第15回 「家の光読書エッセイ」大募集
応募作品数:1,065編
受賞作品数:11編
主催:一般社団法人 家の光協会
※ここでは入選作品のなかから、グランプリを一部抜粋してご紹介します
家の光読書エッセイ賞
- 作品内容(一部抜粋)
- “… 大学入学時、父に本を読めと言われたが、勉強せよとは言われなかった。それを良いことに、私は勉強もせず、試験のときは山をかける専門だった。山がはずれたら悲惨だ。
勉強は自分の部屋でしないで、居間の炬燵(こたつ)でするのが常だった。炬燵の心地よさは、私から勉強の意欲を奪うばかりか、眠りの世界へと、いざなうのだった。もうろうとした意識の中でノートの端に、「山かけて谷底落ちる うさぎかな」と書いて炬燵で寝込んでしまった。
朝起きて学校へ出かけようとすると、開いたままのノートに、見慣れぬ字があるではないか。読んでみると、「うさぎさんへ。山は駆けないで、地道に歩くように 父より」と書かれてあった。
心を新たにして、また、たくさんの本を読み、生涯の友を得た。おまけに、その生涯の友である人と結婚することになった。司会は両方の友人が引き受けてくれた。彼らは両親や友人、恩師に寄稿してもらい、一冊の本を作ってくれた。その中に、父の寄稿文があった。…"