連載

コンテストやデザイン・アートに関わることを、ゆるりと更新します

応募者の納得感とコンテストの独自性を生む!「審査基準」の言語化

コンテストの企画・テーマが固まり、いざ募集要項を作るとき、多くの主催者が頭を悩ませる項目の中にあります。それが「審査基準」です。
要項をめくると、よく「厳正なる審査の上…」や、単に「独創性」「実現可能性」とだけポツンと書かれているケースを目にします。

しかし、審査基準が曖昧なコンテストは、応募者にとって「何を頑張れば評価されるのかわからない」という不安を生み、結果として的外れな作品ばかりが集まる原因になります。また、審査当日になって審査員同士の意見が分かれ、選考の議論が長期化してしまうのも事務局によくある悩みです。今回は、コンテストの質を担保する「審査基準の具体的な落とし込み方」をご紹介します。

審査基準は、主催者から応募者への「ラブレターの返答要件」

コンテストにおいて、審査基準は単なる採点項目ではありません。主催者が「私たちは今、こういう課題を解決できる、こんなアイデアを本気で探しています」というメッセージを具体的に伝えるための、非常に重要なコミュニケーションツールです。

例えば、よく使われる「独創性」という言葉。これだけでは、応募者は「誰も見たことがない奇抜なもの」を作ればいいのか、「既存のものを新しく組み合わせたもの」を作ればいいのか迷ってしまいます。

主催者としてまずやるべきは、抽象的な言葉を「誰もが同じ情景を思い浮かべられるレベル」まで因数分解することです。

審査員も迷わない!評価軸を具体化する「3つのステップ」

審査当日に、ある審査員は「デザインが素晴らしい」と言い、別の審査員は「実現性が低いからダメだ」と言って議論が平行線になるのを防ぐため、事務局はあらかじめ評価軸をマトリクス(表)形式で整理しておく必要があります。

【審査基準の具体化マトリクス例】

  • 独創性 ➔ 「過去の類似事例と明確な差別化ができているか」
  • 実現性 ➔ 「現在の技術や予算の範囲内で、1年以内に実行可能か」

またコンテストによっては、毎年募集テーマが変わることはあっても、「審査基準」だけはあえて毎年共通(普遍)としているケースも少なくありません。 なぜなら、審査基準こそがそのコンテストのアイデンティティであり、「どのような視点を持ったクリエイターを評価したいか」という主催者のブレない姿勢そのものだからです。
だからこそ、審査員も迷わないように評価軸をマトリクス(表)形式で整理しておく必要があります。

「評価のプロセス」を公開することが、最大のファン作りに

今の時代、コンテストの応募者は「結果(誰が勝ったか)」だけでなく、「プロセス(なぜその作品が選ばれたのか)」を非常に重視しています。

優れたコンテストは、結果発表のページにただ受賞者の名前を並べるだけでなく、「各作品が、どの審査基準において、なぜ高く評価されたのか」という審査員の具体的な講評をテキストで丁寧に開示しています。

「ここまで深く作品を見てもらえたんだ」という納得感は、たとえ落選してしまった応募者であっても「次はもっと基準を意識して、またこのコンテストに挑戦しよう」という、コンテストのファン(リピーター)へと変わる強力なキッカケになるのです。

募集要項に書く審査基準をほんの数行、具体的に書き換えること。それは、集まる作品の質を上げ、当日の審査をスムーズにし、未来のファンを増やすという、事務局にとって「一石三鳥」の業務改善になります。ぜひ、次回の企画では「なんとなく」の基準を卒業し、言葉の言語化にこだわってみませんか?

当社ではコンテスト運営についてさまざまな課題解決やサポートをおこなっておりますので、ご質問やお悩みなどもお気軽にお問い合わせください!