2019年度 新聞広告クリエーティブコンテスト
応募作品数:681点
受賞作品数:7点
主催:一般社団法人日本新聞協会広告委員会
※略号凡例
CD:クリエーティブディレクション、AD:アートディレクション、C:コピー、D:デザイン、PL:プランニング
最優秀賞
メッセージ
代表:立石祐司(株式会社日本経済広告社)
CD・AD:立石、CD・C:山崎優一、PL:佐藤耕一朗・土田悠樹
- 講評
- 子どもが勤めている企業の新聞広告を見た母親が、朝すぐにSNSで連絡をとっている場面を表現しています。「新聞一面にSNSのデザインを大胆に処理した。シンプルながらも表現が洗練されている」(副田委員長)、「高齢者もSNSを使っているという時代性と、我が子の働く会社の新聞広告を見る喜びという普遍性。この二つをシンプルな強さで表現している」(児島委員)などと評価されました。
- 制作意図
- テーマが「すすめ! 新聞広告」だったので、「新聞広告の新しい価値や可能性を考えよう」と思ったのがきっかけです。新聞の読者は高齢化していますが、読んでくれている数千万人の中の親世代に響けば、世論のように共感がじわじわ広がり、若い人にも共鳴すると感じています。たとえば自分が勤める会社の広告を親がほめてくれて、会社への愛着や誇りが生まれるなんてことが起きるのも新聞広告ならではです。絆に作用し、強くて温かいコミュニケーションができる。それが新聞広告の価値だと考えています。
優秀賞
戦争と、戦争しよう。
代表:片岡良子(navy株式会社)
C:片岡、AD:畑尾佐助
- 講評
- 自らの意見を表明することができる新聞広告の重要な役割を、印象的なコピーで訴えました。「一般企業ではできない広告表現ができる意見広告の醍醐味(だいごみ)を、刺激的なコピーで表現している」(副田委員長)、「かつての『WAR IS OVER!』のように、優れた意見広告は新聞との親和性がある。テレビやネットとは違う言論の力への希望も感じるタイムリーな表現だ」(照井委員)などと評価されました。
- 制作意図
- 新聞では、他媒体よりも多くの意見広告を目にします。SNSの普及で、個人でも簡単に世の中へ意見を発信できる現代において、新聞の意見広告にはどんな力があるのだろうという疑問が企画の起点になりました。大きな紙面で、正々堂々と覚悟を持って放たれる意見だからこそ、強く、本当に社会を動かすことができるのではないかと考え、このメッセージに至りました。
飛び込み営業
代表:中村駿作(株式会社大阪宣伝研究所)
C:中村、AD:笠原淳史
- 講評
- 新聞広告を早朝から飛び込み営業をかけるセールスマンに見立て、各家庭に一斉に営業ができる強みを表現しています。「新聞広告の原点を見直すことができる」(一倉委員)、「インターネット全盛の時代に、ネット広告にはない、企業の宣伝部が忘れている新聞広告の機能を直接的に伝えている」(川口委員)などと評価されました。
- 制作意図
- どんなにドアが開かない家も、ポストは開いています。難攻不落の会社にも、新聞は届きます。信頼度の高いメディアを通じて、生身の人間ではたどり着けない場所にも、企業の思いや情報を伝えることができる。それこそが新聞広告の特長だと考え、制作しました。明日の朝も、たくさんの営業がポストに飛び込みます。求めていた商品やサービスは、新聞広告が教えてくれるかもしれません。
コピー賞
今の時代、新聞というだけで、差別化だ。
代表:安嶋英樹
CD・C:安嶋、AD:平片 望
- 講評
- テレビCMやインターネット広告が注目を集める中で、あえて新聞広告の希少性をうたっています。「自虐的ではあるが、今あえて新聞広告を出す意義に目を付けた点が面白い」(照井委員)などと評価されました。
- 制作意図
- 私がコピーライターを志したとき、憧れた広告作品は、ほとんどが新聞広告でした。たった一言で時代を捉え、消費者のインサイトに突き刺さる名コピーに心打たれたものです。時代は変わり、広告賞を受賞したり、世間の注目を集めたりするのは、テレビCMやネット広告が多くなりました。でも、そんな時代だからこそ、紙だからできる表現の面白さや、新聞だから伝わる思いというものがあるのではないでしょうか。今の時代、新聞広告は「懐古」ではなく「新鮮さ」をもたらす魅力的な広告媒体だと思います。
デザイン賞
つくってみてみて新聞広告。
代表:小林慶一郎(アド・ライアン)
CD・AD:小林慶一郎、C:浅間良尚、D:小林謙太郎
- 講評
- 新聞広告の基本的な要素を骨組みとして示し、作ってみようと呼び掛けることで、広告主のみならず一般の読者にも新聞広告の魅力を伝えた作品です。「ユニークな着想を、工作の台紙のようなデザインでうまく定着させた」(服部委員)などと評価されました。
- 制作意図
- 企業の宣伝部や広告担当者の方に、新聞広告の魅力の一つであるインパクトを再確認してもらうため、実際に紙面を作っていただき、パソコンやスマホの画面よりもはるかに大きなスペースで強烈な印象を残せる、新聞広告の底力をぜひ体感してほしいです。本当に作る人はいないと思いますが、紙面を作らなくても、大きな空白のスペースで思いを喚起できるような参加型の広告を目指しました。
特別賞
新聞広告らしさ
代表:都竹玲子(株式会社東急エージェンシー)
C:都竹、AD:内田拓磨
- 講評
- 小さめの文字のボディーコピーは文章量が多いといった新聞広告の一般的な特徴を示しつつ、デジタルの時代にそうした固定観念を取り払い、新しい「新聞広告らしさ」を作り上げていこうと訴えています。「新聞広告の新たな可能性を創造していく必要性を真摯(しんし)なメッセージで表現している」(新聞協会広告委員会)などと評価されました。
- 制作意図
- 新聞広告は「若者に効かない」というレッテルを貼られがちです。けれど一方で、新聞広告をSNS上やウェブニュースで見かける機会も増えました。取り上げられる広告は、思い切った宣言をするものや紙の特性を生かしたものまで、さまざまです。歴史と信頼がある媒体だからこそ、そういったチャレンジングな広告ができるのではないか。そこであえてメッセージを一方的に送るだけの保守的な広告フォーマットをビジュアルにし、そこから抜け出すことを鼓舞しました。
学生賞
あると嬉(うれ)しい広告
村上実紗子(日本大学 芸術学部)
- 講評
- 新聞に触れることが多い就職活動中の学生が、多くの文字で構成される紙面の中に新聞広告を見つけると癒やされるという率直な気持ちを表現した作品です。「真剣に記事をチェックしている就活生は新聞広告で一息つきたい。一息つける広告を求むという希望にも似た表現が学生らしい」(児島委員)などと評価されました。
- 制作意図
- 新聞広告を広告するということで、まだ世の中で認識されていない新聞広告の魅力を表現しようと考えました。たくさんの情報がある紙面の中で、新聞広告は一息つける存在になっていると思います。そんな魅力を分かりやすく、身近に感じてもらえるように「就活生がホッとする」という言葉で表現しました。