作品名
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『ADVERTISEMENTc=GREEN』
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氏名
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荻原雅史・中西ひろむ(京都大学大学院)
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コメント 他
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01:商業都市におけるロゴ、文字の乱立
日本の多くの商業都市では様々な広告や看板が溢れ返っている。街並みに一貫性やまとまりは感じられず、そこにはほとんどカオスだと言っても良い。また、その中の幾分かは夜間の電飾広告であって、日中は必要のない、意味をなさないものも多い。例えば、新宿歌舞伎町や京都祇園では昼と夜とで表情が激変し、夜の異常なまでの活気に比べて昼間は静かな街となる。そのような場所での記号や文字の乱立は特に美観上、風紀上好ましくない。
今、溢れんばかりのロゴや文字によって損なわれた街の美観を前にして、私達は何らかの手立てを講じなければならない。
02:エレクトロクロミックガラスによる新しい看板広告
現在、エレクトロクロミックディスプレイの研究が進められ、素子の発色~消色を掛ける電圧によって調整することなどは既に実現されている。これを広告看板に用いることにより、宣伝の必要のない時間帯は広告を透明にしたり、時間に応じて別の広告に切り替えることも容易に行える。ガラスへの適応においては酸化タングステンやプルシアンブルーが有名であるが、ここでは、酸化タングステンに加えて高分子化合物であるポリフェナザシリンを併用する。電圧印加によって酸化タングステンは無色から青色へ、ポリフェナザシリンは無色から黄色、赤色を経て紫色へと変化する。この二種類の素子を用いることによって、あらゆる色彩を表現することが可能になる。
03:看板広告と都市緑化との合体
そうして透明化されうる広告の中に木々を植える。屋上看板には屋上緑化を施すことで、都市の中で広告が占める多大な表面分を緑化することができる。昼間は透明にすることで、美観上好ましくない広告は日中隠し、代わりに緑を都市に溢れさせることが出来る。当然、太陽光も透過するので木々の光合成を妨げることもなく、都市の空気環境を良好なものにしていく。夜の街は昼間、都市の立体公園と化し、都市の中で新しい役割を担うことになるだろう。
04:ヒートアイランド現象に対する都市緑化の必要性
都市の被覆化による蓄熱と、空調や自動車の排熱を発端とするヒートアイランド現象は益々深刻な問題となりつつある。現在、それを解決する一番の方法として、都市の屋上緑化、壁面緑化、の重要性が盛んに叫ばれている。植物の蒸散作用が周りの熱を奪い、都市の気温を下げるためである。また、建築自体を植物で覆うことで室内の冷暖房負荷が少なくなることも確認されている。都市の中で可能な限り緑化を進めることは私達の生活のみならず、今や地球規模の重要問題となっているのだ。
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