結果発表
2018/01/04 10:00

第4回 ウェルフェアデザインコンテスト

応募作品数:87点
受賞作品数:11点(入選を含む)
主催:特定非営利活動法人医療ネットワーク支援センター
アクテイブライフ部門

最優秀賞

歩数杖
北野 葵、中山小雪
歩数杖
審査コメント
歩くと色・柄が変わり、心身ともに外出をお手伝いする杖
杖にはカラフルで様々なデザインのものがありますが、この作品はその上をいくアイデアで、今までにない発想に驚きました。杖をつくたびに歯車が連動し色や柄が変わり、歩数も測れ、歩くのが楽しくなる。ステッキ自体が歩く動機になるという発想が素晴らしく、高齢者に限らず障がい者にもよいのではないかという新規性も感じられました。製品化するには重さや強度などクリアすべき面もありますが、実現したら面白いなと思わされる作品でした。
つきやすさや持ちやすさなど、人間工学的な面も今後考えていってほしいと思います。

部門賞

片手でラクラク Makeup Box
桑原沙瑛(東洋大学)
片手でラクラク Makeup Box
審査コメント
高齢者のお化粧を楽しく快適にするメイクアップボックス
お化粧の道具はおしゃれですが、表示が小さい、ひねる動作がある、使いづらい等、まだ課題のある分野です。この作品は脳梗塞で片麻痺が残る方でもすべての動作が片手でできる、少し認知に問題が出てきた方も容器を戻す場所を間違えない等、ボックス内の各容器にまで工夫が施され、試作して実際の作業を通し使い勝手が考えられていた点が高く評価されました。毎年アクティブライフ部門にはお化粧をテーマにした作品が多く出てきますが、トータルな面で高い評価を得た作品でした。

入選

たまには外食を楽しみたい!を叶える 紙エプロン
曽 致善、藤沢まなみ
たまには外食を楽しみたい!を叶える 紙エプロン
審査コメント
着る人の気持ちまで考慮した、外食を楽しめるエプロン
ポケットのある高齢者用のエプロンは見たことがなく、良いアイデアでした。高齢者でも簡単に着脱でき、汚れが目立たない素材などの機能性を備えると共に、食べこぼした物が見えないポケットをデザインすることで、周囲の目が気になり外食を楽しめないという課題の解決を図った作品で、多くの審査員が実用性で高い評価をつけました。実際に試作して調査した点も評価されました。高齢者が自ら着けたくなるようデザイン性をさらに高めることを期待しています。
more;MOG
江畑 悠(首都大学東京)
more;MOG
審査コメント
食事の際に咀嚼回数をカウントしてくれる小さなロボット
咀嚼に合わせてボディの数字や絵柄が変化し、ゲーム感覚で咀嚼回数を増やすことができるため、噛むことが強制感なく具現化されていることが評価されました。また、高齢者が喉に食べ物を詰まらせる事故を防ぎたいという着想から、ダイエット中の女性が咀嚼を増やすことや、子供がよく噛んで食べる学習をすることにも視点を広げ、デザインを高齢者に特化しなかった点も良かったと思います。選考では、実用性が高く、商品化されてもおかしくないという声も聞かれました。
インフラストラクチャー部門

部門賞

octank
伊藤ももこ(首都大学東京)
octank
審査コメント
伸縮可能で、家具のように置ける「簡易貯水タンク」
災害時に最も必要となる貯水タンクは通常倉庫や家の奥にしまわれ、いざという時に取り出せなかったり、場所をとるといった課題があります。しかし、この作品は貯水タンクを家具のように置いて保管し日常生活の中でも椅子として使えるという発想で、形のユニークさやデザインの綺麗さと共に評価されました。選考では「重そう」という意見も出ましたが、転がして移動できる形状にして女性や子供でも運べるよう考慮されていることが評価ポイントの一つとなりました。

