結果発表
2019/03/29 10:00

リサイクルアート展 2018

応募作品数:368点
受賞作品数:23点
主催:リサイクルアート展実行委員会
※ここでは、グランプリ・準グランプリをご紹介します
一般の部

グランプリ

コビトカバ
ODEN(POPO、佐藤周作、イワミズアサコ、okuyamayuko)
コビトカバ
作品コンセプト
ファストファッションが流行り、手軽に衣類を購入できる時代になりましたが、その影で大量の衣類が棄てられているという事実があります。
もったいないと思いませんか?
そんな気持ちからこの作品の制作が始まりました。
着古されたTシャツを集め、洗浄、染色、造形が、削り出した発泡スチロールにキメコミアーティストが木目込みという、染め、造形、デザイン、キメコミの技術を持つそれぞれのアーティストが持つ力によって新しいアートとして生まれ変えました。
アピールポイント
ポコポコした表面、まるでパズルの様な形状がとても不思議感覚になります。
そしてこの愛らしい目。何も考えてない様な表情が見ている側を笑顔にさせます。モデルとなっているのは絶滅危惧種であるコビトカバです。
捨てられ消えゆく衣類で決してこの世から消しては行けない生物を表現、少しでも皆様に現状を知っていただけたらと思います。
審査コメント
人の目を引く流行の衣類、これが入口だとしたら着古され、捨てられる衣類は出口といえます。
その出口に視点を当て、着古されたTシャツを集め、洗浄、染色など、4人それぞれの得意な分野を担当して新しい動物という造形作品を生み出した、そのリサイクルのメッセージ性と技術面は見事だと感じました。
パズルの様な表面の色彩の織り成すパステル調の愛らしい絶滅危惧種のコビトカバを生み出した造形の妙は、見る人を惹きつけるものといえます。

準グランプリ

パオーンって感じ
上岡安里
パオーンって感じ
作品コンセプト
20年住んだ家を引っ越す時がきた。家の中には粗大ごみに出される物たちがポツンポツンとその時を待っている。そんな空虚な家を見たときに、作らずにはいられなかった。
座り擦れたソファーを眺めていたら、質感からかゾウに見えてきた。いや、この広く空っぽになった空間にゾウがいたらこの家は寂しくないと思ったのだ。
アピールポイント
擦れた部分を隠さず、鼻の部分にもってきた。そのことで哀愁漂うゾウになった。
立体感もしっかりでており、ボリュームもゾウを強く感じられる。
審査コメント
引っ越しの時に粗大ごみとして出される運命の擦り切れたソファーと広く空っぽになった部屋の空間を見て、「ゾウ」を制作したというその発想をまず評価したいと思います。
シンプルな形でゾウの雰囲気を的確にとらえ、鼻には擦り切れた部分をもってくるなど、全体の質感、色彩も魅力あるものになっています。
まさしく廃棄物からゾウという動物を新たに生まれさせた表現力は見事だといえます。
高校生の部

グランプリ

したいこと しなければならないこと
仲舛なずな
したいこと しなければならないこと
作品コンセプト
美術を専門とする高校へ進学し高校生になって2年目、したいことが見つかり早々に進路を具体的に決めていく中、本当に進路を実現できるのか、学力の面であったり実技の面であったり日々不安と焦りを抱いています。
特に勉強で悩まされていて、美術をやるためにこの高校に入学したのに、気づけば勉強に追われる日々であまり実技に時間が取れず、頭の中にはテストの最低点数が毎度のようによみがえっています。
けれども進路実現するためには、やはり「したいこと」だけでは実現することはできません。
この立体人物は高校2年生で受験まであと1年あり、まだ完成していない未完成な自分です。「しなければならないこと」から逃げずに努力したい、というのが今回のコンセプトです。
アピールポイント
ペットボトルの接続部分を多くのボルトでつなぐことによって人形っぽくみせ、腰から胴体にかけて丸みが出るようにガスバーナーで加工しました。
また、頭を連想させる形状のペットボトルを使用し、使用素材のペットボトルを強調しました。
頭の中にある紙は、実際の過去最悪点数の答案用紙です。
審査コメント
美術系の高等学校で学ぶ高校生として、実技的なことに集中したい、しかしテストなどの勉強もしなければならないという葛藤している自分を、ペットボトルなどの廃品を使って表したこと、全身の姿から悩んでいる人の雰囲気が造形として表現されていることが評価できます。
頭の部分は答案用紙、胴体には絵の具のチューブ、腕には鉛筆がびっしりと、いかにも実技も勉強も頑張っているという高校生の姿を感じます。
透明なペットボトルをこういう形や色、身体で表現した発想やメッセージ性を評価したいと思います。
中学生の部

