結果発表
2019/03/01 10:00

DASSAI DESIGN AWARD 2018

応募作品数:402点
受賞作品数:6点
主催:旭酒造株式会社

最高賞・獺祭賞

岡島 凱(株式会社G-brain)
共同制作者:金澤コーリすみれライト、岡島 琳
作品コメント
獺祭という楽しくも面白味のある場面を想定してみました。
しかし、それをできるだけシンプルにしたいと考え、獺の背中に、彼が好きな鯉を乗せてみました。彼らを結びつけるのは、二割三分を表現する紫の紐。
鯉は日本の象徴でもあります。
その鯉を背負った獺は、遠く世界を見渡しています。
そして、獺の背景には、「旭酒造」を表現する朝日が輝いています。
あくまでも日本的で、それでも世界を目指す。世界を相手に勝負する。
獺の目の中には世界地図が描かれています。
レイアウトはイラストを面を跨ぐ配置にし、正面は獺祭の品格を大切に、シンプルな部分のみを表現し、側面、背面にカラーの部分を配置し、各面での印象を変え、品格、新しさの両立を目指しました。
審査コメント
普段の獺祭のデザインは非常にミニマムでケの高級感があります。それに対して岡島さんがデザインされたパッケージデザインは、言ってみればハレのデザインです。これくらい華やかな方がデザインアワードの期間限定デザインには適切だと考えました。(坂井直樹)

精緻に描かれたカワウソがたいへん魅力的です。獺祭のカワウソってどんなカワウソ? ずっと気になっていました。イメージを崩さずに、その物語性を享受できる一度見たら忘れられないデザイン。(蜷川有紀)

とても遊び心あり、獺祭のお酒同様に国内外、そして若い人からご年配までに親しまれるだろう楽しくも非常にメッセージ性の高い素敵な作品ですね。(須賀洋介)

瞳に世界地図。
アニメ世代を肯定する懐の広さを得る。(遠山正道)

優秀賞

内藤帆南
作品コメント
「獺が捕らえた魚を岸に並べている様子が祭りをするようにみえる」
という獺祭の命名の由来が最高のオリジナリティだと考え、獺が魚を並べている様子をデザインいたしました。
日本の古風なスタイルに、幾何学的なモダンな要素をプラスしているのは、長い間守ってきた伝統はそのままに、世界進出を進めている獺祭の背景を重ねたものです。
三面に渡って並べられている魚は、獺をより際立たせるポイントになっています。
審査コメント
内藤さんの作品は貴重面に並べた魚と獺の対比が面白いですね。
獺祭魚、獺魚を祭るとは、カワウソが、捕らえた魚を供物に並べ先祖を祭る様を指すそうですね。もともとカワウソは捕らえた魚を川岸に並べる習性があり、これを祭儀になぞらえた獺祭そのものですね。(坂井)

デビルのようなカワウソが吠えています。ほんとうにこのキャラクターでいいのか? 疑問ですが。
並べられた魚が幾何学的に配置されているところが新鮮。(蜷川)

おどろおどろしいカワウソのデザインがインパクトがありますね。日本では絶滅してしまったカワウソですがこうしてデザインで残ることによって、神話や伝承の世界で語り継がれることはとても大事なことと思います。(須賀)

可愛そうに見えておいてむしろ狂暴。
はっとさせる内面が、獺祭の良き強かさを現す。(遠山)
杉本聡美
作品コメント
誇りを持つ看板商品であることから、シンプルで堂々とした佇まいのパッケージにしたいと思いました。
獺祭誕生のストーリーも拝見しながら、注目したのは力強い「獺祭」のロゴです。これには販売当初の作り手の想い、そしてこれまで獺祭を作り続ける中、何度も目することで積み重なってきた、作り手の念に近いものまで込められているのでは、と考えました。
今回のデザインで舞っている筆跡のパーツは、そのロゴの“とめ”や“はらい”などです。最終形を目指すように舞い踊る力強いパーツ。美味い酒「獺祭 磨き二割三分」ができるまでにかけられた情熱や誇り、試行錯誤や挑戦をイメージしています。
紙は風合いのあるものを。商品名やスミ部分は箔押し・ニスを。シンプルながらメリハリをつけ、小手先ではない、“本気で追究した美味い酒”を感じさせる空気感を出します。
審査コメント
獺祭の“とめ”や“はらい”だけを取り出して模様として使ったところが繊細な仕事で評価できますね。色もモノトーンですっきりできあがっています。(坂井)

