結果発表
2024/02/02 10:00

第23回 YKK ファスニングアワード《学生限定》

主催:YKK株式会社、YKKスナップファスナー株式会社

応募作品数:9518点(アパレル部門:7815点/ファッショングッズ部門:1703点)
受賞作品数:9点(アパレル部門:4点/ファッショングッズ部門:5点)(入選を除く)
アパレル部門

グランプリ

回転する服
敷矢大輔(大阪文化服装学院)
回転する服
作品コメント
この服は回転する。色々な意味で。世の中の流行や身の回りにあるもののほとんどが回転をしている。私たちは常に回転の狭間に生きている。そして私たちは回転の狭間を乗り越えなければならない。そんな時に回転する服が必要なのではないかと考えた。
受賞コメント
グランプリを獲れる自信があったので率直に嬉しいです。周りのサポートも得ながら手間と時間をかけ、前回のリベンジをしました。最もこだわったのは、服を回転させるための、ファスナーの継ぎ目です。ファスナーは本来、固定されたテープにスライダーを動かして開閉するものですが、それを逆にしました。スライダーを固定して、代わりにテープを動かすことで、服が動くという仕組みです。3年生になってから素材にも興味を持ち、全国を飛び回って自分の理想の生地を探したことも制作に生きました。柄を多用したので、それを表現するのに膨大な時間がかかり、苦労しました。受賞を糧に、近い目標としては自分のファッションブランドを立ち上げます。肉が大好きなので、焼肉屋になる夢もあります。

取材協力 繊研新聞社

優秀賞

ATHLETE SUIT CLIMBING
石野隼斗(東京モード学園)
ATHLETE SUIT CLIMBING
作品コメント
山の天気は変わりやすく晴れていても天気が急変したり、気温の変動も激しいことから様々な環境に対応できるハイキングウェアをデザインした。「レイヤリング」と呼ばれる重ね着をして体温の調整を行えるようにベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーの3枚のウェアを重ね着しファスナーやスナップボタンを使用してレイヤリングを行いやすいウェアを提案する。
受賞コメント
グランプリを獲得したかったという悔しさもありますが、数多くの作品のなかで受賞できて光栄です。YKKのファスナーは様々な用途に合わせて種類があるのでもともと好きでした。今回の制作で自分の物作りとYKKのアイテムとの化学反応が楽しく、もっとファスニング製品に興味が湧くようになりました。レインウェアとしての機能性を持たせながら、登山ウェアとしてファッション性の優れたものを作ることが今回のテーマですが、ほとんど伸びない素材を使ったため、生地に逃げ場がなく、しわになりやすいというデメリットを克服することに苦労しました。生地の特性をつかむまで、何回も縫製を繰り返しました。将来はスポーツアパレル業界で活躍するのが夢です。

取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞

Epsilon
佐野 想(名古屋モード学園)
Epsilon
作品コメント
「Little Parts. Big Difference.」になぞらえ、SOFIX®のシンプルで汎用性の高い機能性・デザイン性を伸縮素材とかけ合わせ、「歪」を柄・ディテール・シルエットで表現。新しくも、実用的な可能性をもつリアルクローズを提案する。
受賞コメント
これまでずっとファッションコンテストに力を入れてきたので、受賞できて気持ちが少し楽になりました。タイトなシルエットなのにデフォルメするというデザイン画を忠実に再現できる生地を調達することが大変で、オーダーメイドに自分で加工して近づけていきました。生地が届いてからも厚みや軽さなどイメージと異なる点も多く、最適解を探すのに時間がかかったのですが、それが最終的にこう評価されてとても嬉しいです。取り付ける機能があるSOFIX®とリブニットを伸ばして縫い付けました。どちらも歪むもの同士なので、服としてのバランスをどう成り立たせるかを突き詰めました。SOFIX®の面白さを肌で感じながら、自分の納得いく作品になりました。次回のアワードはリベンジしてグランプリが目標です。その先はデザイナーとして海外でも活動したいです。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞

NAMI
白川 黎(上田安子服飾専門学校)
NAMI
作品コメント
海のなみ、情緒のなみ、心のなみ、なみは人を包み込む。人間の感情変化を自然変化と対比し気分の浮き沈みや気候変動による真美の変化、両者の共通点から生まれた作品。
受賞コメント
去年受賞できなかった悔しさを晴らすことができました。SOFIX®を全面的に使用することで差別化を意識して受賞を狙っていましたが、他の方の作品が素晴らしすぎたので、自分が賞をいただけたことにびっくりしています。デザインはSOFIX®を蛇腹にすることで“波”を表現し、自然の波と人間の感情変化の波を対比させるのがコンセプトです。制作過程では生地にSOFIX®を立体的に縫製することが大変で、縫う箇所が多いので丸2日かかりました。先生が親身にアドバイスしてくださり、シルエットやパターンも何度も修正して納得いく形に作り上げることができました。受賞を励みに、服飾だけでなくグラフィックなど、色々なデザインに携わっていきたいです。近々デザイン会社を起業します。

取材協力 繊研新聞社
ファッショングッズ部門

グランプリ

誕生
西野陽光(文化服装学院)
誕生
作品コメント
リングの上に球体があり、そのファスナーを下げると、まるで蕾から小さな芽が誕生する様子を表現。蕾、芽、リングの部分をネジで付け替えができるようにして、自分好みにアレンジすることが可能。
受賞コメント(一部抜粋)
グランプリまで受賞でき、嬉しさと驚きが両方あります。3年間このアワードに挑んできたので、最後の年に集大成になりました。金属とファスナーをどう調和させるのか、デザイン画が選考通過してからずっと悩みました。最初は皮革など柔らかい素材を使ってジュエリーにしようかと迷いましたが、せっかくジュエリーを専攻しているのだから金属でチャレンジしようと思い、先生や友達にアドバイスをもらいながら、どうすればうまく開閉できるのか試行錯誤しました。デザイン画時点でジュエリーは1種類だけだったのですが、バリエーションを持たせたら面白いのではないかと付け替えられる仕様を採用しました。そこを評価されたので、欲張ってよかったです。受賞はモチベーションにもつながったので、もっと自信をもって物作りに打ち込みます。ファスナーに触れることで自分自身の視野も広がりました。


