2024/09/30 10:00
山梨フジカラー フォトコンテスト 第9回 フォトグランプリ
主催:株式会社山梨フジカラー
受賞作品数:19点(自由部門:7点/風景・ネイチャー部門:6点/学生部門:6点)(入選を除く)グランプリ
桜(自由部門)
渡辺英基
- 審査コメント
- 春がやって来たことを桜の花と共に作者は喜んで楽しく撮影されているように感じます。日本晴れの中で花を大きく開く桜の作品はとてもすがすがしいです。“桜”と“富士山”と言えば“日本”を象徴する風景です。その二つの要素の組み合わせを丁寧な構図で撮影されています。花に近づいてよく観察され、開花したばかりの芯に赤味が残り蕊が美しく花びらに痛みの無い個体をしっかりと選んでの撮影です。背景に富士山が配置されていますが、富士山は小さく桜が大きく画面に入っていることで、ごく普通の、日本の日常風景に思えてしまうことがこの作品の素晴らしいところです。下を見るんじゃない! 上を見上げるんだ! そんなメッセージも届いてきました。
自由部門
金賞
鉄塔銀座
岡田泰文
- 審査コメント
- 鉄塔や建物、民家などの建造物が並んだ異様な雰囲気を持った大地が圧巻です。一方、新雪をまとった八ヶ岳の雄大な自然には迫力があります。異空間の風景が混在する魅力の溢れた作品に驚きました。目の前の風景の見せたいところだけをしっかり見せる画面構成ができています。上空には暗雲が垂れ込めていたことで朝日にはコントラストが強めに現れました。被写体と自然条件の最良の状態で撮影することは容易なことではありません。見事な作品です。
銀賞
わー最高
相川よしみ
- 審査コメント
- 大きいシャインマスカットを収穫する少女の笑顔が最高です。子供の歯が抜け変わる頃っていくつなんでしょう。ユーモアがありますね。それに、昔の自分のことのように、または、子供を思い出すように、心が和みます。撮りたいものに近づき、手の先や、体が、画面からはみ出している構図が写真に想像力を与えています。
静寂
森本雄策
- 審査コメント
- 笑ってよいものか、怖がってよいものか、不思議な場所が切り取られています。きっと、キノコの傘が想像以上に大きいことから常識的な視覚からずれ、距離や大きさが麻痺し、カラーバランス的にも色彩彩度が落とされているのでより心に訴えてくるんだと思います。キノコを、鑑賞者は何に例えるか、写真表現の自由さが感じられる作品です。
銅賞
ひと夏の思い出
中澤僚太
- 審査コメント
- 長岡まつりの花火は日本三大花火に数えられているので、当然、大勢の見物客でにぎわうのですが、芝に座るお二人だけに上げられているように写されています。撮影時に意図を込めるのか構図の面白さです。正三尺玉も形が崩れることなく大成功の打ち上げでの撮影になりました。花火が画面いっぱいのフレーミングなので、より大きく伝わってきます。
雲色づく
沼倉 司
- 審査コメント
- 富士山の稜線に舞い立つ雪煙を線として捉えて、丸い形の雲を線に重ねて、シンプルに直線と曲線で単純化して描かれた作品です。写真の大部分を占める黒色が作品の印象を強めています。富士山を抽象化して表現することで、古来からの日本人が抱き続けてきたような富士山への憧れを表すような心象風景となりました。
残照
三澤 久
- 審査コメント
- 露出というのは作者の意思です。切り詰めて暗い描写にしたことでボート乗り場の浮橋の先端にたたずむシラサギの姿が浮かび上がりました。孤高のシラサギに心を寄せる作者の気持ちの表れです。気づいてあげたよ頑張れという作者の言葉が聞こえてきそうです。白黒ではないけれど、ココまで暗くすると色が抜けてしまいアート作品のようにも思えます。
風景・ネイチャー部門
金賞
棚田の朝
とがわゆかり
- 審査コメント
- 棚田の向こうに富士山がある風景が今も昔も変わらぬ風景に思えます。ぽつんと止まっている軽トラックが田植えをする人の姿を想像させてくれます。望遠レンズで捉えているのでしょう。富士山に対して軽トラックの存在感がとても大きく感じられます。長時間露光で朝霧が動く様子を流して描写し、反して、軽トラックはどっしりそこに止まっている状態で写すことで作品には時間というものが映り込んでいます。農作業される方は写真にはいないけれどしっかり写りこんでいるように感じられます。
銀賞
春を待つ馬鈴薯畑
井出ひとみ
- 審査コメント
- 温暖な四国、愛媛県宇和島にはジャガイモを石積みの段々畑で栽培しているところがあります。その段々畑の特徴を出すように広角レンズを用いて撮影されているところが素晴らしいです。奥行きを活かし周囲の状況までも捉えられています。石垣の上の畑に丁寧に作られた畝の様子に視点を合せて撮影されていますね。土の色味が暖色系で作品全体から温もりが感じられます。