躍動感があるデザイン。愉しく配置された「獺」の文字が、カワウソの尻尾のようにも、足跡のようにも見えます。黒い部分を赤一色にしたり、青一色にしたり、と季節ごとに展開しても楽しそうです。(蜷川)

とめやはらいを使用したのは秀逸。
力強く存在感がありながら知性を感じさせる。(遠山)
三浦和俊
作品コメント
ホログラム箔、もしくはホログラム紙を使った新しいパッケージデザイン
日本酒の、新しい存在感を表現するために、光や、見る角で色味が変化するホログラム効果を使ったパッケージは、常に変化する美しさを表現し未来へと向かうイメージでデザインいたしました。
審査コメント
ホログラム箔は通常煙草や化粧品などで良く使われていますが、獺祭という高級日本酒に使ったことは、とても実験的で良いことだと思います。(坂井)

ホログラム箔と獺祭との出会い。見る角度で色が変化するそう。今までの獺祭のイメージを覆す色彩。革新的でちょっとロマンチック。(蜷川)

寄り添わない違和感から、新たな地平が開けることがある。
その可能性を示している。(遠山)
星 信大(東京造形大学)
共同制作者:南崎喬也
作品コメント
従来の化粧箱はどれも似通ってしまっていて古臭さを感じさせられる。それが新規の顧客になるべき、若年層などを遠ざけてしまっているように感じる。今回はそんな若年層を含めた、新しいターゲットの目にも止まるデザインでありつつ、他とは一線を画すデザインを狙った。
白く、シンプルなパッケージは従来製品とは違う存在感を帯び、今まであまり日本酒に触れたことのない若年層や海外のユーザーにも興味を持ってもらうための良いきっかけ作りに繋がるものになるのではないだろうかと考える。
審査コメント
非常に洗練されたシンプルなデザインですね。通常の獺祭でも検討できそうです。(坂井)

雪のような、風のような意匠。エンボス加工を施したシンプルで洗練されたデザインが美しい。「ぜひ手にして見たい」「プレゼントしてみたい」と思わせる。女性たちにも愛されるにちがいない。(蜷川)

若い人が手をかけやすい要素をもっている。(遠山)
福本 正
共同制作者:福本靖子
作品コメント(一部抜粋)
私の本業は日本画家です。画家と言えども時に企業や店舗のロゴやパッケージのデザインを依頼されることがあります。それなりに歳もとっておりますがデザイナーとしては経験も浅くまだまだヒヨッコだと自覚しております。
この度の募集は若いデザイナーを応援する趣旨のようですが年齢制限は無いようなのでチャレンジさせていただくことにしました。また御社のお酒は幾度か飲ませていただき、とても好きなお酒でもありますのでパッケージデザインをぜひやってみたいと思った次第です。
審査コメント
非常にカラフルな竹林の一部を大胆にトリミングした豪華なパッケージデザインですね。琳派の作家が、かつて残した作品のような洒脱さがあります。(坂井)

どことなくなつかしいデザイン。なぜ「竹」なのか? おききしたい。背景が黒なので、夜の竹林でしょうか? その竹林を眺めながら飲むお酒は、美味しいかもしれません。(蜷川)

これは獺祭を使用した作品である。
獺祭は、文化・作品を、酒を通じて理解し寄り添うことの意思となる。(遠山)
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