Metro Ad Creative Award 2020
受賞作品数:24点(デザイン部門:14点/プランニング部門:10点)
主催:株式会社メトロアドエージェンシー
※ここでは、各部門のグランプリ・準グランプリ・審査員特別賞・学生部門賞をご紹介します
デザイン部門
グランプリ
よくばりコンテンツマン
安田翔哉(博報堂)
共同制作者:堀澤佳乃子(広美)
- 審査コメント
- 最終選考は大接戦でした。何度も議論して投票して、最後にグランプリに選ばれたのがこの作品です。見たときの「?!」感がすごい。でも、きちんとオーディオコンテンツへの没入感や偏愛を潔く表現できているところが素晴らしいと思いました。グランプリ受賞おめでとうございます!(八木義博)
馬鹿馬鹿しくも、目立ちます。子供の遊びのようなアイデアですが、AuDeeとしっかり結びついているから強いです。理屈じゃなく夢中になれるもの。ユーモアをもって音声コンテンツ力の高さをアピールできています。嗅覚までいって味覚にいかなかったところが品の良さでしょうか…。(尾形真理子)
準グランプリ
辛口で満たされたい日に…
杉浦 巧(bird and insect)
共同制作者:野々村光莉(Sabeevo)
- 審査コメント
- カラムーチョというネーミングに、あえてブランドカラーではなくパープルの色彩が不思議なムードを醸し出しており、その看板を車内に突如出現させるという大胆さにグッときました。思わず食べたくなる。というより飲みたくなる!(笑)そういう描き方も新鮮ですね。準グランプリ、おめでとうございます!(八木)
辛いものでストレス発散の先に、「癒し」のスナックを見つけてるのがうまいと思いました。大人です。そして、シンプルな看板に落としたデザインもうまいです。そして意外にも「カラムーチョ」という名前のスナックがどこかの裏路地にリアルにありそうな気がします。扉を開けたら、辛口のママがいそうですね。(尾形)
- 審査コメント
- お菓子だって、自分たちの気持ち次第で現状を乗り越える武器になる。子供がこうして遊びそうな事柄はどこか肩の力が抜けていて好感が持てます。でも、しっかりカラムーチョの立場から世の中に発言しようとしているところが大変素晴らしいと思いました。おめでとうございます!(八木)
カラムーチョをメリケンサックのような武器にする「弱っちさ」が素晴らしいです。ストレス発散の攻撃性を、笑いに変えているところが知性です。真っ赤な背景、血管と筋張った男性の拳、計算された構図の先にある「平和な武器」が、とにもかくにも魅力的。お見事です。(尾形)
審査員特別賞(八木義博)
カラムーチョでブッとばせ!!
徳江文裕(たき工房)
- 審査コメント
- 「ブッとばせ!!」閉塞感のある今、モヤモヤを辛さと旨さでブッとばしてしまう感じが実に気持ちいい。車内で見たときの、カラムーチョが自身の商品説明をするのではなくて、今の時期にみんなのことを思って元気づけようとしている。そんな優しさもあるように思いました。(八木)
審査員特別賞(尾形真理子)
- 審査コメント
- 洋服好きというのは、他者には似たように見えても、自分だけにわかる違いを楽しむものです。そして似たように見えて、実はちょっとだけ違うものがたくさんある。それこそが豊富なラインナップがあるという証かもしれません。その本質的なコンセプトと赤ずきんちゃんという童話のモチーフと軽いタッチのイラストのバランスが絶妙だと思いました。(尾形)
審査員特別賞(渡辺潤平)
招待したのに
広川楽馬(セガ)
共同制作者:迫 健太郎(クリエイターズグループMAC)、中塩屋祥平(パナソニック)
- 審査コメント
- そういえば、久々に席次表というものを目にしました。ここ一年、結婚式に呼ばれる機会がまるでなくなっちゃいましたもんね。同時に、末席で残り時間ばかり気にしていた披露宴の記憶もいくつか蘇りました。コロナ禍で生まれる新しい価値観を、実感とともに肯定していくアプローチにとても好感が持てました。完全に余談ですが、来月ご招待いただいている披露宴では、乾杯の挨拶をすることになっています。(渡辺)
学生部門賞
- 審査コメント
