賞金の金額を上げれば、その分、質の高い応募がたくさん集まるのではないか。そのように考えている主催者の方も多いかと思います。もちろん、賞金の金額はコンテストにおける大きな魅力であり、誤った考えというわけではありません。
しかし、必ずしも賞金の金額が質の高い応募に直結するわけではありません。SNSやクラウドソーシングなどが普及した現代、応募者にとってコンテストの魅力は賞金だけではなく、「自分の価値を証明する」という大きな役割も担っています。
今回の連載では、限られた予算のなかでも、ターゲットとなる応募者の熱量を引き出す「インセンティブ」の設定について改めて考えてみましょう。
大きな賞金は、それだけで応募者の目に留まる魅力の一つです。しかし、主催者としては運営全体の予算都合もあり、賞金の設定で悩まれるケースも多いのではないでしょうか。
昨今の応募者、特にZ世代や若手は、非常に現実的かつ戦略的です。そのような応募者は無意識に、「タイパ(タイムパフォーマンス)」を計算しています。「このコンテストに応募してみたいけど、これだけの労力や時間をかける価値があるだろうか?」といった問いへの答えが、単なる「金額」としての賞金だけでは不十分になりつつあると思います。そして、主催者として求められることが、このような無意識のハードルを下げること、すなわち、賞金だけでないコンテストの「価値」を発信することです。
では、応募者が求めている「価値」とは何でしょうか?この連載では3つのポイントを紹介します。
インセンティブの検討にあたり、ターゲットとなる応募者の属性と、そのターゲットが求めるものの細分化も重要です。ターゲットに合わせてインセンティブをカスタマイズすることで、コンテストの魅力は倍増します。
例えば、学生や新人向けのコンテストである場合、応募者が求めているものは、「キャリアの足がかり」といった方向性があります。具体的なインセンティブの案としては、審査員からのフィードバックやインターンシップ、プロ向け機材・商品の贈呈などが挙げられます。また、社会人やプロ向けのコンテストですと、実績や自己表現などが求められており、商品化やプロジェクトへの参画、公式サイトでの紹介、展示の機会といった候補があります。
「予算が少なくて高額な賞金は出せない」と諦める必要はありません。主催者だからこそ提供できる「価値」を見直してみましょう。
例えば、現場の裏側を見せるであったり、現場や工場見学などもファンにとっては大きな価値となります。また、主催者として審査の様子や経過を発信することも、応募者の満足度向上につながります。 加えて、受賞したら終わりではなく、クリエイターとしての継続的な関係性を示すといったことも価値提供の一つになります。
このようなことから、コンテストは「賞金」ではなく「体験」の提供としての役割も大きいです。企画を設計する際、「このコンテストに応募することで、応募者の生活やキャリアはどうアップデートされるのか?」と一度立ち止まって考えることが、「インセンティブ」設定のヒントになると思います。あくまで賞金はきっかけに過ぎませんので、その先にある応募からの出口を提示できたとき、そのコンテストは、金額以上の価値を感じた熱意ある作品が集まってくるはずです。
今回はコンテストの「インセンティブ」を掘り下げて再考しましたが、当社ではコンテスト運営について、幅広く課題解決やサポートを行っております。ご質問やお悩みなどがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!