受賞者インタビュー
2023/03/22 10:00

デザイナーへの近道は「1年間の実践授業」と「デザインコンペ」 東京デザインプレックス研究所出身・受賞者インタビュー(コンペ編) [PR]

東京デザインプレックス研究所

デザイナーにキャリアチェンジしたい、キャリアアップしたい 。だけど、どんなステップを踏めばよいのかわからない。そんな方にとって「デザイン学校」と「デザインコンペ」は理想を叶える手段になるかもしれません。学校で身につけた知識やスキルをデザインコンペを通して実績に変える。異業種からの転職や独立などの新たなキャリアを切り拓くカギが、「デザイン学校」と「デザインコンペ」に隠されています。

そこでデザインを学びたい人のためのメディア「デザインノトビラ」と「登竜門」の両編集部がタッグを組んでお届け。1年間、集中して実践的に学べるデザイン専門校「東京デザインプレックス研究所(以下、TDP)」を卒業し、デザインコンペ受賞の実績を活かしてキャリアアップに挑む増谷誠志郎さん(以下、増谷)と髙田夏希さん(以下、髙田)にお話を伺いました。

「登竜門」では、お二人のコンペ受賞プロセスについて詳しくご紹介します!

デザイナーへのキャリアチェンジを目指して東京デザインプレックス研究所へ。そしてデザインコンペに応募

― お二人ともデザインコンペをきっかけに新たなキャリアをスタートさせていますが、まずは現在のお仕事内容について教えてください。

髙田:大学で演劇を学んでいましたが、デザインスキルを磨きたくてTDPに入り、修了後は最近までティーチングアシスタントとして当校の授業をサポートする仕事をしていました。現在は、デザイン事務所で勉強させてもらいながらフリーランスとしてもデザイン制作を請け負っています。

増谷:僕はもともと、愛知の自動車部品メーカーでエンジン部品開発に携わっていました。デザインをやってみたくて上京し、TDPで1年学んで2020年に修了しました。「東京ビジネスデザインアワード」の最優秀賞の獲得でアイデアが実案件化したことをきっかけに、友人と「SANAGI design studio」というデザイン事務所を立ち上げています。現在は中小企業向けに商品企画から販路開拓まで一貫してプランニングをしています。制作するものは会社案内パンフレットや企業広告、展示会ブース、Webサイト、最近では家電製品の企画などさまざまです。

東京デザインプレックス研究所終了 髙田夏希さんと増谷誠志郎(SANAGI design studio)さん

左:髙田夏希(たかた なつき) 大学で演劇を専攻した後、東京デザインプレックス研究所 デジタルコミュニケーションデザイン専攻(1年制)に入学、2022年3月に修了。同校講師アシスタントを務め、現在はフリーランスのデザイナーとして活躍中。「デザインで演劇を盛り上げる」という目標に向けて制作活動を行う。「JAGDA国際学生ポスターアワード2022」金賞受賞。

― 髙田さんは「JAGDA国際学生ポスターアワード2022」金賞、増谷さんは「2020年度 東京ビジネスデザインアワード」最優秀賞をTDP修了後に獲得していますが、それぞれデザインコンペに応募したきっかけはなんだったのでしょうか?

髙田:自分の好きなものじゃなくて、何かテーマに沿ったものを作りたいと思っていた時、ティーチングアシスタントをしていたクラスの受講生に教えてもらったのが「JAGDA国際学生ポスターアワード」でした。初めて応募したコンペでした。

増谷:それで金賞獲得はすごいですね!僕は在学中からいろいろ応募していたのですが、なかなか結果を出すことができなくて。それでもめげずに応募しつづけてようやく受賞できたのが、「東京ビジネスデザインアワード」でした。

日頃から「登竜門」で面白そうなデザインコンペを探していたのですが、その中で意識していたのがコンペの結果が案件に直結するかどうか。友人と一緒にデザイン事務所を立ち上げたいという夢があったので、実績として箔がつくだけでなく、仕事につながるものがいいと思っていました。「東京ビジネスデザインアワード」は中小企業と協力しあって課題に取り組むコンペです。アイデアが採用されれば、すぐに社会に実装できるので、なんとしてでも最優秀賞を取ろうと打ち込みました。

増谷誠志郎さん(SANAGI design studio)

増谷誠志郎(ますたに せいしろう) 自動車部品メーカーに4年間在籍した後、東京デザインプレックス研究所 デジタルコミュニケーションデザイン専攻(1年制)に入学、2020年3月に修了。2020年9月に友人と「SANAGI design studio」を設立。代表作は、2020年度 東京ビジネスデザインアワードの最優秀賞提案であり後に商品化した「さかなかるた」で、2022年グッドデザイン賞(グッドデザインベスト100、グッドフォーカス賞)も受賞している。2021年度 東京ビジネスデザインアワードでも優秀賞など3つの賞を獲得。

デザインコンペ受賞のカギは、東京デザインプレックス研究所で学んだ経験と知識

― 髙田さんが金賞を受賞した「JAGDA国際学生ポスターアワード2022」のテーマは「Voice」ということですが、出品した作品にはどのような想いを込められたのでしょうか?

