結果発表
2024/09/24 10:00

白髪一雄生誕100年記念事業 ロゴマーク募集

主催:白髪一雄生誕100年記念事業実行委員会

応募作品数:401点
受賞作品数:15点

最優秀賞

鈴木佳奈子
決定ロゴマーク
作品コンセプト
「フット・ペインティングをしたのは誰か?」ということで、作家本人の顔と、絵を生み出した足の裏を合わせました。白髪一雄さんを知らない人にも、ロゴの足から興味を持ち、このアーティストがどのように制作したのかを知るきっかけとなることを願い、作成しました。
審査コメント
まず目に飛び込んでくる「足の裏」、そしてその左右の足の裏の間に優しい「顔」がある。ダイナミックな「フット・ペインティング」を行う白髪一雄氏を、ソフトに表現している。その顔は、穏やかな仏様のような表情である。エネルギッシュな白髪氏の内面を表現しているようで、何か人間味とユーモアを醸し出す。黒と白の構成はダイナミックで、白髪作品の息吹を感じる。(長谷川義史)

生誕100年ということで多くの作品が集まった。その中で本作は、白髪一雄氏の象徴である足裏をモチーフとして、画家本人の顔がロゴとしてユーモラスに展開されている。白髪氏とその作品が歩んだ100年のアーカイブが、白髪氏を彷彿とさせるキャラクターによって、これからの100年に向けてコミュニケーションを促し、広がっていくようなデザインだと感じている。二つの足形に白髪ご夫妻の二人三脚、奮闘が描かれていることにも感銘を受けた。(服部滋樹)

優秀賞 オーディエンス賞

工藤規雄(グリフ)
審査コメント
白髪一雄氏の行為を象徴する図形と骨太の文字組みによるデザインは、安定感があり、上手くまとめられている。文字のディティールの表現にまで注意が注がれており、熟練したプロの仕事という印象を受けた。明快なデザインは、広く一般の人々に向けたロゴマークとしての機能と条件を十分満たすものである。それ故に、造形の意外性や新しさの点で課題が残されているように感じる。日本語のロゴは、欧文に揃えて横組にする方が自然ではないだろうか。(荒木優子)

優秀賞 公益財団法人尼崎市文化振興財団理事長賞

須藤正樹
審査コメント
白髪一雄氏の制作の様子を床に広げたキャンバスの下から見上げるという、実際には体験できない視点が素晴らしい。白髪の作品の特徴である「アクション」の表現という点では、一次審査で残った5点の中で、もっとも優れていた。ただロゴマークとして採用するには描き方がラフで、線も細く、その結果、他の候補作に比べインパクトに欠けたのが残念。人体の表現がもう少し整理されていたら、さらに高い評価を得たにちがいない。(平井章一)

優秀賞 尼崎商工会議所会頭賞

花井仁哉
審査コメント
「白髪一雄生誕100年記念事業」におけるキーワードの「百」、「足」、「白」の三つの漢字が組み合わさってできたロゴマークは、霊符文字のような不思議な魅力を醸し出している。このような一風変わった文字に出くわした時、そこに意味を読み取ろうとする人が多いのではないだろうか。それが狙いかどうかは不明だが、発想はユニークである。しかしコンセプト倒れになっている点が否めない。ロゴマークの造形性を高める工夫が、もう一手あれば良かったと思う。(荒木)

優秀賞 尼崎信用金庫賞

久保大樹
審査コメント
本作は、デジタル表現のテクニックを駆使し、多くの作品の中で意表を突くものだった。白髪作品からモチーフを抽出し、編集を重ねて出来上がった本作は、白髪一雄の文字を絵画のダイナミックさそのままに表現する部分と、白髪が描いた円を白と読ませるアレンジを加えた巧みな組み合わせによって構成されている。リアルとデジタルを融合させたこのギミックは、ポストインターネット時代の現代的表現として象徴的である。変幻する時代に白髪氏の精神を表す作品として捉えた。(服部)

子ども特別賞

山口珠樹
上島杏來
大石怜奈
樫村七都
柴田琉輝
首藤正之介
時任 燈
永谷玲奈
三浦 慶
山本湊翔
審査コメント
子どもたちの作品は、どれもこれもあれもそれももうみんな傑作なのである。無邪気なのである。無作為だからだ。床に置いた絵の具を足で描いた白髪一雄氏。天井から吊るしたロープにつかまって、キャンバスの上を絵の具と滑るに身をまかせたその技法は、無作為に作品を描くための技であろう。白髪氏も子どものようになろうとしたのではなかろうか。だから、子どもたちの作品は、どれもあれもそれももうみんな傑作の天才なのだ。(長谷川 義史)

たくさんのお子さんの力作から10点選ぶのは至難の業だったが、既成の絵画にとらわれない自由さと独創性、白髪一雄氏の作品を念頭に置いた線の流動による力強さをポイントに見た。白髪氏は若いころ小学校で美術を教えたり、子どもの絵画展の審査員をされるなど、子どもたちの作品と積極的に関わりを持たれたが、「描く」という表現が持つ根源的な力に自身の作品との共通点を見出されてのことだったのだと、改めて強く感じさせられた。(平井 章一)
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