哀愁の舞
沢登幸治
- 審査コメント
- 白鳥の素晴らしい姿に感動しました。作者は、白鳥の湖を舞うように演じるバレリーナのように感じシャッターを切っておられたんじゃないでしょうか。晩秋、紅葉が落ちたことで現れた梢の繊細な美しさが湖の舞台を最高に演出しています。色彩と線のバランスは絵画を鑑賞するような完成度の高い構図の作品になっています。
銅賞
朝もや晴れる
天野喜夫
- 審査コメント
- 遠くに現れてきた山は明らかに富士山ですが、手前の景色が日本的でないというか、岩がごつごつしていてどこか異国や別惑星にも思える雰囲気なのです。朝霧の撮影は朝日が出た直後の様子は誰もが上手に写されますが、ピークを過ぎた後の表現は作者の感性が現れます。手前の暗部を強く意識された構図で遠近感が強調されています。
花を待つ
河西茂彦
- 審査コメント
- 多くの人の場合は桜はたくさん花が咲く様子を楽しむものですが、樹形や枝の姿を愛でる作者の優しいお気持ちが作品に現れています。背景が暗いところを選んで作画されているので、白く現れた枝や、白や赤の花やつぼみが、緻密に描写されています。独自の視点で見つけ出された美しさを平面的に堂々と画面構成された作品です。
白く装う
沢登圭造
- 審査コメント
- 山岳地の生息する植物ナナカマドの実に霜がついて厳寒の地ならではの美しさが感じられます。岩のそばで生き続け、太古からそこに存在していたかのような力強さがあります。手前は赤色、遠く山頂は霞んで白色、これから冬に閉ざされていく季節の変化の描写が一枚に込められています。被写体や色彩をうまくつかんで奥行きが作られた構図も心地いいです。
学生部門
金賞
あなたとの思い出
小野寺陽帆
- 審査コメント
- 審査で作品を拝見した時に涙が出そうになりました。ご表情の目元がとても寂しげで、背中には柔らかな光が届いているけれど、女性は前に行けないでいるように感じられたからです。人物撮影では、人が向いている方を大きく開ける構図が基本ですが、この作品は、背中側を大きく開けているので、背中から包んであげたいような作者の優しさが写真に写し込められていると思いました。写真撮影では、見えているものを整理整頓して画面構成して写すものですが、実際には見えていないものがたくさん写っている素敵な写真だと思いました。
銀賞
燃ゆ怨み
酒井愛紗
- 審査コメント
- 無病息災を祈るどんど焼きを捉えたものだと思うのですが、画面いっぱいが燃えているシーンなので、人たちの祈りの深さが強く感じられます。日の丸構図で強く捉えられた達磨の目が印象的です。画面右側の煙が、高くなった炎の日陰になって青味を帯びているところが水の中のシーンのようにも感じて全体的に不思議な空間としても届いてきました。
冷たい風が吹く
高橋健吾
- 審査コメント
- プールと言えば夏のイメージですが、冬に被写体にする感覚が素敵です。背景には、甲斐駒ヶ岳のように見える立派な山があり、人が暮らす家並みがあり、故郷の風景なんだろうなと思わせていただきました。華やかだった夏から、寒い冬へと季節が進んだ時間経過と、写真の落ち着いた色調が相まって、郷愁を誘う風景写真となりました。
銅賞
眼光
石川翔麻
- 審査コメント
- 猛禽類の鳥、オオワシでしょうか。全身の容姿が最高に美しいのに、部分的に作画する構図が目を引きました。目がすごいですね。鳥の姿全体を写すと伝わらないことが、大胆な構図による写真表現により主題が明確に伝わってきました。茶褐色の背景を選んでいることで中世の気品の高い貴族の肖像画のように思える面白味もあります。
友達
上田真生
- 審査コメント
- 首も肩も写さない、頭も写さない、お顔の表情だけを写す思い切った構図だと思いました。若さ溢れる常識外のフレーミングに魅かれました。運動部の他のお仲間たちが周りにもいる中で、楽しい会話をしながらグッと寄ってアップで写して、撮影後には大笑いしているんでしょうね。構図にユーモアが溢れた作品です。
雲外蒼天
梶原万知
- 審査コメント
- 街を見下ろせる場所にたたずむ少女のポーズがかっこいいポートレート作品です。きっと、この構図づくりの感覚は、たくさんアニメを見てきて培われてきたんだろうと思いました。モデルさんと写す側とで一緒に作り上げた作品ですね。少女から決意の言葉が届いてくるようです。素敵な四文字熟語のタイトル付けも作品テーマと合致しています。