結果発表
2020/10/28 10:00

第14回 キッズデザイン賞

応募作品数:390点
受賞作品数:237点(子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン:55点/子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン:99点/子どもたちを産み育てやすいデザイン:83点)
主催:特定非営利活動法人キッズデザイン協議会
※ここでは、最優秀賞・優秀賞をご紹介します

最優秀賞(内閣総理大臣賞)

まごころ学園(福祉型障がい児入所施設)
福祉型障がい児入所施設 まごころ学園、一級建築士事務所 山下研究室、株式会社長建設計事務所、有限会社江尻建築構造設計事務所、株式会社設備工房アドイン、ハイランドパーク
まごころ学園(福祉型障がい児入所施設)
作品コメント
知的障がい、育児放棄、虐待を受けた子どもたちが集まって暮らす「家」は、1辺54m正方形の木造平家で、小ぶりな建築を複数寄せ集めた「小さな集落」をなす。破壊行為で避けられてきた全面木質を実現した。従来のサテライト構成を否定した円環構成は効果的で、ニッチな空間にあふれた「ヒダ状の木質空間」が、子どもたちの心和らぐ居場所となった。
受賞理由
福祉型施設の課題点を精緻に分析し、空間デザインとして非常にうまくまとめている。管理型になりがちな施設に家づくり・コミュニティづくりの視点を採り入れ、様々な居場所をつくり、子どもたちが無理なく伸び伸びと過ごせる環境を生み出している。個室も完備され、居住環境も良く、カラーリングやサイン計画も秀逸だ。お気に入りの場所を見つけることで心穏やかに過ごす時間が提供されるという、家族と家の在り方の縮図のような施設であり、ここで育つ子どもたちの良い思い出となるような、子どもが主役という関係者の思いが建築として表現されており、見事である。
子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門(子ども部門)

優秀賞(経済産業大臣賞)

ファーストシェービングシリーズ
パナソニック株式会社
ファーストシェービングシリーズ
作品コメント
髭や体毛が気になりはじめた中高生のための「ファーストシェービングシリーズ」。今までなかった肌にやさしい機能とソフトなシルエット、アクティブな色が特徴のファーストボディトリマー&フェイスシェーバーで、かんたんにやさしく、体毛、眉毛、髭の全身グルーミングが可能。中高生がより前向きに楽しめるグルーミングツールを目指した。
受賞理由
安全・安心部門では少し異質な提案に見えるかもしれない。女性の身だしなみ製品は豊富だが、十代前半の若い男子も髭や体毛が気になってくる時期があり、安全カミソリや大人向けの髭剃りでこっそり処理し、肌を傷つけることもあった。本製品はこうした点に着目し刃が直接肌に触れず、先端がとがっていない構造で安全性を高めた。ジェンダーレスの時代において、男子向けのこうした分野開拓への開発姿勢も含めて評価した。プロダクトとしてデザイン性も非常に高く、使い勝手の良さや安全性も高いレベルにある。
子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン(一般部門)

優秀賞(経済産業大臣賞)

BALMUDA The Pure
バルミューダ株式会社
BALMUDA The Pure
作品コメント
航空機のジェットエンジンで使われるテクノロジーを応用した整流翼が、天井まで届く大風量を実現し、部屋中の空気を大容量かつ静かに循環。部屋の空気をすみずみまできれいにします。また、吸気口と流路が点灯して、空気清浄の強さによって明るさが変化。その光によって空気が清浄されていることを感じることができます。
受賞理由
最新のテクノロジーにより、大容量の空気の循環を実現した空気清浄機である。リビングなど子どもたちがいる空間に置かれる商品であるため、上部にあるファンに巻き込まれてケガをしないように安全確保機能が付いており、ロックされていないとファンが回らない構造になっている。回っている最中に外蓋を取り外そうとすると、その瞬間にファンが止まる機能もある。家庭内での使用に対して、非常に高い安全性と衛生空間を実現している点を、洗練されたフォルムとともに高く評価した。
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン(クリエイティブ部門)

