結果発表
2023/03/28 10:00

第3回 それぞれの宙を見上げて 星空フォトコンテスト 2022

応募作品数:約1800点
受賞作品数:13点(入選を除く)
主催:株式会社ビクセン

グランプリ

Sky Line
(コンポジット部門)
佐々木絢也
Sky Line<br />(コンポジット部門)
審査コメント(一部抜粋)
暗闇の中を照らす光の一筋の線。その自動車のライトで照らされた緑の草木。赤茶けた火山と吾妻小富士の噴煙のようにたなびく低い雲。その向こうには、はるか遠く銀河系中心方向のバーデの窓(Baade's window)を通して見えるバルジの黄色い星たちと、その手前のいて座やさそり座を作る青白いOB星、さらに地球の大気の中の雲、そうして手前の火山の岩たち。非常にダイナミックな宙の動きを捉えた作品です。今のカメラの階調では捉えきれない明暗のダイナミックスと速い動きをうまく表現しており、コンポジットの良さが最大限に発揮されている作品です。若い作者のセンスに触れて、最初のひと目でグランプリと決めた作品です。(大西浩次)
ワンシャッター部門

最優秀賞

Skyrium
坪井智洋
Skyrium
審査コメント
小さい頃見上げた満天の星空を自分の子供に見せてあげたい、そのような父親になった作者の思いが素直に伝わってくる作品です。小高い丘の上の大きなカシワの木、子供を抱き上げる父親と子供のシルエットとその向こうに広がる晩秋の天の川、狙った写真でありながら素直に心安らぐ作品です。(大西)

優秀賞

クリスマスツリーに願いを
福田祐司
クリスマスツリーに願いを
審査コメント
北海道を代表する有名な観光地である「クリスマスツリーの木」に向かって落ちる大火球を捉えた一枚です。一生に一度撮れるかどうかの大火球を見事に捉えた作者の強運もさることながら、月明かりに照らされる木の影や、雲の躍動的な動き、地平線へと沈んでいくオリオン座など、構図全体に散りばめられた要素が作品の良いアクセントになっています。額に入れていつまでも眺めていたくなるような美しい作品です。(北山輝泰)
廃墟ド-ム
谷口武行
廃墟ド-ム
審査コメント
魚雷発射試験場の跡地で撮影されたお写真で、火星とオリオン座の輝きが際立つ一枚です。廃墟と聞くとどことなく怖いイメージがありますが、星々の明かりと共に映る廃墟は、怖さよりも探究心や冒険心をくすぐられます。写り方的に魚眼レンズで撮影したものと思われますが、星々の明かりが滲んで強調されているのは、後玉かセンサー前にシートフィルターを置いているためでしょうか。普通に写しては物足りない印象であったため、とてもプラスに働いています。ちょっとした手間が大事だと気づかせてくれる作品です。(北山)
夏の夜の夢
浅井明美
夏の夜の夢
審査コメント
睡蓮が広がる池(神仙沼)の水面に銀河系の中心方向の星たちが広がっています。霧が覆われた水面に広がる宇宙に、引き込まれるような魅力を感じる写真の一枚です。この写真を撮るために選んだ場所も構図のバランスも、そして霧が舞う一瞬を切り取るタイミングも揃い、大変幻想的な作品です。一方、霧や水蒸気いっぱいの大気を通すと、どうしてもクリアーな発色にならないことは致し方ないことですが、露出がややアンダーであることなどが、発色をマゼンタに寄ってしまった原因と思われます。しかしながら、このような一瞬を捉えるワンシャッターならではの優秀な作品です。(大西)
オリオンを見上げて
石川了輔
オリオンを見上げて
審査コメント
長野県と群馬県の県境の小串鉱山跡の朽ち果てた索道の向こうに広がるオリオン座です。左下に小さく写る作者の姿が、壮大な宇宙と鉱山跡の時間の止まった世界の対比をうまく表現しています。非常に印象的な作品ですが、作者はこの光景に何を感じていたのでしょう。タイトルをもう少しく工夫すると、撮影時の印象や写真に込めた想いがよりわかりやすくなるのではないかと思いながら作品を拝見しました。(大西)
コンポジット部門

最優秀賞

Beyond the Beyond
霧生幻
Beyond the Beyond
審査コメント
白亜紀に海底で堆積した地層を見ることができる、全国的にも珍しい場所で撮影された一枚です。構図の3分の1しか星空がない攻めた構図ですが、地上はパノラマ合成、星空は赤道儀を使った追尾撮影と全く異なる撮影方法で撮られたものを合成されています。しかしながら、まるで縦構図の一枚撮りで撮られたかのような自然さを感じるのは、作者の高い画像処理技術の賜物でしょう。素晴らしい技術力と表現力を評して、最優秀賞とさせていただきます。(北山)

