結果発表
2020/02/28 10:00

第21回 雪梁舎フィレンツェ賞展

応募作品数:164点
受賞作品数:6点(オーディエンス賞を含む、入選を除く)
主催:公益財団法人雪梁舎美術館

フィレンツェ大賞

精霊に告ぐ
藤田麻知世
精霊に告ぐ
作品コメント
私が使用する画材は、ほとんどが天然素材であり、職人さんたちが手作業でつくった物なので、絵師である私は、多くの職人さんたちの仕事の集大成となるように、丁寧な仕事をしなくてはならないと思っております。
描く対象の面白さ、霊性、形態、独自性などを、最短距離で伝えるために構成し直し、画面に定着させる作業は、楽しくもあり大変な作業で、私には勉強がいります。
作品が仕上がるにつれ、いつももっと、まだまだやれることがあるのに…という気分になります。
一枚の作品を描くということは、描く対象を通し森羅万象と繋がり、職人さんたちと繋がり、観る方たちと繋がり、私に「まだまだやれるその何か」を探す目的を与えてくれるのです。
今回の作品で、左端の上に蝶を描きましたが、それは私自身であり、あなた自身であると感じていただけたら幸いです。

フィレンツェ美術アカデミア賞

君は雲の旅の様
児玉沙矢華
君は雲の旅の様
作品コメント
虚像と実像が映り込む世界を描くことで、作品を観る人の空想を拡げていくような絵画を目指しています。
水溜りを見ると地面であるはずの場所に空が見え、視点が逆さまになり、不思議な感覚に陥ることがあります。その空の鏡像の上ならば、空を飛ぶという空想が実現するような気持ち、空想が現実に拡張していくような感覚になれるのではないでしょうか。
今回の作品は、鳥に見えた形が飛んで行ってしまった後、空に解けこむという空想から描き始めました。また、雲の形が鳥に見えることがあるように、人の仕種や自然の形も何かに見立てることができます。観る人によって空を飛んでいるのか、水上の出来事なのか、絵の物語が変わってくるかもしれません。
空想の中で雲のように旅をすることを楽しんでいただけましたら幸いです。

ファウンダー捧 賢一賞

かくれんぼ
鈴木ほのみ
かくれんぼ
作品コメント
敵も味方もみんな一緒に生きている。
生きている意味を考えても答えはでない。
楽しもう。
この毒でいっぱいの世界を。

優秀賞

ここなら自分の形がわかる
城野紗貴
ここなら自分の形がわかる
作品コメント
日常から少し離れて、静かな場所に行くと自分の歩く足音が聞こえます。自然のなかに残されている、誰かがいた痕跡を見つけて想像したり、一枚の葉っぱだけが揺れているのを観察したり。
自分のすぐ近くの、些細な事象で考えが満たされるのを感じます。
他者との関係のなかで成果を生み出すには、たくさんの情報からヒントを得て流れに乗る必要があり、気まぐれに歩みを止めるというのは難しいことです。自分の意思で進む方向を決められるという実感と、この足跡がきっと残るという自信をいつでも取り戻せるように、自分の形を確かめるための時間を、作品のなかに留めようと思いました。
自由がある動物園
陳 璟
自由がある動物園
作品コメント
今年、日本は商業捕鯨を再開した。私は外国人である。そして、肉も食べる。だから、この国の伝統や習慣など責める立場ではないと知っている。台湾でも、ふかひれを食べるために、残酷な手段でサメを捕獲するという事実がある。そこには、人間の地位や財産を自慢する手段が内在している。商業捕鯨を再開したことをきっかけに、色んなニュースや資料を調べ、悲しさを感じた。
今年の5月に、哺乳類の展示を観に行った。そこには、たくさんの剥製が展示されていた。私は、この空間が鑑賞者にとって一種の娯楽や学習のような場所だと感じたと同時に動物たちにとって、お墓のようなところではないだろうかとも思った。大きな鯨の骨をデッサンしながら、死んだ後に土や海に戻れないけど、せめて魂は自由でいてほしいという願いを込めて描いた。

オーディエンス賞

音孔
柳田金乃助
音孔
作品コメント
この度のオーディエンス賞受賞、大変嬉しい限りです。
たくさんの来館者様による膨大な視点から、今回の作品である「音孔」が支持を受けたことは私にとって大きな自信となりました。
そして皆様から寄せられたコメントの中には制作者の私ですら全く想像もしなかったような「音孔」への所見も存在し、公の場へ作品を出すことの意義をより強く感じた次第です。
今後は皆様にいただいたこの賞を新たな糧として更に良い作品をお届けできるよう腕を磨いていきたいと思います。

最後に
雪梁舎美術館および東京都美術館へ来館された皆様、
「音孔」へ投票、コメントをしてくださった皆様へ
ここに最大級の感謝の気持ちを表明いたします。

本当にありがとうございました!
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