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第4回KU/KAN賞発表!


top・受賞者    贈賞式    KU/KAN賞とは


 KU/KAN賞は、環境を構成する様々な要素を空間領域のコミュニケーション媒体として融合し、人々に感動を与え、都市文化を担う新しい空間として創出したものに与えられます。空間デザイン機構が2007年にスタートさせて、今年で4回目となります。空間デザイン機構の理事及びKU/KAN賞委員長の計9名により、12点のKU/KAN賞候補が選出されました。数度に渡る選考の結果、今回のKU/KAN賞1点が決定しました。
 今回の受賞は旭山動物園の「行動展示」です。一般的な動物園は、身体的な特徴を見せるだけの「形態展示」や、野生で生息している環境を再現した「生態展示」といった方法で展示しています。しかし、旭山動物園の「行動展示」はそれぞれの動物の特技や特徴的な能力を自然に誘発させる仕組みと、それを来園者に見せるように工夫された展示となっています。この取り組みは、一方通行なコミュニケーション展示となってしまっている日本の空間デザインにとって大いに参考になるとして、高く評価されました。


第4回 KU/KAN賞 旭山市旭山動物園「行動展示」

泳ぐホッキョクグマ
泳ぐホッキョクグマ 撮影:桜井省司
ペンギンの散歩
ペンギンの散歩 撮影:桜井省司

選考経過
【 空間デザイン機構理事長 飯島直樹 】

 KU/KAN賞に、いつも程よい判定が待ち構えているわけではない。空間デザイン領域を分野に限定しないで幅広くとらえることと、一方で個々のデザイン事例の独自性を奥深く追及することの両方を同時に判定する事はかなり難しい。だから選考のたびに、この賞の意義、目的を議論し再確認してきた。KU/KAN賞は大げさにいえば、20世紀を終えた近代デザインが、これから向かう先の創造に関与すると思っている。自分たちが知っている枠に閉じ込めることなく、選考の場に投じられたデザインに向き合うこと。そうした了解も選考のたびに共有された。
 選考対象は中間検討を経て、12点に確定した。その後2回にわたり、それぞれの推薦理由をめぐって論議された。
 私たちは旭山動物園を「空間の可能性」の極めて魅力的な表出と受け止めた。旭山動物園の試みは、人間の視点からの空間の見直しを迫る。動物園という人間以外の主体がいる場では、人間中心の世界観は一種の錯覚でしかない。旭山動物園では、動物の行動が空間を生成する。そして思いもよらぬ空間の隠れた次元を作り出す。私たちはこうした旭山動物園の空間現象を、大変示唆に富んだデザインの思考として了解した。20世紀的な人間中心主義をいまだに奉じるデザイン業界にとって、それは目から鱗なのである。商業デザインの現場にも有効であろう。例えば、動物とヒトとの双方向コミュニケーション展示の成功は、人間の欲望と商品とのがんじがらめな一方向コミュニケーション空間に陥っている百貨店空間にとって、大いに参考となるはずである。あるいはまた、車が冷凍マグロのようにころがっている日本中の車のショールームにとって、販売促進の大きなヒントになるはずである。
 最終選考は選考委員の採決によるが、KU/KAN賞は単純な多数決が決定要因ではない。選考対象が将来のデザインの場面にどこまで有意義な観点を投げかけられるのか。そのことの論議を優先し、第4回のKU/KAN賞は旭山動物園の「行動展示」に決定した。


総評
【 空間デザイン機構副理事長 横田保生 】

 2010年のKU/KAN賞は、12点の候補の中から「旭山動物園の行動展示」が選ばれた。KU/KAN賞は「環境を構成するさまざまな要素を空間領域のコミュニケーション媒体として融合し、人々に感動を与え、都市文化を担う新しい空間として創出したもの」に与えられる。
 「旭山動物園の行動展示」は、空間デザインの新しい創造性・新しい手法によって、人々に新たな感動、体験を呼び起こし、今後の空間デザインの新たな方向を示唆するものとして、この十数年の活動が高く評価された。
 経営がどん底状態の動物園が、たくさんの人に来てもらいたいと考えたとき、動物園の役割とされている娯楽・教育・研究・保全のうち「娯楽」に焦点を当て、そのための展示方法に問題を絞った。そしてその解決方法として、餌捕りや集団行動等の修正を踏まえた創意工夫満点の「行動展示」群が実践され、それが多くの人々から共感を得た。これはまさに、問題点を明確にし、それを既存の技術の組み合わせと仮説によって、見えるカタチにすることで解決策を導き、新たな価値をつくるデザインの本質そのものである。
 この動物園の目指した機能と目的は、娯楽の提供だけではない。そもそも、この動物園のテーマは「伝えるのは命」である。命を伝え自然を大切にする心を育むために発想された展示方法として「行動展示」はふさわしい。檻の中で存在しているだけの命や、自然とはかけ離れた芸に代表される見せ物からは、動物の営みそれ自体が、命への尊敬・尊厳を感じる重要な事柄であることを伝えることはできない。そこで動物園はどうすれば動物本来の動きを引き出し、来園者に興味をもって見てもらえるかを考えた。
 集団行動の習性を生かした「ペンギンの散歩」、餌捕りの習性を利用した「ホッキョクグマの水中飛び込み」や「アザラシのもぐもぐタイム(給餌)」。中でも好奇心旺盛なアザラシが人間を観察する円柱水槽展示の発想は秀逸である。この展示は通常と異なるところは、展示されている側のアザラシやヒョウも観覧者を見ていることである。この動物園では動物の動きを間近に見ることができるが、野生動物にはテリトリーがあり、それが微妙に維持されながら観覧できる工夫がなされている。動物が安心して生を営めるからこそ、動物の野生を引き出すことができる。本来の動きがとれる環境は動物にとってもすみよい環境であり、エンリッチメントという動物福祉の実践にも適っている。そして、そこからうまく引き出された野生を見ることができるからこそ、我々はその展示に魅了されることになる。動物にとって自然で心地よい環境、観覧者にとっては魅力的な展示から得る感動が、我々に守るべき自然の意識を芽生えされるのは想像に難くない。そしてどんな場合でもそうであろうが、設計者や参加者の熱い思いが新たにモノゴトを動かしていくことを示した好例でもある。

審査員
飯島直樹 社団法人日本商環境設計家協会理事長(飯島直樹デザイン室代表)
加島好修社団法人日本ディスプレイデザイン協会理事(加島空間デザイン)
浜田 晋社団法人日本ディスプレイ業団体連合会副会長(株式会社つむら工芸代表取締役社長)
前田利昭社団法人日本商環境設計家協会理事(株式会社シーパァフォァ代表取締役)
宮沢 功社団法人日本サインデザイン協会理事(ヨシモトポール株式会社顧問)
山田祐照社団法人日本ディスプレイデザイン協会副理事(株式会社ノムラ・デュオ取締役)
山田昌之社団法人日本ディスプレイデザイン協会会長(山田昌之デザイン室代表)
横田保生社団法人日本サインデザイン協会会長(株式会社GKグラフィックス取締役)
渡辺 勝社団法人日本ディスプレイ業団体連合会副会長(株式会社乃村工藝社代表取締役社長)



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