結果発表
2025/07/03 10:00

ACTコンペティション novae 2024

主催:The Artcomplex Center of Tokyo

受賞作品数:2点

最優秀賞

僕らはみんな生きている。
前川結佳
僕らはみんな生きている。
作品コメント
人は何かと関わらずに生きていくことは難しい、と感じています。部屋に引きこもっていても、インターネットを通じて赤の他人と繋がってしまったり、お菓子はどこかの工場で誰かが作ってくれたり、そして他の誰かが運んできてくれたから自身の手元にあるのです。
そんな、「人と何か」「わたしと何か」の繋がりを描きました。
審査コメント
「僕らはみんな生きている。」というタイトルから自然と思い浮かぶのは、やなせたかし作詞の「手のひらを太陽に」です。
迷いや不安を抱えながらも希望を見出そうとする作家の視点が感じられます。
作品の中では、犬は正面を見据えていますが、その隣の人間は涙を流し、視線を左に向けて涙を拭うこともしません。
写実的な犬と、アイコンのように描かれた人間が同じ空間に存在しているものの、その空間では背後で激しい衝突が起きているかのように感じられます。
この混沌とした世界でも、共に寄り添うことへの希望があるのかもしれません。
「手のひらを太陽に」の最後のフレーズ「友だちなんだ」という言葉が、21世紀の世界でも意味を持ち続けることができるのか、今後の作家の作品からも注目していきたいと思います。(かんの自然)

審査員特別賞

そして、土になる
おじまりゑ
そして、土になる
作品コメント
日常の中の身近な植物と私が繋がる時間を描く。本作では自然林からなる近所の公園の落ち葉を描いた。日々の暮らしの中で生命に触れ生かされていると感じる瞬間を描き、私が生きた時間を記録する。岩絵具、土、和紙など自然の産物で制作をすることにより作品には生命が宿っていると考える。
審査コメント
日々の生活で当たり前すぎて見過ごしてしまう風景の中に、落ち葉がある。
それらにはまるで意志があるかのように感じられる。
タイトルの「そして、土になる」が示すように、作家の描く風景は、静かに土へと変わりゆく落ち葉を見つめている。
もちろん、落ち葉だけでは土にはならず、微生物など他の生き物の力を借りて土へと変化する。
しかし、そこには悲壮感はなく、作家はその過程をただ静かに受け入れているかのように思えます。
土から生まれ、成長し、枯れ、そして落ち葉となって地に戻る ── 長い旅の終わりともいえるその現象を、作家はただ見守るように見つめている。この視線が、どこか心地よく感じられるのは作家の資質によるものだと思います。
今後の活動も期待しています。(かんの自然)
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