取材協力 繊研新聞社

優秀賞

Bone hand
常川遼太(東京モード学園)
Bone hand
作品コメント
BORNをテーマに、ファスナーの開閉により指先の自由が叶う、利便性を兼ね備えたファッションアイテムを考案。EVERBRIGHT®ファスナーは、骨に見立てたデザインアイテムであると同時に着脱を簡単にする役割を果たしている。伸縮素材を使用しており、使用者にも手袋自体にも負担のかからない、ファスナーを活かしたデザイン。肌感触が敏感な手に着けるアイテムを制作するにあたり“着け心地”に配慮して、ファスナーと生地の縫い代のゴワつきをなくしたいという思いからシームレス縫製を選択した。この縫製方法によりファスナー操作によるストレスを軽減し、開けた際の見た目も美しい、未だかつて見たことのない新しい手袋のアイデアを実現できた。
受賞コメント(一部抜粋)
グランプリを獲得できなかった悔しさはありますが、グランプリ作品の完成度が高く、素直にリスペクトしたいと思えました。自分としては力を出し切ったので、結果に納得しています。過去数年のファスニングアワードの案内冊子を見ていると、手元にフォーカスした作品がなかったので、だったら自分が映える手袋を作ろうと思いました。でも、ファスナーを普通に縫製すれば、肌触りが損なわれます。超音波圧着やレーザーカットなどの技術を使い、シームレスに縫製することで工夫しました。デザインとしては手袋としての機能がありつつ、男性でもネイルやアクセサリーを楽しむ人が増えているので、ユニセックスで楽しめるファッション性を意識しました。EVERBRIGHT®のファスナーはとてもエレガントで上品な雰囲気を醸せるのでお気に入りです。夢はコレクションブランドのデザイナーです。


取材協力 繊研新聞社

審査員特別賞

波紋
川合涼花(杉野服飾大学)
波紋
作品コメント
POWERHOOK®の新しい使い方を研究し、どの角度でもくっつくこと、ループ側の自由自在な柔軟性を活かしてウェーブ状の連鎖の装飾に使用した。ウェーブを施したサイドのベルトはPOWERHOOK®で容易に付け替え、カラーチェンジ可能。フラップを前胴側と背胴側で形を変えて前後で違う見え方にしている点、広げると一つの輪になる点がポイント。
受賞コメント
選ばれると思っていなかったので嬉しいです。作品制作では、POWERHOOK®の機能を生かしながら、それをどう新しく使うかということに挑みました。デザインは波紋のように連鎖する様や、それが輪になって広がるように表現しました。普通の布とは異なり固い素材なので、POWERHOOK®がきれいに波打つための幅や高さを調整することにこだわり、何度も付け外して研究したのが思い出です。クリエイティブな考えをもっと吸収して成長して、繊維の世界で新しいクリエイションを生み出せる人になっていきたいです。

取材協力 繊研新聞社
Squares-Cube
YU YIWEN(杉野服飾大学)
Squares-Cube
作品コメント
メイクアップアーティストのためのカスタマイズできるバッグ。立方体の展開図から得られる幾何学的なパターンをバッグのデザインに組み込んだ。「squares」と「cube」平面から立体への2wayに展開できる。メイクアップアーティストの方に効率的で快適な作業環境を提供できるバッグとなればいいと考えた。
受賞コメント
受賞の嬉しさと同時に悔しさも湧きました。また来年頑張りたいです。今回の作品は、学校の授業で立体造形をテーマに、パッケージデザインを学んだのがきっかけです。展開図をバッグに応用し、立方体の展開図をイメージしてパターンを作りました。とてもシンプルなパターンなのですが、面と面をファスナーで閉じて形にするには、6面ある正方形の大きさや寸法を微妙に変えていく必要があって、そこが非常に大変でした。立体と平面の2通りに形を変えられ、面ファスナーで各面の収納を取り外したり、カスタマイズが自由にできるようにすることで、メイクさんたちにとっての使い勝手も想像しました。これからも使う人の気持ちに寄り添いながら、将来的には自分のファッションブランドを立ち上げたいです。

取材協力 繊研新聞社

YKK特別賞

Metamorphosis
朱 靖心(文化服装学院)
Metamorphosis
作品コメント
周りにどう見せるかはあなたが決める。どこを見せるか何を見せるかはその人の気持ちに任せる。人には色々な姿があるように、スリッパでもあり、ブーツでもあり、一足の靴が何足の靴にも変形できる作品。
受賞コメント
受賞できると思っておらず、びっくりしました。シューズデザインを専攻しているので、YKKのファスニング製品の機能を生かしながら面白い靴を作ることにチャレンジしました。長さやデザインを変えられ、パーツの取り外しで何通りにも履けるデザインで、PERMEX®やマグネット付きバックルが役に立ちました。制作は夏休みの短期間だったので、時間との戦いになりました。ストラップを穴に通してバックルを固定するといった着用方法を思いつけたのがよかったものの、靴にバックルを使用するのは初めての経験でテクニカルな部分でも苦労しました。今後は日本でシューズに関わる仕事をしていきたいです。

取材協力 繊研新聞社
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