- 文字だけのポスターではあるのですが、車内で見ると何か重要なことが書かれているように見えてくる、そういうビジュアルの効果があるように思いました。読むと、不思議になんだかそういえば食べたくなるな。と呪文にかかってしまうのでした。学生部門賞、おめでとうございます!(八木)
呪文をかけられそうなお菓子はそう多くはないと思います。病みつきになる辛さがシズルのカラムーチョはたしかにかけそうです。恐縮しながら呪文をかけてくるコピーワークもズルいですね。稚拙なようで、実際に地下鉄の中吊りで読むと、けっこう本気にしてしまいそうですよね(わたしはまんまと呪いにかかってしまいました)。(尾形)
プランニング部門
グランプリ
あくび美術館
高橋かのん(博報堂)
共同制作者:川上茉衣(博報堂)
- 審査コメント
- 地下鉄の通路が美術館のような知的な空間に変わります。しかもハリーポッターの寮みたいに。通勤が楽しくなります。びっくりしている通行人の表情が目に浮かびます。子供達も大喜び。ワイドショーでも取り上げられてわざわざ見にくる人もいます。外国人達もSNSにアップします。つまり老若男女、グローバルに通用するユニバーサルなアイデアなんです。もちろんブランドとの相性もばっちり。今年のグランプリは一瞬で決まりました。(木村健太郎)
普段当たり前(動かないもの)と認識しているものが、突然一斉に変化するという、まるでフラッシュモブに遭遇したようなUX体験をもたらせてくれる、非常に新鮮で強いクリエイティブだなと思いました。クリエイティブアイデアもさることながら、このあたりのユーザーのリアクションまで想像した設計がなされている点が大きな評価につながってると思います。見事な作品です。(佐藤)
準グランプリ
三菱電機新宿B1倉庫
吉岡龍太朗(博報堂)
共同制作者:槇野 結(博報堂)
- 審査コメント
- メタルギアソリッドというゲーム知ってますか。ダンボールに隠れてサバゲーみたいにこそこそ戦うゲームなんです。新宿駅で、そういうちょっとサイバーパンクな怪しい空間に入り込んじゃったらめっちゃワクワクすると思いませんか。またそれって鉄道ファンのヲタク心をくすぐるとは思いませんか。ブランド側が伝えたいシズルと空間が醸し出すシズルのシンクロが超絶秀逸です。おめでとうございます。(木村)
製品の映像を段ボールで梱包しただけなのに、どうしてこんなにシズルのでしょうか(笑)。まるでプラモデルのパーツを見ているように、家に持ち帰って組み立てたくなるような少年期の“メカ心”がくすぐられました。段ボールの窓から覗く製品の面をそれぞれ異なる矩形でデザインし、空間全体を倉庫として捉えたアプローチも好感触だったと思います。(佐藤)
審査員特別賞(木村健太郎)
100万人の足音でも起きないノダ
藤本哲平(電通)
共同制作者:堀田さくら(電通)
- 審査コメント
- 「大勢の人の足音でうるさい」という空間特性を上手に活用した表現企画、「ネルノダ」というチャーミングなネーミングの引っ掛かりをほぼ同じ意味の言葉に上手にデフォルメした「起きないノダ」とうキャッチ。アウトドアメディアを使った商品広告としては素晴らしい出来です。これに「広告」を超えた「体験」としてのアイデアがもう一つ加わったら最強の企画になると思いました。(木村)
学生部門賞
エキナカ すいそくかん
気田李愛(東北芸術工科大学)
- 審査コメント
- 屋外広告や店頭POPにおいては、5メートル、1メートル、そして30センチ離れた視点でそれぞれ何が見えるかの設計が重要です。これは、雑誌における、大見出し、小見出し、本文という編集設計や、映画における、全景俯瞰、出来事へのクローズアップして、人物の表情のヨリという演出に似ています。この企画は、5メートル離れたところで水族館に興味を持たせて、1メートルで「あれ、魚じゃないぞ」と気づかせて、30センチのところで靴下のデザインに注目させるという上手な視点設計ができています。(木村)
媒体を立体に捉える発想、すいそくかんというネーミング、体験のデザイン、ECにつながるジャーニーの設計…本当に学生さんですか?(笑)素晴らしい作品でした。(佐藤)