結果発表
2022/05/20 10:00

米百俵デジタルコンテスト2021(米100DC)

応募作品数:83点
受賞作品数:5点
主催:ながおか・若者・しごと機構

グランプリ

Ohanashi
栗川詩加・岩永 菖・木村真琴(崇城大学)
作品コメント
「Ohanashi(おはなし)」は、誰かに話を聞いてもらいたいという思いを叶えてくれるトークロボットです。話しかけた内容によって、花の色や表情が変わります。「Ohanashi」との会話に“花を咲かせる”ことで、コミュニケーション力も育てます。
審査コメント
過去10年間、人間の負の感情は怒り・心配・悲しみと全て増加しているといわれる。これは日本だけでなくグローバルに起きていることだ。「Ohanashi」は、そのような負の感情を一度吐き出し、ニュートラルにとらえるきっかけを与えるプロダクトだと感じる。AIを活用したサービスは多く、BERTやGPT-3に代表されるような話の内容を理解して文を作成する自然言語処理に関する研究も盛んだ。また、話し方から感情を読み取ることも同様に行われている。しかし、「Ohanashi」を評価した小学生の意見を読むと、感情を分析してアクションを起こして欲しいのではなく、ただ話を聞いてうんうんと相槌をうってくれる、やさしい話し相手を求めているようだ。子どもたちの「話を聞いてもらいたい」という強いニーズをとらえ、かわいらしいプロダクトに昇華させたアイデアが光った作品だ。(佐藤ねじ、矢野昌平、平野未来)
受賞コメント
3人で協力して作品をつくることができ、とても楽しく、いい経験ができたと思っています。また経験だけでなく、グランプリ賞までいただくことができ、とても嬉しいです。投票してくださってありがとうございます!

表現賞、技術賞

けずログ
友田七海(東京理科大学)
作品コメント
「けずログ」は、学びを楽しくするIoT鉛筆削りです。削った鉛筆の量や色を記録し、本体ディスプレイの木が成長します。さらにその記録から、オリジナルアートをつくることもできます。勉強のきっかけをつくるだけでなく、暮らしもワクワクさせるプロダクトです。
審査コメント
一次審査のフィードバックを踏まえ、改良機を最終審査に出した点から、どんどん手を動かし、プロトタイプをつくって考えていく作者の強いパワーを感じた。表現賞として、この表現者としての「姿勢」を大きく評価したい。アイデアは形にしてみることが重要で、そこからわかることがたくさんあるからだ。削った鉛筆の記録からアートを生み出す機能は、直接的な「便利」や「役立つ」ものではないが、なんだか面白い、余分だけど生活を豊かにするものも、人々が求める大事なものだ。不要不急が制限されたコロナ禍では特にそうかもしれない。アートを感じる嗜好品は子どもの感性を刺激するという意味で、商品価値も出せそうだ。(佐藤ねじ)
審査コメント
鉛筆を短くなるまで使うこと=よく勉強していることとして、削りカスの量で測るという発想がすばらしい。一次審査では、削った記録をスマートフォン上のアプリで表示していたが、2次審査では「けずログ」本体にLCD(液晶ディスプレイ)が追加され、本体のみで多くの機能を実現できるようになっていた。スマホをあまり持たない小学生がおもに使う点を考慮し、ブラッシュアップされたプロトタイプは完成度が高く、技術賞にふさわしい作品になった。文房具は奥深い世界だ。字を書く、鉛筆を削る楽しさを広げるものとして、エレガントさを感じる、所有欲を満たす雰囲気を加えると、大人にも魅力的なプロダクトになるだろう。(矢野昌平)
受賞コメント
けずログを表現と技術の二つの面で評価していただき非常に嬉しいです、ありがとうございます。この大会に応募するなら、小学生の頃の自分がワクワクするもの、使いたいと思うものを必ずつくろうと思い製作を進めていました。なので、選んでくれた小学生が少しでもその気持ちを感じてくれていたら何よりですし、これからもけずログやその他のプロダクトを使う人を感じながら作成していきたいです。

