結果発表
2025/06/19 10:00

第21回 高岡・山町ポエム大賞《小・中・高校生限定》

主催:「高岡・山町ポエム大賞」実行委員会(富山銀行、北日本新聞社、土蔵造りのある山町筋まちづくり協議会、まちづくり会社・末広開発で構成)

受賞作品数:41点(小学生の部:13点/中学生の部:13点/高校生の部:15点)
※ここでは、上位6点をご紹介します

ポエム大賞、北日本新聞社賞

なんだか
坂井十和子(芝浦工業大学柏高等学校)
なんだか絵:北山知絵子
作品(一部抜粋)
最近
なんだか
上手くいかない

腐った果実が落っこちた
避けたはずの肩に「なんだか」は乗っている
「なんだか」を
ドラム式の洗濯機に入れて
種類も分量も知らない
表示ラベルを読んでも分からない
そんな洗剤を注ぐ
水に濯がれる音を聞きながら
頬杖をつく
空腹を持て余しているドラム
なんだか不満げ

頬杖の続きの世界で
「なんだか」の正体を考える
毎朝走って家を出て
友人と静かにバスを過ごす
長い長い階段を登った先で
知らない間に始まった一日
あっという間に過ぎ去って
やりたくもない単語帳と共に帰る
一体どれが正体なんだかわからない

しばらくして軽快な音が鳴ったとしても
鎖で結んだ面倒な現実を見せびらかすだけ
なんだかうざったい

物干し竿に手を引かれ外に連れ出される
眩しすぎる外の世界
もう少し
いやずっと

富山銀行賞

むさし
芦田 昴(岡山県立瀬戸高等学校)
むさし絵:北山知絵子
作品
ある気高い山の方
一匹のもののふ何を喰らう
仙人にしてはしみったれたその伝え
んなもんかまうか
真剣が黄金の楽譜をかなでる
むすーん シャキシャ むすーん むすーん
十戒などあるわけなかろうドロ根性
だが渡りきった己の劣情を
むすーん シャキシャ むすーん むすーん
その水面斬り
ポセイドンも微笑み 宴だと
ズラズラの目を 真っ赤にし
むすーん シャキシャ むすーん むすーん
その刀ノ孤 俺がπなら
ムクロに反っているだろう
ただ無敗 されど無敗
フィボナッチが夢見たその円で
俺を切り
永遠に活かしておくれよ
むさし殿
ある気高い山の方
一匹のもののふ何を喰らう
小学生の部

最優秀賞

楽しい口癖
加納理奈(小平市立小平第六小学校)
楽しい口癖絵:北山知絵子
作品(一部抜粋)
今日の口癖は「参りました」
日々ごとに口癖を変える
学校に着いて言ってみた
「おはようございます! 参りました!」
参りましたは学校で
一番笑える言葉
だから僕はその日をいつも
楽しみにしている
面白さがあまりない
「素敵だね」は
女にしかほとんど言わない言葉
だからあまり面白くない
でもそれを信じてる僕は
女の子たちにモテられる
ふざけても優しくて
しっかり屋さんの僕は
ある日、運動会の代表に
なってと言われてびっくりぎょうてん
でも引き受ける僕を見てみんなは
ますます僕に惚れちゃった
楽しい日々が続く中
口癖の面白さはどんどん増した
「素敵だね」も面白くなってきた
するとみんなも日々ごとに
口癖を変えることにしたらしい
楽しくて楽しくて
大盛り上がりの僕のクラス
ほかのクラスも口癖を
つけるようになっちゃった!
中学生の部

最優秀賞

ビブリオテーカ
中橋紗奈(高槻中学校)
ビブリオテーカ絵:北山知絵子
作品(一部抜粋)
子供たちだけが行ける場所
ネバーランドに不思議の国
大人たちだけが行ける場所
喫煙所、バー、夜の街
では 子供でも大人でもない
私たちはどこへ行けばいい?
家に帰る足をずらして
図書館へ行こう!

小さい頃 児童書コーナーの
ポップなカーペットの周りには
スリガラスの薄い壁があり
外と子供とを区切っていた
大人になればきっとまた
あのスリガラスの壁ができて
いずれカラフルな本棚には
寄り付かなくなるのだろう
選ぶ本棚が自由なのは
肩書きの曖昧な私たち
図書館が一番広いのは
子供と大人の間だけ

図書館は来客の目の前で
目まぐるしく広さを変える
身長も精神も図書館も
成長期は同じときに来る
番号9の棚の前から
最初は動かなかったけれど
悩みの増える頃に 1「哲学」
気持ちを形に 7「芸術」
過去に思いを馳せて 2「歴史」
高校生の部

最優秀賞

お暇
吉田茉央(星槎国際高等学校)
お暇絵:北山知絵子
作品(一部抜粋)
平日の昼下がり
学校は楽しい?
まあまあ…!
嘘はつき慣れていた
あるべきリボンを身につけず
年中 首元のよれたスウェットを着て
顔だけが子供じみていて
逃げ足は速い中学生だった

まっすぐ昇っていくお日様が嫌いだった
明らかに おかしな私に
お構いなしにスポットライトを当てて
見世物にするから

中身が幼いから
外見も成長できずにいる
なにもかも置いてきぼりで
心は乾きつつある
ちいさな手で掴み取れるのは
夢の破片くらいで
他は全部こぼれ落ちていった

口元のファスナーが壊れて
溜め込んでいた感情があふれた
数少ない思い出を掘り起こして
不安は 涙で洗い流した
綺麗になった心に残るのは
事実のみで
ちょっぴり寂しくもあった

親に泣き顔を見せたのは久々だった
親の前で泣くのが恥ずかしくなったのは
いつからだろう
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