結果発表
2018/10/31 10:00

NEWVIEW AWARDS 2018

応募作品数:219点
受賞作品数:9点
主催:NEWVIEW PROJECT(STYLY、PARCO、Loftwork)

GOLD

EMOCO’S FIRST PRIVATE EXHIBITION
えもこ
作品コメント
こんにちは、バーチャルYouTuberのえもこです。私はバーチャル空間でVRライブペイントを行い、その様子をYouTubeなどで配信しています。しかし、YouTubeの映像では、私のVRアートが平面的で不完全なものになってしまいます。そこで私は完全なVRアートとその描画工程の映像を鑑賞できる「バーチャル個展」を行うことにしました。(恐らく)バーチャルアーティストによる世界初の個展となります。ぜひ見に来てくださいね。
審査コメント
この作品は、クリエイター主導だと感じた数少ない作品の一つであり、他人のオブジェクトを使うことなく一途な姿勢で作られたものだと感じました。また、シンプルなストーリーで、VR内をスムーズに動き回ることができました。それぞれのイベントに焦点を当てた空間設計は、闇雲に広がることのなく、この作品に丁度よくフィットしています。他と比較してこの作品には、仮想モーションキャプチャで多くの動きが含まれており、作品の視覚的な部分に大きく寄与しています。(デビッド・オライリー)

SILVER

EMMA VR: PAINTING LIFE
Wyatt Roy
作品コメント
私は友人エマのアートギャラリーで、彼女の絵画を見ていた。絵は大きくて美しいものだったが、どのようなメッセージを伝えようとしているかは分からなかった。私は彼女の絵の中に入りたいと思った。そして、その絵が生まれた場所に案内してもらうよう頼んでみると、彼女が絵の中で使っている彫刻を見せてくれた。私は理解しようとしたが、まだ何かが欠けていた。その晩は彼女の寝室で眠りにつき、気づくと壁の絵が私の心の中で踊っていた。そしてそこで彼女の彫刻や絵画を触発した物語に触れた。私は絵画を通して、彼女の心の中に入ったことを実感した。
私は芸術作品の背後にいるアーティスト、絵画の背景にあるストーリーを知る機会を、他の人に提供したいと思っています。
審査コメント
個人的には金賞を与えたかった作品。ベタベタな美術館を歩くだけかな、って思ったら絵を鑑賞するだけでなく絵の中に入れるってのが面白かった。VRの長所をしっかりと作品にいれていて、グラフィックのレベルもコーディングもしっかりと安定してた感じ。ちなみに彼が作ったもう一つのWhisper National Parkもメッセージだったり音の聞こえ方がすごくきめ細かくて好きでした。(m-flo ☆Taku)
IMMERSIVE PHOTO EXHIBITION“美少女は目で殺す”
chiepomme & Albina Albina & APOLIA
作品コメント
禁じられた花園の密やかな戯れ。
対となる二つの美しいかたち。
小さな世界で紡がれる、少女たちの物語。

Photogrammetryを用いたプロップ。
Mirage Cameraを用いた180°立体視写真。
これらを用いて体感する写真展示を創り出しました。
ぜひ小窓から物語の向こう側を覗いてみてください。
審査コメント
作品の中でミステリアスな空間を覗き見るという体験を通じて、より深い感情を感じることができました。展示空間のデザインは、壁にある小さな穴をすべて探索するかのように私を誘い、さらに好奇心を掻き立てられました。そして、このミステリアスな雰囲気はVR世界にとてもマッチしていたと感じました!(陳怡潔)

この作品も凄く好きでした。広い空間を歩き回るような作品が多い中、敢えて閉ざされた空間でコソコソ探し回させられる、他の作品とは違った体験が新鮮でした。小窓を覗き込んだ時に写真が立体的に見えるのが素敵で驚き。今回見させていただいた応募作品の中では、技術的にはそこまで難しいことがされていない(と思う)のですが、アイデアでカバーされていて、僕も真似をして空間を作ってみたくなるような作品でした。(こやまたくや)
MAILLOTS DE BAIN
Mask du Video
作品コメント
作品はゾートロープをモチーフに私たちの構成する社会と同じようにフロントエンドとバックエンドの役割が相互にリンクして一つの世界が組み上がっている様子を表現しています。タイトルの「Maillots de bain」はフランス語で水着。
審査コメント
この作品の常識に囚われない挑戦を大いに評価しました。それは今までのルールを破るものであるだけでなく、私はクリエイター自身がVRの奇妙さとそれが視聴者の空間感覚とバランス感覚に何をもたらすのかを楽しんでいる様子を感じることができました。他の作品と比較して、この作品は、視聴者に空間へ向かわせるのではなく、視聴者自身に空間をもたらすものだと感じました。私にはクリエイターが何を伝えようとしているのか正確にはわかりませんが、一見すると不条理な、ただ同時に遊び心に溢れたこの作品のクオリティーを終始楽しむことができました。(デビッド)

エントリー作品の中で最も異色なプログラム(三半規管を鍛える)がされ、どこまで観続けられるかがポイントか? 音楽もセンスの良さがある。(松武秀樹)