持続可能性賞

おみカジ
佐藤峻哉・児玉龍哉・鈴木文也(トライデントコンピュータ専門学校)
作品コメント
「おみカジ」は、家事の分担を楽しく決めることができるアプリです。スマートフォンを振ると、“おみくじ”を引ける楽しい演出で、自分が担当する家事が自動で決まります。家事が終わればアプリ上で報告ができ、家族間のコミュニケーションにも役立ちます。
審査コメント
女性の社会進出が進む現代において、かつての「男は外で仕事をし、女は家で家事をする」という性別役割分業の意識は変化している。「家事」を誰が担うのかは、家庭内でよく問題になることだろう。「おみカジ」は、この面倒な家事分担に着目し、くじを引くという遊びを取り入れた点が面白い。分担だけではなく、家事をやり遂げるまでを一つの楽しい体験としてとらえ、家族間のコミュニケーションを助ける機能を付けている点も評価できる。アプリとして開発できる実現性も高い。子どものお手伝いを楽しくするだけではなく、共働き夫婦など、現代の家庭に必要とされるサービスとしてのイメージがわく作品だ。(平野未来)
受賞コメント
このたびは米百俵デジタルコンテスト2021で、持続可能性賞という素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。アプリを制作するうえでチームの人とコミュニケーションを取りながら頑張ってきたことがこういった形で残ることをとても嬉しく感じています。今回のアプリ開発で身についたことを今後の人生に生かしていき、身の回りで起きている不便なことをITの力で便利にしていきたいと思います。

長岡造形大学賞

はかーる君
中倉拓哉・清水日菜子・藤本清太郎(長岡工業高等専門学校)
作品コメント
「はかーる君」は、塩や醤油などの調味料を容器のまま計量できるプロダクトです。料理に求められる、グラムや大さじなど単位が異なる計量をする難しさや、計量カップなどの道具を用意する煩わしさを解消し、子どもたちが料理のお手伝いを簡単にできるようにします。
審査コメント
「はかーる君」は、料理における計量の面倒さをどう解決するのかが明確だ。計量前後の差分をとるというアイデアを技術的に実現するために、プロトタイプをつくり検証している点も評価できる。二次審査の動画では、子どもが感じる料理の難しさを示し、「はかーる君」をどう使うのか、その価値をわかりやすくプレゼンテーションしていた。子どもに語りかけるナレーションも効果的だ。一次審査よりかなりブラッシュアップされた印象で、作品をより魅力的に感じた。開発が進み商品化されれば、子どもだけではなく、大人にとっても便利な調理道具となるだろう。(長岡造形大学)
受賞コメント
今回、地元長岡で開催されたコンテストで長岡造形大学賞を受賞することができ、とても嬉しく光栄に思っています。今回のコンテストで自分だけでは気づけなかった新たな問題や改善点などを知ることができたので、今回の経験を生かしてこれからも人のためになるものづくりをしていきたいと思います。

長岡市長賞

かんかん図漢
Masako Okumura・于 瑶(女子美術大学)
作品コメント
「かんかん図漢」は、漢字の成り立ちに注目した漢字勉強アプリです。一つの漢字の、絵から象形文字、現代の文字までの移り変わりを教え、子どもたちが図形から連想して漢字を覚えられるようサポートします。学習すれば報酬として“もも”がもらえ、ゲーム感覚で漢字を学べます。
審査コメント
一般的に「書いて覚える」漢字学習を、視覚的に理解させるアプローチが新鮮である。漢字の持つ特性や成り立ちをアプリで体感することで、漢字の形と意味をスムーズにシンクロすることができる。漢字が苦手な子も得意な子も、楽しく学習できる点が素晴らしい。オンライン学習のニーズが高まる中、長岡市も、タブレットを使った学習環境を整備している。家庭学習など、学校外の教育活動でも活用できそうだ。実現化を期待している。(磯田達伸 長岡市長)
受賞コメント
この度は、長岡市長賞をいただくことができて大変光栄です。応援してくれた子どもたちの皆さんのコメントを読んですごく感動しました。本当にありがとうございました。また機会があればぜひ参加したいです。
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