受賞者インタビュー
2017/01/17 16:00

BETONES UNDER WEAR CONTEST 2012 受賞者 三浦貴生インタビュー1 / 2

BETONES UNDER WEAR CONTEST 2012 受賞者 三浦貴生インタビュー

アート性、ファッション性の高い自由なデザインを数多く展開するアンダーウェアブランド『BETONES』。同ブランドが、アーティストの発掘を目的に毎年開催するのが『BETONES UNDER WEAR CONTEST』だ。現在、2017年の公募が開始され、2月27日(月)まで、「みんながHAPPYになるデザイン」をテーマに作品を募集中(BETONES DESIGN CONTEST 2017)。同コンテストの受賞作品は実際にアンダーウェアに登用され毎年多くの話題を呼ぶ中、今回は2012年に同アワードを受賞後、BETONES のアンダーウェアや三越伊勢丹のJAPAN SENSES「うみの美」メインビジュアルの線画、イラストを担当するなど精力的に活躍の幅を広げているアーティスト、三浦貴生さんに、自身のヒストリーを通して同コンテストの魅力について聞かせて頂いた。

「1枚の絵がコミュニケーションツールになる」

-三浦さんの現在の活動内容を教えてください。

三浦貴生(以下、三浦):ずっとサラリーマンとの2足のわらじを履いていましたが、1年ほど前にようやくアート1本でやっていこうと決心しました。僕は結果がすぐに出なくても地道に継続できるタイプなんですが、サポートしてくれる方やファンの方が増えたこと、子供が生まれ家族ができたことで、いい加減なことはできないなと覚悟を決めました。具体的な活動ですが、僕は自ら作品を売り込みにいくことはほとんどありません。その代わりに、インターネットを使って発信をしています。例えば、描いている手元を撮影した動画をユーチューブやタンブラーにアップするなど。英語ができるので、海外向けに英文を付けて紹介したりもしています。そうした中で生まれたつながりから、お仕事を頂いたりすることが多いです。

-アーティストを志した経緯は?

三浦:元々アーティストになろうとは、まったく考えてもいませんでした。大学も医療系で、言語聴覚士の資格を取得しました。でも、絵を描くことは子どもの頃から好きでしたね。受験勉強で行き詰まった時など、気晴らしに点描画を描いたりしていましたから。一度描き出すと夢中になり過ぎて、結局勉強そっちのけで気付けば朝まで描き続けたり(笑)。それでも、あくまで趣味の範囲に留まっていました。

三浦貴生 1983年、北海道生まれ。大学で心理学・言語聴覚療法学を学び国家資格を取得。主席で卒業するも、単身ニュージーランドへ放浪の旅へ。帰国後に『BETONES UNDER WEAR CONTEST』へ出品し見事受賞。現在アーティスト名「Noah’ ART」を名乗り、『BETONES』をはじめ様々なイベント参加やプロダクトとのコラボなど、幅広く活動する。

三浦貴生
1983年、北海道生まれ。大学で心理学・言語聴覚療法学を学び国家資格を取得。主席で卒業するも、単身ニュージーランドへ放浪の旅へ。帰国後に『BETONES UNDER WEAR CONTEST』へ出品し見事受賞。現在アーティスト名「Noah’ ART」を名乗り、『BETONES』をはじめ様々なイベント参加やプロダクトとのコラボなど、幅広く活動する。

-では何がきっかけとなったのでしょうか。

三浦:まず、大学卒業後にニュージーランドへ旅に出たんです。卒業を控えた実習の際に、アルバイトさえしたことのない僕を、患者さんが“先生”と呼んでくれるんです。それにとても違和感を感じました。「僕はまだ先生と呼ばれるに値しない人間だ」って。そこで、一度外の世界を自分の足で見に行こうと、ニュージーランドに旅に出たんです。最初はスーツケースで歩き回る観光客のような感覚だったのですが、現地で雄大な自然や土着文化に触れるうちに、これじゃだめだとバックパックに買い替え、どんどんローカルな中に身を置くようになりました。そんな中で出会ったのが、トライバルタトゥーでした。トライバルタトゥーって、自然の造詣がインスピレーション源となっていて、だから曲線がとても美しいんです。そこで、畑仕事などで日銭を稼ぎながらトライバルタトゥーをモチーフにした絵を描き、現地の人たちにプレゼントしていたらとても喜ばれたんです。その時、1枚の絵がコミュニケーションツールになるんだと気づき、絵で食べてゆければいいなと思いはじめました。

-そこからがアーティストとしてのはじまりですね。

三浦:いえ、帰国してからはアルバイトしながら絵を描く生活をしていました。SNSを通じてたまにお仕事を頂きながらも、プロとしてやっていける覚悟は出来ていませんでした。漠然と夢描いてはいましたが、アーティストとして食べてゆけるなんて、現実的には捉えていなかったんです。こんな僕がなれるわけないと。

転機となったコンテストへの応募

-そこで転機となったのが『BETONES UNDER WEAR CONTEST 2012』ですね。

三浦:そうです。正直絵で食べてゆくことをあきらめかけていたのですが、コンテストの存在を知り、ダメもとで応募してみようと。実は後にも先にもコンテストに応募したのはそれだけなんです。まったくの独学で、ちゃんと絵を学んだことがない僕にとって、コンテストはハードルが高かったんです。それまで、コンビニで売っているボールペン1本で描いていただけですし、こんな素人が受賞できるわけがないって、いわばコンプレックスを抱えていたんです。おまけに、参加費が必要なコンテストも少なくなく、収入が少ない僕には手が届かない存在でした。でも『BETONES UNDER WEAR CONTEST 2012』は、参加費が無料なこともあり、とても気軽に応募できましたね。

-受賞された時の気持ちは?

三浦:普通に就職しようかと心折れかかっていた時だったので、突然目の前の道が開けたような気持ちになりました。また絵を描こう、描き続けてゆこうと。もしコンテストに落ちていたら、おそらくやめていたと思います。

「製作期間はおよそ3〜4日程度。一度ペンを取ると何時間も描き続けます」(三浦)

「製作期間はおよそ3〜4日程度。一度ペンを取ると何時間も描き続けます」(三浦)