優秀賞(経済産業大臣賞)

木造校舎を使った木育カリキュラムの実践
株式会社東畑建築事務所、福井大学 西本雅人研究室、株式会社鈴木一級建築士事務所 、愛知産業大学 宇野勇治研究室、蒼築舎株式会社、株式会社工房ヤマセン辻佛檀、新川森林組合、魚津市立星の杜小学校、魚津市教育委員会
木造校舎を使った木育カリキュラムの実践
作品コメント
大学研究室と建築事務所が、小学生や教職員の木育カリキュラムの実践を支援するため、木造校舎を教材にしたワークショップを提供した。小学生や教職員がワークショップを通して木育カリキュラムの立案から実践まで関わることで、参加するだけでなく、主体的に活動できるようになった。地域の人材も参加することで地域学習の効果も得られた。
受賞理由
子どもと一緒に学校をつくり、教育をつくるという独創的かつ意欲的な試みである。様々な専門家が連携し、地域のシンボル的存在の木造校舎を学びの拠点としているが、他地域でも多様なテーマでの展開の可能性を感じさせる秀逸なモデルとなっている。最も重要な点は、この活動を通じて地域の活性化を図り、地域の技術や資源の学びとなることであり、さらに地域への愛着心、地域のプライドも醸成される。継続的な取組として活動を維持している点も高く評価する。
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン(リテラシー部門)

優秀賞(経済産業大臣賞)

ひより保育園食育活動およびツール開発
ひより保育園、株式会社スピッカート、藤次郎株式会社、そらのまち出版、株式会社無垢
ひより保育園食育活動およびツール開発
作品コメント
ひより保育園で0歳から5歳の園児たちと実践している食育活動です。自分の力で食べ物を選び、仲間と協力しながら調理し、振舞う。一連の過程において根気強く取り組む力、待つ力、観察する力、段取りをする力、想像する力、数字の概念などを総合的に育むことを目指しています。
受賞理由
食は循環であり、目の前にある料理はその循環の一過程でしかない。全体を把握して食に向き合うことが、本プログラムに通底するコンセプトであると感じる。さらに食材を通じて調理技術の修得、他者との共同作業、レストランの企画運営とその省察まで盛り込まれたとても丁寧なプログラム構成だ。0歳から6歳までの園児を預かる保育園の強みを活かした、時間をかけて本物の食育を伝えようという意気込みが感じられる。レシピ本や調理器具はこれらの成果を広く社会に伝える重要なアプローチでもある。

※「ひより保育園子ども包丁」「『ひより食堂』へようこそ 小学校にあがるまでに身に付けたいお料理の基本」「ひより保育園食育活動」3点合わせての優秀賞とした。
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン(消費者育成部門)

優秀賞(消費者担当大臣賞)

コープデリ商品検査センターと地域で進める食の安全と学び
コープデリ生活協同組合連合会
コープデリ商品検査センターと地域で進める食の安全と学び
作品コメント
コープデリ商品検査センターでは、年間約3万件の検査を通してコープがお届けする食品の安全を確かめています。この科学的知見をもとに食育プログラムを実施。検査室の見学や身近な食材の分析などの実験を通じて、楽しく「食」を学べます。さらに各地域でも食育教室・出前講座を行い、子どもたちの健全な心と体をはぐくむお手伝いをしています。
受賞理由
食材の安全を確かめる商品検査センターを拠点に、科学的側面から食育プログラムを実践するという、これまでにないアプローチを高く評価した。感染予防につながるブラックライトによる手洗いチェック、食材の成り立ちや食の安全性の確保の仕方など、科学的根拠を交えながら楽しく学べる。食育教室・出前講座は2019年実績で179か所、6,230人と規模も大きい。生産者から消費者までをつなぐ組織の強みを活かして各地域で食の学びの機会を提供しており、消費者育成の視点を大切にしている点が、本賞にふさわしい。
子どもたちを産み育てやすいデザイン部門(個人・家庭部門)

