【レポート】痴漢抑止バッジデザインコンテスト2017 授賞式
12月3日、東京・六本木にある東京ミッドタウン・デザインハブ・リエゾンセンターで「痴漢抑止バッジデザインコンテスト2017」の授賞式が行われた。
同コンテストは女子中高生が抵抗なく身に着けられ、かつ目にした人が痴漢行為を自制したくなる「痴漢抑止バッジ」のデザインを学生に募集するもの。2015年に初めて開催し、3回目の今年は「登竜門」を運営する株式会社JDNが全面サポート。全国237校の学生から1,338作品が集まり、新聞やニュースメディア「ハフポスト日本版」などでも取り上げられて話題になった。
最優秀賞は「なぜ痴漢するの?」と問いかけるデザイン 東京工科大学の藤井花さんが受賞
最優秀賞に選ばれたのは、東京工科大学デザイン学部・藤井花さんのデザイン。7つの中学・高校から172名が参加した1次審査、パネル展示会場とWebで実施した人気投票などによる2次審査を経て決定した。
作品は手錠やメガネをイメージするイラストで犯罪抑止効果を狙いつつ、キュートな配色で女子高生の着けやすさを意識したデザイン。「なぜ痴漢するの?」というキャッチコピーが印象的だ。
藤井さんはこのキャッチコピーについて「痴漢犯罪について調べ、依存症だという記事を読んでこの言葉を入れました。『痴漢はダメだ』『やめろ』と一方的に訴えるより、見た人に『なぜ?』と問いかける言葉が効果的だと思ったからです」と話している。
このほかの受賞作は以下の通り(名前は敬称略)。授賞式には藤井さん、優秀賞を受賞した松山さん、特別審査員賞(たか子賞)のマミオさんが参加した。
- 優秀賞「乙女を鬼にさせないで」
光永美良乃(札幌大谷大学) - 優秀賞「注意!!!!」
松山紋子(HAL名古屋) - 審査員特別賞(キタイミコト賞)「立ち向かう!」
キタザワ(秋田公立美術大学) - 審査員特別賞(たか子賞)「触ると痛い目にあうよ…」
マミオ(愛知県立芸術大学)
主催の一般社団法人痴漢抑止活動センター代表・松永弥生さんは「10年後にプロのクリエイターとして力を付けた時、ジェンダーの観点からクライアントに提案ができるようなクリエイターになってもらえたら嬉しい」と、受賞者にメッセージを送った。
ミニセミナーではプロが作品制作のポイントを解説
授賞式の後には、審査委員長で2015年の同コンテストでは最優秀賞に輝いたイラストレーター・キタイミコトさんが、松永さんとともに作品講評とミニセミナーを実施した。
「登竜門」がサポートした今年は応募作品数が飛躍的に伸び、1300あまりの作品を5作品まで絞るのには非常に苦労したとのこと。わずかな差で審査に通過するか落選かの明暗が分かれた作品もあったそうだ。松永さんは、「テーマ性の強いコンテストなので、テーマについてどれだけよく調べ、向き合って制作したかがデザインに反映されたと思う。また作品の評価で差がつかない時は、作品コンセプトの文章で審査結果が決まることもあった。デザイナーを志す方にはぜひ自分の想いを掘り返し、デザインを言葉で説明できるようになってほしい」と語った。
またキタイミコトさんは、オブジェクト配置時の気配りや文字の視認性など、プロデザイナーの視点で具体的な製品デザインのコツを解説。実際の製品デザインに携わる機会の少ない学生にとって貴重なノウハウが学べるセミナーとなった。
受賞作は製品化! 来年2月頃に販売開始
受賞作5点はこれから製品化され、来年2月頃には販売が始まる。南海電鉄や相模鉄道などのキオスクや、痴漢抑止活動センターなどのオンラインショップで購入可能になるので、ぜひ楽しみにしてほしい。
痴漢抑止バッジデザインコンテスト 2017 結果発表 [登竜門]
https://compe.japandesign.ne.jp/result/scb-chikan-yokushi-badge-2017/
痴漢抑止バッジデザインコンテスト 2017 公式ホームページ
https://compe.japandesign.ne.jp/scb_badge/2017/
一般社団法人 痴漢抑止活動センター
http://scb.jpn.org/
取材・構成・文:猪瀬香織(JDN)