髙田:さまざまな考えを経て、私が考える「Voice」に共通することが「勇気」だと気づいたんです。具体的には大勢の前で意見を発言するとか、自分の夢を誰かに伝えるとかですが、その時の自分にはどれも当てはまらなくてやめました。「勇気」のなかでも、今の自分が当事者意識を持って考えられることを作品にしようと。そう思って、「告白」を表現する作品を作ることに決めました。

髙田さんが金賞を受賞した「JAGDA国際学生ポスターアワード2022」のポスター作品

JAGDA国際学生ポスターアワード2022 金賞「ILY」。同アワードは公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)が主催。3月卒業者も含む学生を対象として、国籍・年齢不問のデザインコンペ。

― 制作する中で、大切にしていたことや意識していたことはありましたか?

髙田:初めてのコンペだったしスキルも未熟なので、テクニックに走るより、ストレートに自分の想いが伝わるものにしようという意識は常に持っていました。だからこそ、作品を見てどう思ったか、TDPの先生や生徒、友人などに見てもらって、聞くことを大事にしていましたね。特に、印刷に精通しているTDPの先生に使用する紙についていろいろアドバイスをいただけたことで、より自分の想いを精度高く表現した作品になったと思っています。

TDPは受講開始から3年間は教室のPC環境や機材が使えるし、デザイン就職のサポートやポートフォリオ制作の指導が受けられます。アドバイスを得られる環境は本当にありがたかったですね!

― 増谷さんは老舗印刷会社・千葉印刷の「42億色を表現できる印刷技術の素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい」という課題に対して、「さかなかるた」というグッズで最優秀賞を獲得していますが、このアイデアが生まれた経緯について教えてください。

増谷:まず課題の目的について考えるところから始めました。アウトプットは広告でもプロダクトでも何でもよかったので、千葉印刷さんにとって一番最適なものをつくるために目的を深掘りすることが大切だと思ったんです。

そして、この課題の本当の目的は「技術の素晴らしさを広めること」だけではなく、「印刷会社や業界が生き残りつづけること」だと考えました。今、印刷業界は紙媒体の需要減少に直面しています。だからこそ、売上に直結しやすい消費者向けのプロダクトをつくることが最善策だと思いました。さらに、できる限り余計なコストがかからないように、自社内で製造が完結できるものにすることも意識しました。

それから、コロナ禍でどういったものが売れるのか分析し、42億色もの表現の幅が活かせるものとは何かを詰めていきました。最終的に大人も子どもも楽しめるように考案されたのが、魚の模様を取り札にした「さかなかるた」です。

さかなかるた

2020年度東京ビジネスデザインアワード最優秀賞「さかなかるた」。同アワードは東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会が企画・運営を行う。東京都内の中小企業の技術や素材などをテーマに、新規用途開発とビジネス全体のデザイン提案を募るコンペティション。

― TDPで学んだことの中で、どんなことがデザインコンペ応募の役に立ちましたか?

増谷:「プレックスプログラム」という各業界のトップクリエイターが登壇するワークショップでの経験が、デザインを考える際の礎となっていると思います。登壇される講師の方が実際の案件をもとに課題を出してくれるので、常にクライアントやユーザーのことを意識しながらデザインに落とし込むスキルが身につきました。また、このワークショップや通常授業いずれも、製作技術や表現方法だけではなく、ブランディングやマーケティングも学ぶことができます。「東京ビジネスデザインアワード」で戦略的にプロダクトをデザインできたのは、そこで得られた知識のおかげだと思います。

東京デザインプレックス研究所「プレックスプログラム」のワークショップの様子

東京デザインプレックス研究所「プレックスプログラム」のワークショップの様子

一年間の実践授業、そしてデザインコンペ受賞を布石に。さらなる夢と目標に向かって歩いていく

― デザイン業界で権威のある賞を受賞したお二人に、今後の展望についてお伺いできればと思います。

増谷:「さかなかるた」をきっかけに千葉印刷の方々と深く議論を重ねながら、様々な施策について話し合う機会が増えました。その中で新たな課題も見つかりつつあるので、ぜひともデザインの力で解決していきたい。そんな想いと責任感が日に日に大きくなっています。

