親孝行の讃歌 今、伝えたい親への「おもい」作品募集
受賞作品数:20点(一般の部:9点/小中学生の部:11点)(佳作を除く)
応募作品数:1474点(一般の部:374点/小中学生の部:1100点)
主催:伊那市、伊那市教育委員会
※ここでは、最優秀作品をご紹介します
一般の部
孝行賞
- 作品
- 「パパ、写真撮ってよ!」
薄紅の桜。碧い海。赤や黄色の紅葉。今までどんなに美しい風景を背にして私が立っても、一眼レフを手にした父は、いつも首を横に振ってばかり。「俺は人物は撮らないよ」と。父は風景写真家。「娘より景色が大事なの?」と幼い頃から不満だった。いつしか諦め、家族で出かけても父に写真をねだらなくなった。
一週間前、私は故郷を遠く離れた地へ嫁いだ。その前夜、居間で母としんみり話をしていると、父が何冊ものアルバムを抱えて現れた。
「嫁入り道具だ。持っていけ」
アルバムを開いてみると、そこには…
沢山の『私』がいた。小学校の入学式の私。体育祭でリレーを走る私。振袖姿の成人式の私。母と桜を見上げる私。カメラ目線の私は、一人もいない。だからこそ、自然な笑顔。父だから、娘の一番『いい顔』を知っている。
「…何だ、私の天邪鬼(あまのじゃく)はパパ譲りだったんだ」
泣き笑いで四十年越しに父の愛を痛感した。
小中学生の部
孝ちゃん最優秀賞
- 作品
- お父さん、名古屋でのお仕事はどうですか。一人での生活は、さみしくないですか。私は、お母さんと二人で毎日がんばっています。
今日も耳のおくからは、お父さんの声が聞こえます。やさしい声で、そっと私をよんでいます。心の中のお父さんは、いつも笑っています。
ひさしぶりに会うと、うれしくて楽しくて、気づかないうちに大きな声になっているよね。電話やメールよりも、お父さんといっしょにいられる方が、ずっとうれしくて、ずっと楽しくていいな。
お父さんが名古屋にもどると、笑いを持ち帰ってしまったように急に静かになって、この家も大きく感じます。
見送った後、お母さんが悲しそうな顔で、「また、さみしくなるね。」と言うから、私はお母さんをギュッとして「このお月様は、名古屋でもきっと見られるよ。」と言ってあげたよ。
お父さん、つかれているのに帰って来てくれてありがとう。もう会いたいよ。でも、またね。