入選

T-Ball
石橋 力(芝浦工業大学)
T-Ball
審査コメント
自動車の接近を光で知らせてくれる装置
高齢者や自転車に乗っている人、イヤホンをつけた歩行者、聴覚や色覚に障がいがある方でも車が近づいて来ていることがわかるよう工夫された球体のデザインで、色々な人の視点を持っている点や、設置しやすい形状など、特にデザイン性が高く評価されました。どこからでも誰からでも見やすいことで逆に起き得る混乱をどう回避するかという課題は残りますが、交通事故が発生しやすい交差点での事故を減らすための提案としてとてもユニークなアイデアだと思います。
Mobility Ray
梅原康平(芝浦工業大学)
Mobility Ray
審査コメント
光によって視覚的、心理的に「人の動きをデザイン」する
駅構内の人の流れをデザインするというスケールの大きさに驚きました。選考の際、アイデアの面白さに注目が集まった一方で、実現性や効果はどうかという声も出ましたが、若い世代ならではの自由な発想で、夢をもって大きく考えられている点を高く評価しました。特に、柵などの物理的な物ではなく光によって緩やかに人を誘導するというアイデアや、密閉された空間を明るくする点が評価されました。地震の時の誘導などにも発展・応用できたら面白いという声もありました。

奨励賞

シャワーフックアーム
桑本大地(熊本高等専門学校)
シャワーフックアーム
審査コメント
上下前後に可動するシャワーフックアーム
シャワーフックを手前にも引けたら便利(怪我や病気で片手が使えない時もシャワーが背中まで届く、壁のフックからシャワーヘッドを取るために何度も立ち上がらなくて済み、高齢者の怪我を防止できる等)といったアイデアが良く、真面目に一つの課題解決に取組んだ姿勢がデザインに表れていました。デザインの美しさをもう少し追求すれば、さらに評価できたという点で奨励賞となりました。
センスウェア部門

部門賞

おもひであやとり
西村友希(首都大学東京)
おもひであやとり
審査コメント
あの時の記憶がよみがえる、水で固まる不思議なあやとり
誰かとやったあやとりを形に残せたら、その時の記憶が甦り、新しいコミュニケーションツールになるという発想が面白い。また、身近でシンプルな物がシンプルにまとめられ、シンプルゆえの美や効能が素直に伝わってきました。商品販売において「物が語る」ということは宣伝よりも重要でパワーを持っていますが、この作品にはそれが宿っていました。プレゼンも非常にシンプルで、多数の作品の中でも目立って「これ面白いね」とすぐに引きこまれ、高い評価を得ました。

入選

古民具かるた
住吉麻鈴(サレジオ工業高等専門学校)
古民具かるた
審査コメント
古き良き道具を新たなコミュニケーションツールに
古民具に目をつけたことは素晴らしく、沢山よく考えたと思います。孫や子供たちとかるたを楽しみながら、道具の名前や使い方などを教えることで高齢者と若者世代とのコミュニケーションが図られ、また、高齢者が昔の事を思い出す想起法としても有効であると、審査員の評価が集まりました。手の力や感覚が衰えた高齢者でも取りやすく、且つ外観を崩さず、温かみを感じられるように、畳の縁に使われる丈夫な布を用いたのもとても良いアイデアでした。
ホスピタリティ アイデア部門

ベストアイデア賞

一人でブランコ! みんなでブランコ!!
篠原 勇、竹下有起子、安川たまみ
一人でブランコ! みんなでブランコ!!
審査コメント
重い障がいの子供が「一人でブランコに乗れる補助具」のアイデア
子供は遊びの中で学んでいくものですが、重い障がいのある子供は遊びの場でも大人と離れることができず、一人で何かをするという経験ができません。そんな子供に「ブランコに一人で乗る」という当たり前の経験をさせてあげるために様々な工夫が考えられ、また、施設などの限定された場所でなく、公園や神社にあるブランコなどでみんなと一緒に遊べる点も高く評価されました。
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