優秀賞

妖精の森
橋本 友
妖精の森
審査コメント
通常の比較明合成作品だけではなく、横構図で撮った写真をパノラマ合成することで、森の奥行き感や空の広がりが最大限表現されています。深夜の森の中、安定しない木道の上という難しい撮影状況の中で、自分が作り上げたい作品のイメージを満たすために必要な撮影をすることは、簡単なようで難しいことです。きっと作者は計画し、撮影に臨んだことと思いますが、その計画力の高さと実行力の素晴らしさに敬意を表して優秀賞とさせていただきました。(北山)
本影の色
土川 啓
本影の色
審査コメント(一部抜粋)
2022年11月8日の皆既月食は、皆既食の継続時間が長いことや宵の見やすい時間帯に起きたこと、さらは、皆既食中の天王星の食が起きるという珍しい天体現象があったため、天文ファンのみならず、多くの方々が「宙を見上げた」天体現象となりました。今回のコンテストでも多数の応募作品がありました。これらの中で、皆既食中の色の変化を克明に記録したこの写真が特に素晴らしいと感じました。皆既食の始まる前後のターコイズフリンジの青い色や皆既食中の赤い色などが大変カラフルに表現されています。これらの月食中の色は、地球の成層圏のダスト量や対流圏内の透明度などにより大きく変化します。毎回、月食の色や明るさを測ると地球大気のモニター観測にもなります。この美しい色とともに、地球の大気のことも考えてみると面白いですね。本影基準で比較明合成されていますが、背景には青い天王星なども写されています。(大西)
アンダー18部門

最優秀賞

やまなしの木と冬のダイヤモンド
府中由惺
やまなしの木と冬のダイヤモンド
審査コメント
野辺山の有名な撮影スポット「やまなしの木」で撮影された一枚です。夜空にある無数の星の中には、夜空の宝石とも言える冬のダイヤモンドを構成する星々が写っていますが、やまなしの木と共に日の丸構図でまとめているため、とても安定感のある作品になっています。作者は16歳という大変お若い方ですが、撮影技術の高さや構図のセンスなど、大人顔負けの作品でとても感動しましたので、今回最優秀賞とさせていただきました。(北山)
動画部門

最優秀賞

星に願いを 月に祈りを
白山健悦
審査コメント
星空の写真の場合、得てして明暗の乏しい作品になることもあるが、この作品は月明かりと星明かり、そして太陽の明かり(薄明から太陽光)をうまく使って、影と光、陰と陽を非常にうまく表現しています。春の雪の壁に木々の影が伸びてゆく様子が、画面の外の月の存在感を示し、また、ラストシーン、「月明かりの空が、月没と共に星空が戻ると同時に始まった薄明で紅葉の森が浮かび上がり、日の光とともに真っ赤に燃える」シーンは、まさに動画でないと表現できない「宙を見上げる時の想い」を非常にうまく伝えていました。(大西)

優秀賞

青森の山々から見える星空
大久保奈央
審査コメント
青木山山頂の俯瞰から始まり、津軽平野の街明かりが雲海で覆われ、生き物のように動き回る様、その上に天空のリズムに乗って動く冬のオリオン、夏のサソリ、そして天の川。大気光や光柱などの珍しい大気現象と星空。冬の八甲田山のスノーモンスターの向こうの北天の星たち。そして、夏の八甲田山の上に懸かり西に傾く天の川。雲の多い空の中、動く雲の間から見える天の川。いずれにしても、動画でしか表現できない光景をしっかりと捉えています。さらに、カメラを動かしたり星を線にしたりとリズミカルに動かすテクニックも画面に緊張感を与えて、山から見る星たちを強調させています。星空に憧れている気持ちと、郷土の山を愛する心が素直に伝わる非常に素晴らしい動画作品です。(大西)
星の軌跡 -STARRY TIMELAPSE-
松本一樹
審査コメント
初めて視聴した時に、ヒーリング効果のあるBGMに美しい映像が順々に流れていたことでとても幸せな気持ちになったことを覚えています。北海道の大自然と美しい星空や雲海の映像は、まさにタイムラプスでしか表現できない世界観です。オリオン座や天の川といった有名な被写体以外にも、月明かりに照らされた風景をテーマにした素材もインサートしたりなど、飽きさせない工夫を感じます。何度でも繰り返し見たい美しい映像作品です。(北山)
関連記事