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「コンテスト白書2022」こぼれ話 ~現金ではなく「金券」を副賞にすることについて~

副賞で金券を贈呈する割合

「コンテスト白書2022」の集計をしていて気になったことの掘り下げ第3弾です。
コンテストの副賞として、現金ではなく「金券」が贈呈されることも多いです。では「金券」はどのような金券で、金額はどのくらいなのか、まとめてみました。

まず、副賞として金券を贈呈する割合は、全体比(「登竜門」2021年掲載実績 2552件)の約19%です。
現金を贈呈するコンテストが約半数にのぼるなか、金券は2割弱です。「そのほか」の内訳は、表彰、記念品贈呈、誌面掲載、制作支援、アイデアの実現などがあり、現金を除いた項目では金券が最も多いです。

副賞の内訳(現金が48%、金券が19%、そのほかは33%)

金券種類の内訳

具体的に金券とはどのような種類があるでしょうか。
主なものは商品券、クレジットカード会社などのギフト券、図書カード、Amazonギフトカード、QUOカード、旅行券です。最高賞の副賞に絞って見ると、図書カードが最も多く全体の1/3を占めます。

 図書カードの割合が34%で最多。次いで商品券が25%、Amazonギフトが10%

さらに「学生限定」のコンテストに絞ると、図書カードが圧倒的に多く全体の7割におよびます。

図書カードの割合が70%で最多。次いでAmazonギフトと商品券が9%

ちなみに上記の割合は「最高賞」に絞った内訳です。「グランプリは商品券、参加賞は図書カード」など、賞の順位によって金券の種類が異なるコンテストも多くあります。

カテゴリーによっても、金券の種類の内訳にはバラつきがあります。
<文芸・コピー・論文>のカテゴリーはやはり図書カードが多い一方で、<写真・フォトコン>では商品券の方が多数を占めています。

文芸のコンテストは図書カードが55%、商品券が18%。写真カテゴリは図書カードが10%、商品券が31%

 

金券の金額

次に金券の金額を見ていきましょう。
最高賞の最頻値は、図書カードとQUOカードは1万円、Amazonギフトと商品券は3万円、ギフト券は5万円、旅行券は10万円という分布です。金券全体で計算すると、3万円が最頻値になります。

ただ、これはあくまで最高賞の金額です。金額は少なくても、なるべく多くの人に賞を出せるようにしているコンテストもあるので、この最高賞の金額分布と副賞の総額はイコールではありません。告知の際に「最高賞金〇万円!」と謳うケースもあれば、「賞金総額〇円!」とするケースもあります。

しかし、応募者が重視していることは、賞金だけではありません。これについては、別の機会にあらためてコラムでご紹介予定です。

 

金券のメリット

金券と現金の違いとして、まずは利用範囲が挙げられます。
現金であればどのようにでも使うことができますが、金券は利用店舗や用途が限られます。ここだけ考えると、金券は不便なように感じます。

しかし、現金を振り込む場合には銀行口座が必要です。ところが小学生・中学生は自分の口座を持っていない場合も多く、本人への振り込みができないケースも考えられます。一方で、金券は郵送が可能です。学校の授業の一環としてコンテストに取り組んでいただいた場合にも、学校宛てに金券を発送すればいいので、学校側も対応がしやすくなります。

さらにデジタルタイプのAmazonギフトや図書カードNEXT(電子版の図書カード)は、メールアドレスに送ることもできます。学校からの一括応募には対応できませんが、個人からの応募を想定している場合には、デジタルの金券は梱包作業の軽減や送料の削減になります。

自治体主催のコンテストでは、地元で使える商品券を副賞にすることで、地域経済の活性化や来訪のきっかけ作りに役立てようという取り組みもあります。
教育促進をコンテストの目的にしている学生限定のコンテストでは、副賞を図書カードにすることによって「勉学の取り組みを応援しています」というメッセージ発信にもなります。

コンテストの目的や応募者層に合わせた副賞を考える必要があります。
もしお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。