは、この内的な対立が、自己決定の必要性にどのような影響を与えるかを探る作品です。
100 Hectares of Understanding
Jaakko Kahilaniemi
100 Hectares of Understanding100 Planted Saviors of the Heritage
作品コメント(一部抜粋)
歴史的にも経済的にも、フィンランドにとって森林の重要性を誇張することは不可能です。国の総面積の71.6%は森林で覆われおり、それは2600万ヘクタール以上に上ります。私自身も、100ヘクタールを所有しています。
「100 Hectares of Understanding(100ヘクタールの理解)」は、私が1997年に受け継いだ森林を理解するための試みです。成人期を通じて、私の森との関係はあまり良かったと言えず、相続に対して私は無関心でした。森林、そして林業の世界での最近の探査は、私の不慣れな相続財産に対する興味を引き起こしました。私は、都市化した人々に自然が何を提供できるかを研究し、そして森林を体験し感じる新たな方法、新しい考え方を創造しています。
身近なものを芸術に変換する錬金術を適用する前に、私はレンズを通して自然を捉えます。
Jiang Nan: Changing Traditions in Western China
Boyuan Zhang
Jiang Nan: Changing Traditions in Western ChinaA graveyard of candy.
作品コメント
中国北西部にある広大な土地、新疆ウイグル自治区で私は生まれました。何千年もの間、西部地域として知られてきたその地区には、今では何十もの民族グループが住んでいます。私は、ハン民族の「移民」の子孫でもあり、私の仲間の多くは新疆に住む三世達で、祖父母は、政治的および経済的な理由からこの場所に居住しました。
海外への留学期間中、ホームシックになった私は、根無し草であることを避けるために故郷を必要としました。ある都市から別の都市へ、荒れ果てた土地を通って川に沿って進み、私はより多くの人々と出会い、写真を通して彼らとのつながりを確立しようとしました。これらのつながりは短命で脆弱なものでしたが、間違いなく私の傷を癒すのに役立ちました。
私はこれらの場所を故郷にしたいと思っています。そして私ができることは出合った場面と人々の顔を、私の心の中だけでなくフィルムに刻むことなのです。
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