優秀賞(少子化対策担当大臣賞)

子育てにちょうどいいミシン
株式会社アックスヤマザキ
子育てにちょうどいいミシン
作品コメント
出産前から入園入学準備まで子育てのシーンでミシンを使ってお子様のために手作りしていただけるように、“これぐらいならちょっとやってみよう”と思えるようなミシンを開発いたしました。スマホで作り方&使い方動画を見ながらできるので初心者にも簡単! 使わないときは針ガードにもなりお子様がいても心配いりません。
受賞理由
子育て層という明確なターゲット設定と機能特化が素晴らしい。ミシンは家庭にある手作り道具の典型だったが、最近は自宅でミシンを使って服や小物を作る機会も減っている。二次元コードを読みこむと使い方がわかる動画サイトがあり、付属のスマートフォンスタンドを使えば動画を見ながら操作できる点も現代的だ。安全針カバーで子どものいたずらにも対策を講じている。収納性にも優れたシンプルなデザイン、購入しやすい価格が、子どもに向けたミシンでの手作り文化の再興につながることを期待する。
子どもたちを産み育てやすいデザイン部門(地域・社会部門)

優秀賞(少子化対策担当大臣賞)

まちのもり本町田
株式会社コプラス、特定非営利活動法人コレクティブハウジング社、相互住宅株式会社、株式会社アルコデザインスタジオ
まちのもり本町田
作品コメント
築27年の企業社宅をリノベーションし、コモン付賃貸とコレクティブハウス、暮らし方の異なる二つの住まいを計画することで、多世代型のコミュニティのある共同住宅を目指した。「まちのもり」には、様々な住まい手の暮らしが「森」の木々のように重なり合い、互いを見守る「守(もり)」豊かなコミュニティが育まれるイメージを込めている。
受賞理由
企業の寮であった施設をリノベーションした、新たな家族構成、地域構成、コミュニティづくりのビジネスモデルとなる、ハイブリッド型の集合住宅である。コミュニティの希薄化や地域ぐるみの子育てへの関与の減少といった社会的背景を鑑み、コミュニティを醸成する生活者同士が子育てに参加する仕組みを、集合住宅のモデルからアプローチした斬新な試みだ。コミュニティの中に子育てが当たり前にある新たな暮らし方の姿は、施設内に留まらず、地域そのものにもインパクトを与えるに違いない。
子どもたちを産み育てやすいデザイン部門(男女共同参画部門)

優秀賞(男女共同参画担当大臣賞)

共働き世帯を応援する調理機「レンジグリルIH」シリーズ
三菱電機株式会社
共働き世帯を応援する調理機「レンジグリルIH」シリーズ
作品コメント
IHクッキングヒーターに電子レンジ機能を搭載した世界初(2020年10月現在、当社調べ※家庭用ビルトイン型IHクッキングヒーターにおいて)の調理機。IHクッキングヒーターで焼き目をつけてから電子レンジで中まで加熱するなど、効率よく調理できる「リレー調理」によって「時短&おいしさ」を実現。子育てや仕事で調理時間が限られる共働き世帯の「健康的でおいしい食事を子どもに作ってあげたい」という思いに応えます。
受賞理由
IHクッキングヒーター、グリル、電子レンジの機能をパッケージ化し、各機能を効率よく組み合わせることで、大幅な調理の時短が可能になる。調理に不慣れな人でも失敗なく簡単に調理でき、共働き世帯における家事分担の推進が期待できる。製品の進化によって料理のバリエーションが増えれば、豊かな食を家族で囲みながら、余暇時間をさらに楽しむことにつながるだろう。男女共同参画の分野において、プロダクトの側面から余裕ある時間の創出や家族間交流の支援につながるものとして高く評価した。

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