結果発表
2024/04/03 10:00

NOBUKO基金ART 第3回 「絵と言葉のチカラ」展

主催:「絵と言葉のチカラ」展実行委員会

応募作品数:456点
入選作品数:55点(受賞作を含む)
※ここでは、上位11点をご紹介します

グランプリ

日々
絵・言葉 野崎 慎
日々
言葉
窓辺の向日葵が影を落とす
アトリエのいつもの風景。
太陽に照らされ、
光と影はキラキラと姿を変えていく。

一瞬の景色。
儚く、美しい景色。

じっと目を凝らしていると、
そこに大きなセカイが広がってきた。
光も影も、
見えるものも、見えないものも、
小さな小さな粒となり、
生命のリズムのひとつとなり、
漂い、つづいていく。

一瞬を永遠にするかのように、心に景色を焼きつける。
まるで旅の後の様なすっきりとした気分だ。

今日もまた制作にとりかかる。

NOBUKO賞

日向の風
絵・言葉 渡邊由美
日向の風
言葉
土のにおい
草の種
草の根
葉のかげに
花びらの
妖精がおどる
まだ幻ではなく
なににもなっていない頃
ゆめと記憶の片隅の
日向の風は
ほほをかすめて
流れうつろう

齋 正機賞

路地裏
絵・言葉 家村 誠
路地裏
言葉
ウチの近くの廃工場。ここはボクたちの秘密基地だ。土曜日のお昼過ぎ、近所の仲間が集まった。「コウちゃん遅いなぁ。」「おっ! オート三輪、発見。」「よし! ハンドル動くぞ。」「こちら、スペースイーグル。スペースイーグル。応答願います。」「スペースイーグル、大変だ!後ろからブラックホールが近づいて来たぞ。」「了解。ワープで脱出します。」「ワープ開始、3秒前。3、2、1」そこへ、コウちゃんが息を弾ませ走って来た。「ぞうさん公園に紙芝居が来てるんだってさ。」思わず左ポケットの50円玉を手探りした。穴の開いた硬貨が指先に触れる。「よし! 行こう。」何の紙芝居だろう? 黄金バットだといいなぁ。「オレ、水あめ食べよ~。」「オイラはソースせんべい。」みんな一斉に公園へ駆け出した。

山下裕二賞

コグマ
絵・言葉 藤井リベカ
コグマ
言葉
お母ちゃんが編んでくれた帽子。

ふかふかの帽子。

初めてかぶったときは大きくてブカブカだったのに、今はぴったり。

この帽子をかぶると強くなれるんだ。
しゃんとなるんだ。
魔法の帽子だよ。
どこまでも歩いていけるんだ。

でもね、時々、遠くまで行きすぎちゃって、急に怖くなる。
走って走ってまたお母ちゃんのところまで戻る。そしてお母ちゃんはおいらを抱きしめて、眠るまでお歌をうたってくれる。

お母ちゃんがね、大好き。

おいらはもうすぐお兄ちゃんになる。
ゆりかごの赤ちゃんが泣いたら、お歌をうたうんだ。

「芸術新潮」賞

そこのけそこのけアタシがとーる
絵・言葉 秦 健児
そこのけそこのけアタシがとーる
言葉
そこのけそこのけアタシがとーる
あっちにいけばタノシそう
そこにもスキなおかしやある
アシタはなにをしようかな
アタシはだれとあそぼかな
なんかロープがあるけれど
ジャマジャマおジャマ かんけーない
とおくのあそこもタノシそう
そこのけそこのけアタシがとーる
おうちはママパパまっている

上野松坂屋賞

明日も
絵・言葉 栗田なおみ
明日も
言葉
いつも同じ場所で待っている。

今日も青空にキャッキャッという声が響き、
僕たちの体も前後左右に大きく揺れた。
みんなと一緒に遊ぶ時がサイコー!
でも日暮れが近づくとひとりふたりと帰って行ってしまう。

長い夜の始まりだ。
僕たちは2人で今日のことをあれこれと話したりして過ごし、
話し疲れるといつしか眠りに落ちてゆく。
そしてまた朝がくる。
遠くから子供たちの声が聞こえてきて、
やがて幸せの重さが全身に伝わる。

僕たちはいつも同じ場所で待っている。
明日も、またその次の日も。

佳作賞

いつかの輝きに
絵 内田喜久子、言葉 細貝智子
いつかの輝きに
言葉
前にも後ろにも進めなくなり
降りてしまったあの場所に

列車は
訪ねてみればまだそこに在った。

風雨や照りつける太陽に晒されてなお、
愚直に佇む姿に私は涙する。

中を覗くのが怖いのは
私が置いてきてしまった輝きが
胸を刺す程強く美しいと知っているから。

失くした訳ではなかったんだ
消え去った訳ではなかったんだ

錆びて傷んだままだけど、
きっといつまでもこの列車は
ここに在り続けるのだろう。

踵を返し私は、再び歩き出す。
TOY SHOP
絵・言葉 納 義純
TOY SHOP
言葉
シチリアへ旅に出た。

古い町並みを歩いてみると、レトロなオモチャ屋さんがあった。

ショーウィンドーに、へばりついてずぅーと眺めている少年がいた。

気に留めずにまた暫く町を散策した。

それから、どのぐらい経ったのだろう。
同じ通りに戻ってみると、少年は、まだ立っていた。

きっとショーウィンドウのオモチャが欲しいのだろう。
その後ろ姿が、幼き頃の自分に重なった。
こころの行方
絵・言葉 谷口朋栄
こころの行方
言葉
指先にふれたこころは
どんなかたちにも変わってゆく

ふわふわ
やわらかく

こうこう
ふたつにわかれて

ゆらゆら
行くあてをさがしている

夜にぬりつぶされて
あたらしい朝がはじまるころ

どんなかたちにも変わってゆける
こえだ
絵・言葉 野上 悟
こえだ
言葉
公園で仲良し家族に出会った時の話でさ。しばらくはみんなでサッカーボールとかで遊んでいたんだけど、ちょっと疲れてきちゃった感じで、ベンチで休憩することにしたみたい。それでも、一番年下の女の子だけは、まだ遊び足りないみたくてさ、その辺に落ちている石とか枝を集めだしちゃったんだ。きっと、この女の子にとっては、この時はたからものみたいに見えていたに違いないな。
(オイラにとっては、女の子のこういう仕草もたからものなんだけどさ。)

集め過ぎちゃったもんだから、こぼれた小枝を拾い直そうとしてたんだけど、その女の子のお母さんが名前を呼ぶんだよ。

この時オイラは、気づいちゃったんだよね。だから、お笑い芸人をマネして、Tシャツをちょっとだけ持ち上げて、ちっちゃな声で「のがみっちです」をしちゃったよ。
(だって、「小枝」と「声だ」なんだもん。)
大切な時間
絵・言葉 則武ヤスヒロ
大切な時間
言葉
小さな命を身近に感じて過ごす大切な時間。
小鳥と自分の時間がひとつになる大切な時間。
生きとし生けるもの全てに対する愛・感謝を実感する時間。
愛するものと愛されるものが居る珠玉のロケーションを垣間みる幸せな時間。
関連記事