結果発表
2018/03/02 10:00

第7回 山本鼎版画大賞展

応募作品数:263点
受賞作品数:9点(入選を除く)
主催:山本鼎版画大賞展実行委員会、上田市、上田市教育委員会
協賛:株式会社サクラクレパス
※ここでは、上位4点をご紹介します

大賞

目の中の世界-ザリガニ D
松岡惠子
目の中の世界-ザリガニ D
審査コメント
今回大賞の栄誉に輝いたのは「目の中の世界‐ザリガニ D」と題された、銅版と孔版を併用した作品である。画面フレームの制限を意に介さず描かれたザリガニのイメージは、僅かなユーモアを醸し出しながらも力強く、おそらく作者の着想が最もホットな状態に保たれたまま、一気に仕上げられたものと想像される。技術的には稚拙な箇所が散見されるものの、イメージへの情熱によってきわどく押さえ込まれており、その力技とも言える制作態度がむしろ審査員の好印象に結びついた。理性的かつ計画的な制作態度を自明とする、通常の版画制作に一石を投じたとも言えるだろう。(木村秀樹)

準大賞

棚橋荘七
杢
審査コメント
準大賞に選ばれた「杢」は一転して、画面全体が静けさと穏やかさに被われた木版画作品である。近づくと絵の表面は、木目状ないしは波紋状に広がる彫り跡にびっしりと被われている事に気付く。おそらく作者の制作動機は、結果としてのイメージに収斂して行く類いのものではなく、彫るという行為そのものを目的化しているように感じられる。その執念と没入の強さにおいて、また現代の美術として、あり得べき制作様態であり、肯定的に評価させていただいた。(木村)
Thoughtography 17-05
神田和也
Thoughtography 17-05
審査コメント
もう1点の準大賞受賞作は「Thoughtography 17-05」と題された、インクジェット出力による作品である。グラフィック・アプリケーションを駆使して、女性像を思わせるイメージを造り出している。断片的なイメージの集積と積層からなるその画面は、ブルーを基調とした叙情に満たされている。デジタルプロセスから無縁である事の方が困難な時代にあって、インクジェット出力を中心とした作品は増え続けているが、その必然性を内的に消化した作品と出会う事もまた、まれではある。そのような状況下にあって、作者独自の工夫をさりげなく感じさせる、完成度の高い作品として好意的に受けとめられた。(木村)

サクラクレパス賞

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木下珠奈
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