「Visaプリペイドカードデザインコンテスト2015」では、プリペイドカードと言う実際に存在する商品でのデザインを学生の皆様の新しい世界観で、且つ限られたスペースの中で創造していただくことを目的として開催しました。
応募のテーマは Fun(楽しい)、Memory(思い出)、Cool(かっこいい)の3カテゴリーで2015年7月1日から2015年9月15日まで募集し、897作品の応募がございました。
3名のデザイナーの方々を含む審査委員会にて審査の結果、30作品が最終選考に残り、その中からデザイナーの方々での討議により最優秀賞及び優秀賞が決定致しました。また、一般の方々の投票により特別賞も決定致しました。是非、ご覧ください。
高田 唯
プリペイドカードはやはり「持ちたい」と思わせてくれるものが良い。カード類はどうしても財布の中でかさばっていくもので、極力多くは持ち歩きたくはないもの。そういう一般人としてカードを持つ側の気持ちと、表現の豊かさや個性、そして新しさを判断するグラフィックデザイナーとしての目線、その両方の目線をもって審査していきました。
今回、初めての公募にも関わらず、897点ものデザインが集まりました。その中から選ばれた受賞作品達は、どれもなかなか個性的で、説得力のあるものが選ばれました。今回選ばれなかったものの中にも、もうちょっと磨けばものすごく輝くであろうアイデアがいくつもありました。今回は第一回目なので、“基準”というものが現れました。次回はさらに別の角度から賑わして頂きたいです。
中村 佑介
応募者の皆さま、お疲れ様でした。今回のコンテストでは、技術力、テーマの解釈、またVISAカードらしさと同様に、学生が応募対象なので、「プロにはない若々しい自由さ」を僕の場合は審査基準の念頭に置き、応募作品を全て見せて頂きました。実は、あえなく選外に漏れてしまったほとんどの作品も、審査員の好みではなく、上記と同様の理由で、「自由すぎて企業の基準に引っ掛かる」といったものだったのです。例えば“Visa”のロゴを改変している事や、ネガティブなニュアンスを含むもの。これは「自分の作品」ではなく「企業の顔」を作るイラストレーターやデザイナーという仕事の大前提です。“いっぱい練習したのに、ユニフォームを忘れて試合に出れなかった”は損ですからね。逆にそれさえ出来れば、次は優勝出来るでしょう。選内、選外、すべての夢をこれからも応援しております。
平林 奈緒美
全体的には、“デザイン”で勝負しているものよりも、イラストやアートワークそのものを配置している作品が多かったように思います。
回を重ねるうちに、もう少し違ったテイストの作品が出てくると審査していて見応えがあるなと思いました。こういったコンペティションは、自分の作品が他人の作品と一緒に並んでいるのを見ると、自分のレベルがとてもよくわかるので2次審査は公開審査のような形にするのも、学生の方たちにとっては良い勉強になる気がします。
長島 奈槻(Chinese Taipei School Kuala Lumpur 普通科)
テーマ:Fun(楽しい)
私はHAPPYだからこそFUNがあると思います。
生活の中で私たちを楽しくしてくれているのは、ほんの些細な物だったりします。
私が思う生活を色とりどりにしてくれる物達をギュっとつめました。
このカードを見てひとりでも多くの人に私達のLIFEは楽しさであふれていると感じてもらいたいです。
“お買い物”という行為の楽しさや、ワクワク感が画面いっぱいに表現されている。見れば見るほどいろんなアイテムが細かく描かれており、こちらを楽しませてくれる。男女問わず持ち歩くことができる、優れた表現だと思う。(高田)
小さなカードの版面に、当たり前と思える量の倍以上のモチーフをギッシリ描いてあるのにうまく余白を残していたり、大きなものと小さなものの配置が考えられたりしています。モチーフの選び方も自由で、それが好印象だったと思います。(平林)
まずは、通常のカードでは択ばれることが少ない緑色を使い、ハッとするようなイメージに仕上げており、カード売り場で目立つ事が予想されます。そして次に、買う方も、もらう方も、国籍や性別を問わず持ちやすい絵柄であること。実はこれが出来ていたのは、多数の応募作品の中でこの作品のみでした。また、次回コンテスト参加者が勇気をもらえるような、学生らしさの見本的な作品である事も決め手となりました。おめでとうございます。(中村)
川村 あずさ(北海道芸術デザイン専門学校 マルチメディアデザイン学科 CG・Webクリエーター専攻)
カードのデザインなのでシンプルで持ちやすいデザインにしようと思いながら制作しました。
カラフルな花を沢山描いたので、鮮やかで楽しい雰囲気が出ていればなあと思います。
文字のフォントも絵に合うようなものを選びました。
女性向けの見た目ではあるが、手書きのカラフルな花が、買い物の際の気持ちをうまく表現している。(高田)
花という具体的なものをモチーフにしていますが、それを上手に“図案化してデザイン”に落とし込んでいます。(平林)
白と原色を使用する事により、親が子供のプレゼントとして択びたくなるような、楽しさと清潔感を両立しながらも、絵の具のタッチにより幼さは感じず、もらった方もとても嬉しくなります。また、実際に光沢のあるプラスチックカードに印刷した際、とても栄える絵柄だと思いました。(中村)
佐々木 水音(秋田公立美術大学附属高等学院 1年生)
コンセプトは、「旅先でちょっとした定規にも使えるカード」です。旅先で計ってほしい物や思い出になるような物を並べました。旅には待ち時間がつきものです。そんな時にも見ていて飽きない、楽しくなるようなカードにしたいと思い、細かいところにもこだわって描いたのでじっくりと眺めてもらいたいです。
古紙の上にひろげたアイテムたちが、旅の思い出を想起させてくれる。四辺に入ったメモリが斬新。アクセントになっている。(高田)
通年で使うのではなくプリペイドで、例えば旅先などで多く使われることを前提にしたデザインということを上手に表現していると思います。モチーフの選び方やイラストのタッチにも現代感があります。(平林)
プリペイドカードとしてイヤミのないよう、子供時代の机の引き出しを久々に開けたような、皆の思い出の中で、お金の変わりになっていた宝物たちを描く配慮。そして、VISAのホログラムシールでさえ、デザインの一部として取り込むようにスペースが空けられている必然性。お見事です。(中村)
石塚 梢(秋田コア ビジネスカレッジ 情報システム科 Web・CGデザインコース)
宝石のアクアマリンをイメージ。アクアマリンの石言葉は勇敢、聡明、沈着、幸福など。
誰でも使いやすいようにシンプルなデザインにした。
緑の絶妙な色彩が単純に奇麗だと思った。シンプルすぎるような気もするが、使う側を意識したスマートなデザイン。(高田)
年齢も性別もいろいろな人が使うことになるカードのデザインとして、単純に個性のないものでなくシンプルでありながら、使いたい時にすぐに見つけられるような特徴もあるところが評価に値すると思います。(平林)
この部門では【クール=冷たい=無機質】のような硬いイメージの作品が多く見受けられましたが、そんな中、幾何学模様を使用しながらも、まるで宝石や春の芝生のような【クール=涼しい】という有機的なあたたかみも含むとても使いやすいデザインだと思い、選考しました。(中村)