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審査会レポート (1)
投票と議論を重ねて絞り込まれる上位作品
二次審査会場に並べられた「JCD BEST 100」作品。いよいよ、7名の審査員が各20票を1作品ずつに投票していく(=付箋をパネルに貼付けることで投票とする)形式で上位作品を絞り込んでいきます。パネルの間を歩きながら1作品ごと真剣な眼差しで熟考を重ねる審査員、そしてその投票の行方を見守るオーディエンス。どちらからも静かな熱気がわき上がりました。
第一回目の集計ではまず、3票以上を獲得した22作品が残されましたが、入賞(大賞・金賞・銀賞・新人賞の合計)には25作品以上を選出するという規定に従わなくてはなりません。そこで、2票獲得作品13作品を対象に再投票がおこなわれました。
とはいえ、規定だけで優秀作品を決定するという訳ではありません。「選ぶべき作品があるかどうか」、議論が交わされたことも、記憶されるべき審査経過です。
皆川明氏は、パネルの完成度に言及したひとりです。候補作品のひとつについて、「この店舗はチーズ専門店だが、写真には商品としてのチーズがひとつもない。空間を見せるには、そこで主役になるべき商品がどう空間によって映えるのかという点にも着目したい。きっとチーズが並べば、より有機的な空間になるだろう」、と期待を込めた解釈により投票作品を決定。この意見を受けるように、中村拓志氏は「商品をいれた状態で見せるのも、プレゼンテーションには大切な要素」だとコメントしました。
こうした議論と投票の結果、27作品がまず選出されました。
次に金賞の審査へと移ります。審査員ひとりにつき5票が与えられ、6作品を決定する段階です。ここでもまた、5作品までは1度目の投票で決定しましたが、残り1作品は僅差により再投票となりました。飯島氏によれば、「金賞にすんなり決まった作品はどれも、切り口が明快」とのこと。力のある作品には、ストレートなメッセージ性が共通しているようです。
“空間が良い”新人賞作品
35歳以下の応募者が対象となる新人賞には11作品(金賞への得票があったが選外となった作品も含む)が候補となりました。「古くからある薬局や酒蔵を改造した屋外空間の取り込み方や、期間限定の展示の工夫など、空間が良い、と断言できる」という飯島氏の評価が、受賞に結びついたと言えます。
実は金賞に選ばれた6作品のうち、4点が新人賞対象。若手の力が台頭している傾向は、若い感性が求められる時代性の反映とも考えられるのではないでしょうか。
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