PARCO AWARD

身体の形状記憶装置 -SHAPE MEMORY OF YOU-
Discont
作品コメント
バーチャルリアリティは、いまだ人間が全身を使って感じ取る実在感に、到達しきれていないのではないだろうか? 普段何気なく扱う身体を、バーチャルリアリティの中では失ってしまう。そして身体の不在は人間の身体感覚を鈍化させ、身体感覚に基づく実在感を消失させてしまう。電子の海を浮遊する精神を、現実へと引き戻してしまう。だから、バーチャルリアリティの世界で、私の身体は現実の世界との強い乖離感を覚えるのだ。ここに、身体の実在感を想起させ、身体感覚を揺らがす七つのインスタレーションを用意した。 ─── 小さな記憶装置をめぐる旅
この作品は、VRの中で喪失してしまった身体と身体感覚を取り戻すことを目指した実験的な試みである。そして、いつの日か物理的身体を捨て電子の世界で生きることとなった人間たちに向けての、身体の形状記憶装置 ─ Time Capsuleでもある。
審査コメント
先へ進むにつれて変化する空間、また空間内の七つの展示をめぐる中で、「この先には何があるのだろう」という期待感を掻き立てられる作品でした。加えて、現在VR空間の作り手は、技術者「エンジニア」と名乗る方が多いと思いますが、今回のアワードを通して「VR空間デザイナー」という肩書きのクリエイター(本作の作者Discontさん)が登場した事は、VRが今後アートやファッション・カルチャーへシフトしていく大きな一歩だと思い、この作品を選定させていただきました。(泉水 隆)

HIDEKI MATSUTAKE AWARD

PRINTS
Yuki Matsuoka
作品コメント(一部抜粋)
インターネットやスマートフォンが身近になった今、写真のあり方は大きく変わった。写真は電子媒体の形でデータ化され、WEBに流通するようになり、イメージは氾濫した。さらに近年では「Instagram」の登場により、ネットワーク、そしてモバイル独自の特徴から生まれる美学も提唱されるようになった。発明期の魔術的な性格、人々の欲望を反映するイメージ、常に新しい時代の政治性と結びついていく写真というメディアは、テクノロジーの進歩によって浸透しつつあるVR空間でいかに立ち現れるのか? その美学とはなにか? 身体性の諸問題を拡張するものなのか?

printsは深度カメラで撮影したイメージをネガとして現像し、VR空間に記述する写真である。フォトグラメトリーや3Dスキャンが現実世界を再現する手法であるのに対し、printsはイメージをVR空間に定着させることを提唱する。
審査コメント
2D画像はアナログ(ライン)デジタル(ドット)の集合体であり、近づき観る角度を変える事で3D形状となり、それらを確認分析する面白さがある。アナログ、デジタルは音楽分野でもそうであるように、この作品に奥行きのある音を付けてみたくなった。(松武)

KALEIDOSCOPE AWARD

ENCLOSURE
TeamMIKAMI(from OMNIBUS JAPAN)
作品コメント
「音の空間」をコンセプトとしたインスタレーション作品。音楽の持つ空間を再現し、HMDを通してその空間へと、自分の視聴覚を移送することを目的とした。
音楽は必ず空間と時間を有している。音と音が生み出すグルーヴが「間」であり、そこから生み出されるのが「巨大な空間」である。その巨大な空間に自ら没入することで、より音楽の空間に包みこまれるような体験を目指した。
審査コメント
職人技と独創性を感じたので、KALEIDOSCOPE賞に選出した。(René Pinnell)

CINRA.NET AWARD

FEVER
Tomoaki Seo
作品コメント
腐敗、荒廃、終焉。
不都合な真実に満ち溢れた世界は、市民の目を欺くために、虚構によって塗りつぶされた。
その虚構の中で、熱狂を与えられた人々が踊り続ける世界。それが「Fever」である。

本作品は、虚構の世界で作られたcultureを「Dystopia culture」と定義し、Dystopia cultureにより生み出される「熱狂」を体験することを目的としています。一心不乱に踊り続ける人々や、点滅する看板、空中に浮かぶディスプレイなど、各所に「動」を配置し、時間の体感速度を上げることによって「熱狂」を作り出しました。また、空中や水中にうごめく大勢のポリス達、BGM的に流れるアナウンス音声などにより、Dystopia感を表現しています。現代社会における虚構(バーチャル)と現実の境界線の曖昧さを感じ取れるような作品を目指しました。
審査コメント
CINRA賞に関しては、おこがましいですが完全に僕個人の好みで決めさせていただきました。“FEVER”は「うわぁ~、なんかヤバイ世界に入り込んでしまったぞ…! うわぁ~」感が一番強く、直感的に感覚的に好きな作品でした。空間の至る所でキャラクターが踊り狂っているのも素敵ですが、なんとなく小気味良い妙な音楽のチョイスも素敵やと思いました。なんなんですかねこの絶妙な小気味良さは…。この小気味良さも含めて、全体の世界観がとっても好みでした。(こやま)

DELL AWARD

新紀元 ~THE BIRTH~
バーチャルキャスタープロジェクト
作品コメント
荒廃した世界に突如誕生した謎のバーチャルキャスター。
彼女から伸びているコードを辿り水中をご覧ください。
人々を新たな世界へ導く準備が進んでいます。

彼女はいったい何者なのか? 今後の動向にもぜひ、注目してください。
審査コメント
本作品は、足元の地下世界が作品にうまく取り入れられていました。VRの醍醐味の一つとして、上下への移動があります。上下に大きく移動できる作品はありましたが、足元にフォーカスを当てつつ、自然としゃがみたくなる動線をはりつつ、しゃがみこむという小さな動きだけで、新しい体験ができたのがこの作品でした。小さな空間に楽しい体験や驚きが詰め込まれていた素晴らしい作品です。おめでとうございます!(柳澤真吾)
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