結果発表
2025/06/10 10:00

サンゴバン 国際学生建築コンテスト 2025《学生限定》

主催:サンゴバン・グループ

受賞作品数:4点
国内大会

1位

SELF MAKING
稲上結実子・阿部倉周斗・鈴木大翔(芝浦工業大学 建築学専攻)
指導教員:田口博之(芝浦工業大学 システム理工学部 環境システム学科 教授)
SELF MAKING
審査コメント(一部抜粋)
全作品のなかで、<SELF MAKING>というテーマに基づく展開、環境問題への配慮(省エネルギー化への工夫)、暮らし方(ライフサイクル)のイメージ等最も具体的でバランスのとれた表現を提案していた。
セルフビルドによる学生の活動を地域の人々と一緒に行うことでコミュニケーションに結びつけ、二つの地域のネットワーク化を目指そうという意図も優れた提案に感じられた。
CHIMILINの改修に関しては、既存建物の改修よりも増築に力を注いでいる。大きなテラスを備えたシェアキッチンやカフェの増築は地域住民に新鮮なコミュニティの場を生み出し、大きな効果をもたらすと考えられる。他のチームにはない斬新な提案であった。
Villefontaineの新築に関しては、まず敷地の高低差を巧みに利用したリニア―な建築の配置が評価される。(伊東豊雄)

2位

RE:PU BLIC → BRICK
西田彩ら(立命館大学 理工学研究科 環境都市専攻 建築都市デザインコース)、國松六花(早稲田大学 創造理工学研究科 建築学専攻)、増田雄太(京都大学 工学研究科 建築学専攻)
指導教員: 宗本晋作(立命館大学 建築都市デザイン学科 教授)
RE:PU BLIC → BRICK
審査コメント(一部抜粋)
ヴィルフォンテーヌで学生が作ったピセ・ブリックをシミラン村の改修に用いることでシミラン村を結び、ゆくゆくはフランス全土を結びつける提案である。ヴィルフォンテーヌの新築では、北から南に風を抜くよう南北に長いピセ・ブリックによる壁が幾重にも並び、木トラスの屋根が東下がりの地形に沿って段状に南北の壁に掛けられている。その造形はおおらかで美しく、また東西の移動の際には、南北の壁に開けられた開口を通り抜ける度に様々な活動や風景を目にする仕掛けも楽しい。北側の森との間にワークスペースや展示エリア、菜園などを設けるプランにも大いに好感が持てた。(若林 亮)

3位

Re:Flow
半澤龍太郎・阿部公紀・西郷姫奈(芝浦工業大学 理工学研究科 建築学専攻)
指導教員:松下希和(芝浦工業大学 システム理工学部 環境システム学科 教授)
Re:Flow
審査コメント(一部抜粋)
「フローの再生」をテーマに、地域の一次・二次産業と建築による循環に加え、風・人・地・緑のフローを提案。ヴィルフォンテーヌでは学生と住民が小麦や家畜を育て廃棄物と腐葉土からピセブロックを生産、シミランではサテライトキャンパスとして建材生産と建物改修を実践、その経験をキャンパスへフィードバックする循環を提案した。
ヴィルフォンテーヌの建築は軒が連続した大屋根が印象的で、農地やビオトープと調和した気持ちの良い空間を表現している。シミランの改修では屋根・内壁・窓・外構を中心に手を加えることで建物の内外を効果的につなぎつつ建物の性能向上を図っている。太陽光・風・雨水・バイオマス素材を活用して環境負荷を減らしつつ、農・食・建材生産・建築体験を行う共同体の生活は魅力的に感じられた。
シミランの北側の壁は施工検証用だが工事現場のようなやや閉鎖的な印象を持たれた。(掛上 恭)

学生賞

Border Landscapes
柏木聡子・林 賜紀・寺門美鈴(早稲田大学 創造理工学研究科 建築学専攻)
指導教員: 萩原 剛(早稲田大学 建築学科 教授)
Border Landscapes
審査コメント
自然災害に直面すると、自然環境の脅威と建築の脆さからその共生の難しさを感じざるを得ない。建築という行為そのものが自然環境に対して境界をつくるため、その境界のあり方を考えることが建築と自然環境との共生のあり方を考えることにつながる。敷地周辺で起こり得る洪水のバッファーとなる隣接するブナ樹林帯を建築環境かつ修景に取り込み、東西長の敷地に対して風向を考慮した配置と自然に配慮したLow-heightな雁行デザインとした本作品は、シンプルでありながら敷地コンテクストを捉え、建物と自然環境の境界が交わる風景を作り出す美しさに長けている。リノベーションにおける建物と自然環境の境界、既存建物や地域住民との関係性が示せると、より境界が交わる風景が作品全体に具現化されたと思う。
今後のご活躍に期待する。(南 章子)
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