ありがたいことに、コンペの受賞をきっかけに千葉印刷さん以外の企業からお声がけいただくことも徐々に増えてきたので、「さかなかるた」に続く代表的なプロダクトをたくさん生み出したいなと思っています。そして、ゆくゆくは社会に大きなインパクトを与えられるようなデザイン事務所に育てていきたいですね。

増谷誠志郎(ますたに せいしろう) 自動車部品メーカーに4年間在籍した後、東京デザインプレックス研究所 デジタルコミュニケーションデザイン専攻(1年制)入学、2020年3月に修了。2020年9月に井下恭介と「SANAGI design studio」を設立。代表作は、2020年度 東京ビジネスデザインアワードの最優秀賞提案であり後に商品化した「さかなかるた」で、2022年グッドデザイン賞(グッドデザインベスト100、グッドフォーカス賞)も受賞している。2021年度 東京ビジネスデザインアワードでも優秀賞など3つの賞を獲得。

髙田:大学時代に演劇を学んでいたり、役者として舞台活動をしていた経験から、デザインで演劇界に貢献できるようになるのが私の夢です。その夢を叶えるために、仕事を通してスキルを磨きながら、デザインにおける自分の強みを見つけたいと考えています。そのため、この学校でのインプットを活かして、自分の作品づくりにも力を入れていきたいですね。今の目論見としては、一から本をつくろうかなと思っています。自伝のような内容を考えていて、執筆も装丁デザインも全て自分の力でやりきるつもりです。

髙田夏希(たかた なつき) 大学で演劇を専攻した後、東京デザインプレックス研究所 デジタルコミュニケーションデザイン専攻(1年制)に入学、2022年3月に修了。同校講師アシスタントをつとめ、現在はフリーランスのデザイナーとして活躍中。「デザインで演劇を盛り上げる」という目標に向けて制作活動を行う。「JAGDA国際学生ポスターアワード2022」金賞受賞。

実験と学びの機会に。とりあえず応募してみる

― 最後に、デザインコンペへの応募を検討している読者の皆さんにメッセージをお願いします!

髙田:もし自分に自信がなくて応募を迷っている方がいたら、「とりあえず軽い気持ちでやってみて!」と言葉をかけたいです。うまくいっても、いかなかくても、コンペに費やした時間は絶対に無駄にならないと思います。目的に沿ってデザインすることの練習だと思って、ぜひ前向きに一歩を踏み出してほしいです!

増谷:コンペって「応募しよう」という気持ちがあっても腰が重くなってしまいがちだと思うのですが、そんな時は募集ページを見てみたらいいかと。テーマや過去の受賞作品を見るだけでも、世の中の流行りがわかるなど何かしらの気づきが得られて面白いと思うので。

髙田:コンペの特設ページを見るだけで、ワクワクした気持ちになったりしますよね!私も暇さえあれば「登竜門」を見て、面白そうなデザインコンペを漁っていました(笑)。

増谷:そうそう。髙田さんも言っていたように、デザインコンペは学校と同じというか。実験と学びの場だと捉えて気軽に参加してみるといいのかなと思いますね。例え結果がダメだったとしても、ダメだったなりの学びがあるし、受賞作品から得られることもたくさんありますしね。

髙田:あと、デザインの勉強を始めたばかりの人は特にコンペに参加してほしいですね!デザイナーを目指すのであれば、ポートフォリオに載せる作品は多いに越したことはないですから。デザインコンペは自分の作品を増やす絶好の機会だと思うので、ぜひチャレンジしてみてください!

東京デザインプレックス研究所 東京・渋谷にあるデザイン専門校。

取材・執筆・編集:濱田あゆみ(ランニングホームラン)、撮影:加藤雄太、企画:猪瀬香織(JDN)

東京デザインプレックス研究所
東京・渋谷にあるデザイナー・クリエイター育成の専門校。昼間部1年制と、土・日・平日夜・昼間短期集中クラスが用意されている。

専攻:
デジタルコミュニケーションデザイン、空間コンテンポラリーデザイン、WEBインタラクションデザイン、グラフィック/DTP、WEBクリエイティブ、クリエイティブデザイン、商空間デザイン、CAD/3DCG、インテリアデザイン、UXリサーチ、UI/UX、デザインストラテジー
https://www.tokyo-designplex.com/

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