グランプリ

ビー玉コースター
江別市立中央中学校 科学部(8名)
ビー玉コースター
作品コンセプト
使わなくなった木琴を使って作った、小さな子どもも楽しめるビー玉コースターです。
アピールポイント
ビー玉を転がすときれいな音が鳴り、見ていてもとてもきれいで楽しいです。
はじについている金色の飾りもかっこいいです。
きれいな音が鳴るように定規で測りながら一つ一つていねいに作りました。
審査コメント
役目を終え演奏されなくなった木琴を、ビー玉を転がして再び音を出す造形作品に生まれ変わらせた、そのことをまず評価したいと思います。
完成までの道のりを想像すると、恐らくみんなであれこれ意見や思いを出しながら、デザインや形、色、音の出し方などきめていったことと思います。
大切な造形要素であるリズム、ハーモニー、バランスなど美への追及があり、共同して制作する深まりや喜びをこれからも大切にしていってほしいと思います。
小学生の部

グランプリ

水辺に集まった異なる時代の恐竜たち
関本 創
水辺に集まった異なる時代の恐竜たち
作品コンセプト
恐竜は人類が誕生したはるか昔、2億年以上昔の生き物で、その時代は大きく「三畳紀」、「ジュラ紀」、「白亜紀」の三つに分かれており、異なる時代の恐竜たちは図鑑の中でしか会うことはありませんでした。
そんな恐竜たちみんなが共通して必要だったのは「水」だったので、水辺に集まって来た「ティラノサウルス」「ブラキオサウルス」「トリケラトプス」「ステゴサウルス」「コエロフィシス」をダンボールを使って表現してみました。
アピールポイント(一部抜粋)
・針金ハンガーやトイレットペーパーの芯に、布を巻いて、その上から濡らしたダンボールを1000枚以上貼り合わせて少しずつ形を作りました。
・異なる時代の5体の恐竜(ティラノサウルス〈白亜紀後期〉、コエロフィシス〈三畳紀〉、ステゴサウルス〈ジュラ紀~白亜紀前期〉、ブラキオサウルス〈ジュラ紀~白亜紀前期〉、トリケラトプス〈白亜紀後期〉)を作り、体の大きさの割合もなるべく同じにしました。
・目をリアルにしたかったので錠剤が入っていた薬の入れ物を使いました。
・恐竜の色は誰も分かりませんが、こんな色だったのかなあと想像しながら色を塗りました。
・ティラノサウルスやコエロフィシスは二足歩行だったと思われるので、バランスを取って二本足で立つように工夫しました。
・水たまりがリアルに見えるようにトイレットペーパーが入っていた水色のビニール袋を使って表現しました。
・水辺には砂や貝をまいてリアルな感じを出しました。
審査コメント
異なる時代の恐竜を、針金ハンガーやトイレットペーパーの芯、布、ダンボールなどを用いて、その時代を想像しながら一生懸命作っています。
今から2憶年から6500万年前の地球上にいた恐竜の世界をイメージし、工夫しながら表現したところが評価されます。
特に形や色彩の微妙な変化は、造形的に自分の思いや願いを最大限に発揮しており、年齢にふさわしい作品となっています。

関連リンク

関連記事