結果発表
2016/10/24 10:00

第9回 長谷工住まいのデザインコンペティション《学生限定》

応募作品数:277点
主催者:株式会社長谷工コーポレーション
※ここでは入選作品のうち、優秀賞までご紹介いたします

最優秀賞

街並みを守るベルトは時を囲う
池川健太(東京藝術大学大学院)
街並みを守るベルトは時を囲う
作品コンセプト
どんなに思い入れのある街並みも時が経つ事によって、いつか消え去ってしまう。思い出のある路地裏や住宅同士の抜け道もいずれ更地にされ、新しい建築が立ち、街並みが生まれ変わる。そうやって都市は発展してきた。しかし、場の記憶をそのまま抹消していくのではなく、継承したまま新しい街並みと住人を共に歩ませたい。この住まいは、敷地内に時間をかけて作られた住宅街が役目を終え、朽ちた時に「ベルト」と称した建築で囲い込む事によって、街並みという形をそのまま保存し、その街並みの中身だけを商業地帯へと書き換える事によって、過去の記憶を残したままベルトに移り住んだ住人と共に発展させていく提案である。過去路地裏として使われていた場所は、新しい商業地帯としてはメインストリートとなり、住宅同士の隙間はベルトへの動線となる。街並みの記憶を残したまま、継承する事によって住人はベルトから変わらない景色と変わりゆく景色の両方を楽しむ。

優秀賞

わたろうか つながろうか
武中正英、月待裕貴、是常文洋
わたろうか つながろうか
作品コンセプト
部屋と部屋をつなぐ廊下で人と人をつなぐ集合住宅の提案である。人は、歳を重ねて暮らすうちに生活は一定となり一人の時間が増え、周囲とのコミュニケーションも減少してくる。そこで、住戸の部屋と廊下を分解し、廊下を中心として、両端に部屋を配置することで移動距離を長くした。廊下の長くなった住戸が連続することで左右の住人との関係が生まれ廊下がコミュニティーの場へと変化する。また、廊下に敷地の傾斜にあわせて勾配をつけることで1住戸内でも床レベルに差ができ、その傾きに意識がいく。傾きに意識がいくことにより、移動時に上下への視線の動きが生まれ、上下階との関わりのきっかけとなる。廊下を移動するだけで上下左右の様々な生活スタイルが互いに影響しあい、より活動的になり、日々新たな発見があるだろう。

優秀賞

番をする町かど
市古 慧、江島史華、中田寛人
番をする町かど
作品コンセプト
曲がり角のタバコ屋、道に沿った縁側、椅子の置かれた軒下、花の咲いた小さな庭。かつて都市の街角には、高齢者たちが自由に過ごす風景があった。高齢者が街角から消えた今、街角の記憶を引き継ぎ、高齢者と町、人々との関係を作り直す“町かど”での新しい高齢者のあり方から考える集合住宅を提案する。彼らの町かどでの自由な暮らしは、時には店番をするように、時には留守番をするように見え、町の中で特別な役割を担う。長い時間をかけながら、町かどの要素は少しずつ交代しつつ、変わらない町の風景を残し続ける。それは、100歳になっても町かどに住み続けられる緩やかな関係性を持った未来。

優秀賞

囲炉端会議
秋山怜央、高橋沙織、谷田部貴久
囲炉端会議
作品コンセプト
この提案は囲炉裏を介することによリ、めぐる人々の生活の断片に新たなコミュニティやアクティビティが生まれることを誘発する集合住宅である。自分の時間を多く持つことができるようになった高齢者は、趣味などに興じる時間も増える。異なる趣味嗜好を持つ人達の多様性を許容する空間が囲炉裏だと考える。高齢者が集まって暮らすことの豊かさを再構築する。
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