第27回 UBEビエンナーレ
応募作品数:277点
受賞作品数:10点
主催:山口県宇部市、UBEビエンナーレ運営委員会、毎日新聞社
大賞(宇部市賞)
- 作品コンセプト
- 水の音と空間がコンセプトです。ある場所(空間)で、自分が感じた風景や感情などを言葉(文字)に表現し、水の中に落とします。落とされた言葉によって水を動かし、水からの新しい音(目で見て感じる音)を生み出せることを、大切に考えています。このような現象によって、空間に合わせた水の動きを創造し、一つのかたちに表現します。
本作品は、コンセプトと同時に、宇部の魅力的な風景と人々のエネルギーを思いながら創作したもので「リメンバー宇部」というテーマにしました。
ステンレススティールで作られた水のかたちは、永遠に流れていくような姿を見せると同時に、固い金属がしずくのように流れ下り、柔らかさをはらんでいます。
宇部興産株式会社賞
- 作品コンセプト
- 人類は何か途方もなく間違った方向に向かっているのかも知れない。
そう想う思春期を経て、、今現在もその感覚は変わらずに或る。
森の掟、、、掟に従う、掟を守る、、掟を遂行する、、、掟を生み出す。
掟すら知らないとしたら、間違った方向に向かうのは確実だ。
銅で制作し硫化仕上げのこの作品は、長い年月を掛け緑青が付き始め緑の作品に変化する。
森が包み込むように。
毎日新聞社賞
Construction Kit Animal
Hans SCHOHL
- 作品コンセプト
- 彫刻「組立てキット動物」は、25mmの鉄板を子どもたちが遊ぶ建物キットのように組み立てて作られています。
サイの金の角がついたクマの胴体、カモシカの足にウシの胴体…まぜこぜになった動物たちを見ることができます。
彫刻は、愉快で楽しい動物たちのピラミッドで、訪れる人は実在する動物たちの部分のひとつひとつを発見するでしょう。しかし別の視点から見ると、彫刻はハイブリット動物で、異なる種が交雑されていることを示しています。遺伝子工学やクローン技術は、ますますあたりまえの科学となることでしょう。この先どんなことが起こるでしょう?
私たちの子どもたちやまたその次の世代は決めなければなりません。動物たちや自然を組み立てキットのように扱うことは正しいことなのでしょうか?
宇部マテリアルズ賞
- 作品コンセプト
- 私はこの場所で、北極星との関係を結ぶ。山口県宇部市ときわ公園は、北緯33度56分に位置している。私の彫刻には水平面に対して仰角33度56分の穴が穿たれており、地軸にあわせて正しく設置することによって北極星の光が穴に差し込むのである。人々はこの彫刻の中央にある穴を覗くことで、遥か遠い433光年の宇宙から発せられた光を見ることができるのだ。彫刻に穿たれた穴はいつでも北極星の光を捉えているので、日中でもいつでも北極星の存在を感じることができる。ときわ公園に集う人々が、この彫刻によって北極星の光と対話し、宇宙への思いを巡らせていただければ幸いである。
山口銀行賞
- 作品コンセプト
- 大空を昆虫、鳥が飛ぶ。子どものころから飛行に興味を持ちつづけ、その機能に対し最終的命題「永遠に重力からの離脱」を思う。宇宙空間への帰省本能を秘め、試みようとする“想い”による形象化。たまご形の石上にへばり付き、重力を振り切って飛ぶという自分の意志と力で、はるかかなた…
宇部商工会議所賞
- 作品コンセプト
- 石をひたすら積み重ねて、造形することにより、「時間の可視化」を試みました。
島根県吉賀町賞、市民賞(緑と花と彫刻の博物館賞)
- 作品コンセプト
- りんごの芯の彫刻は、食べられてしまった後の姿として心もとなく映るかもしれないが、芯の周りのなくなった部分のエネルギーは、食べた私たちの一部になっている、と見ることもできる。食べる行為は空間を作ることを目的としないが、その跡は、生に転換した証であり、充実した空間とも言えるだろう。ここでは、その削がれた空間の構築(彫刻の作り方)に、建築的な方法を用いてみる。食べ終えた芯を柱にし、内部は板を張って、床から柱そして天井を一体として作る。結果、丸まった縁側のような開放的な空間が現れ、そこは人が寛ぐ場所ともなる。芯の内側は地面と繋がっていて、屋根に降った雨を集めて宇部の植物が育つ。
山口県立美術館賞
- 作品コンセプト
- 明かりは灯らないけれど、風車がクルクル回ります。
塔に入って見上げると、大きな万華鏡になっています。
違う世界に少しだけ、近づけるような気がします。
遠く離れた人たちに、また会えるような気がします。
島根県立石見美術館賞
- 作品コンセプト
- 私の作品は、子ども達に遊んで作品の中に入ってもらうことで成立する形です。
作品のイメージは海辺にある常盤公園から「波」のイメージを受け制作しました。
子ども達は波の中を潜る様に遊んで、作品の中から見える風景で想像力をいっぱいに膨らませてくれることを願って制作致しました。
下関市立美術館賞
- 作品コンセプト
- 私は、「OCEANS」をテーマに、木を使って「動く海洋彫刻」を制作しています。
今回の作品タイトル「Megaptera」は、ザトウクジラで「大きな翼」という意味です。
ザトウクジラは、体長の3分の1ほどもある大きな胸ビレを、ゆったり動かして泳ぎます。
湖を望む公園の青空のもとで、大きなクジラが「ゆっくりと羽ばたくように泳ぐ」姿をイメージして創りました。自然の光や風の中でこそ生まれる「木」の造形を楽しんでいただき、アートを思い切り体感して欲しいと思います。また、「海の生きものとそれを取り巻く環境」について、少しでも関心を持っていただくきっかけとなってもらうことができたらと、願っています。